今回の「プロレスラー出演映画シリーズ」でご紹介するのは、お馴染み"ロック様"ことドウェイン・ジョンソンが、ギリシャ神話の半神半人の英雄を演じた『ヘラクレス』(2014)。

 冒頭シーンからヘラクレス伝説の「12の難業(功業)」として知られる、レルネーのヒュドラや、エリュマントスの猪、ネメアの獅子などがCGIライブアクションで再現され、さすが今をときめくロック様の映画だぜ!といった立ち上がり。

 しかし、本作は、神ゼウスと人間の子ヘラクレスの英雄伝説が、実はフィクションであって、マッチョで怪力なのは確かだけど、あくまで普通の人間だった......という観点で語られるコミックが原作(ギリシャ神話自体フィクションだろというツッコミはダメ絶対)。
 英雄ヘラクレスが単騎で無双するような話ではなく、人間ヘラクレスとその傭兵仲間たちが、数多の戦場と陰謀の中を掻い潜り、血を流しながらも結果的に伝説になっていく過程を描いています。

 仲間たちもまたギリシャ神話の登場人物ですが、やはり"普通の人間"設定。女好きで口八丁の甥っ子イオラオス、いかにも裏切りそうなナイフ使いアウトリュコス、炎の矢で死ぬという予知夢をみたせいで捨て鉢気味な預言者アムピアラオス、男勝りの弓使い美女アタランテ、といった布陣です。

 要はロック様も出ている『ワイルド・スピード』シリーズや、昨今のアメコミ映画のようなチームアクションモノのノリで期待を煽ります。

 中盤に差し掛かり、ヘラクレスと仲間たちは、トラキアの王女ユージニアからの依頼で、反乱軍討伐の任を引き受けるも、トラキア軍は農民の寄せ集め。ということで、彼らを鍛え上げることに......なるんですが、この辺りから本作の限界が見えて来ちゃうのが難儀なところ。

 当該の盾を使った訓練や集団戦闘シーンは「『3○0』かな、いや『レッ○ク○フ』かな、アハハ」と苦笑いが浮かんで来て、序盤で盛り上がった期待値はどこへやら。「なんなら"鳩"も飛ばしなさいよ!(『レ○ドクリ○』監督の十八番芸)」と毒づきたくなって来てしまいます。
 "人間ヘラクレス"として描くという根本的な部分にもブレがあり、「それもうファンタジーの域だから!」とツッコミたくなるシーンがしばしば。俄然モヤモヤ感が増してくるのです。

 「ヘラクレスは伝説の英雄たる人物だった」と描きたかったのかもしれませんが、結局、ただの人間といいつつ、エンターテイメント性は出したいの!みたいな作風のため、行き着くところは中途半端。同系統の作品で、ロック様初主演作の『スコーピオン・キング』(2002)の方がよっぽど人間らしい描かれ方をしているかも。

 当然ながらロック様の新境地が観れるワケでもない本作に救いがあるとすれば、預言者アムピアラオスの存在。自殺願望めいた行動を取る一方、素敵ガジェットを駆使して大暴れしたりと、これがまた昼行灯系コメディ・リリーフとして良い味を出しています。

 尚、本編含め、トドメの『30○』丸パクリエンドクレジットはどうにかならなかったのかと、ブレット・ラトナー監督を小一時間問い詰めたくなるモヤモヤ感は、『○00』を観て晴らすしかないでしょう。視聴の際はそちらの準備も忘れずに!

(文/シングウヤスアキ)