コロンビアのゲリラを「家に帰す」広告キャンペーン(動画あり)

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コロンビアの広告代理店のチームは、ゲリラ人口の約5パーセント以上をコロンビア革命軍から脱退させるという効果的な広告キャンペーンを行っている。国際的な広告賞も受賞したその方法とは。

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コロンビアのジャングルの奥深くで、反政府左翼ゲリラのコロンビア革命軍(Revolutionary Armed Forces of Colombia:FARC)は暴力的なテロ戦略を計画し、実行している。

FARCは、コロンビアで50年以上続いている武力衝突の主要な勢力だ。この紛争により、1958年から22万人が命を落としたと推定されている

このような一団を説得し、解散させる方法はあるのだろうか? ホセ・ミゲル・ソコロフはその問いに対する答えをもっていた。広告キャンペーンを開始するのだ。

広告代理店Lowe-SSP3 Colombia社に属するソコロフ氏は、コロンビアにおける一流の広告クリエーターであり、情熱的に平和を提唱している人物でもある。

ソコロフ氏は、2015年10月にWIRED UKが開催した会議「WIRED 2015」で、次のように語った。「わたしは、彼らをジャングルから連れ出そうと試みています。コロンビアは過去50年間、紛争の渦中にありました。570万人の人々が避難を余儀なくされました。これは、難民数の規模では世界で2番目の多さです。22万人の命が奪われ、誘拐やテロ攻撃も頻発していました」

「多数のゲリラたちと話をすることにより、ある結論に達し、その結論がわたしたちのキャンペーンを導くものとなりました。彼らは、FARCの人質であるとともに捕虜なのです。それは、命を懸けた契約です。決して逃げだすことはできません。いったんFARCに入ってしまえば、すべての夢がこの組織によって束縛されます。わたしたちは、そうした彼らに、感じることのパワーを思い出してもらいたいのです」

画像は、FARC戦闘員によるパレード(2006年撮影)。FARCは麻薬カルテルと結びつき、一時はコロンビアの3分の1を実効支配下に置き、支配地域での徴税、要人誘拐による身代金やコカイン取引で毎年推定8億ドルもの活動資金を得ていた。50年以上続いた紛争による死者は約22万人に達し、世界で最も長い内戦のひとつとされている。画像はWikimedia Commonsより

ソコロフ氏のチームは2010年、テロと暴力を阻止するための、陸軍、政府、民間団体からなる全国的な取り組みのひとつとして、約23mの高さの木9本に、2,000個のLEDライトを飾った。そして、「ジャングルにクリスマスが来るのであれば、あなたも家に帰れる。脱退しよう」というバナーを掲げた。このライトには、動きを探知する軍用の装置が取り付けられ、ゲリラ兵士がこれらの木の横を通り過ぎるとライトが光る。

このキャンペーンは、世界3大広告賞のひとつといわれる「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティヴァル」の受賞作品だ。しかしそれよりも重要なことは、FARCを去るゲリラの急増につながったことだ。キャンペーンの結果、331人のゲリラがFARCを脱退した。これは、コロンビアにおけるゲリラ人口の約5パーセントにあたるという。

ソコロフ氏は2011年のクリスマスシーズンにも、「Rivers of Light(光の川)」というキャンペーンを行った。ゲリラ兵士の家族からの贈り物やメッセージが詰め込まれた光るプラスティック製のボールが、通常彼らが巡回している川に流された。6,323のメッセージが、ゲリラたちが戦略的ルートとして使用している川に放たれたことにより、6時間あたり1人の脱退につながったという(文末に動画掲載)。

脱退したゲリラたちは現在、兵士たちとともに働き、市民生活に戻りつつある。広告キャンペーン以外の取り組みも含めると、これまでに1万8,000人のゲリラが脱退している。大量の構成員が減少したこともあり、ゲリラのリーダーたちは交渉の場に就かざるを得なくなった(2015年9月23日、コロンビア政府は、FARCと続けてきた和平交渉が半年以内に妥結すると発表した)。

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