引き際の美学

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今月(2015年10月)、プロ野球選手で最年長だった山本昌投手(50)がマウンドを降り、ボクシングの亀田興毅選手(28)も現役引退を表明した。どんな仕事であれ、現役を辞めるのは難しい。悔いなく笑顔で去って行く人もいれば、「老害」といわれても権力の座にしがみついている人もいる。それぞれの人生の引き際について考えてみたい。

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醜悪を見せる政治家や財界人

「人間、引き際が大切だ。いかに成功をおさめようとも、いい仕事をしようとも、最後次第で台無しになってしまう」。その通りだ。「最近、無様な醜態を見せる政治家や財界人を見かけることが増えた」。これもその通り。

『引き際の美学』(著・川北義則、778円、朝日新聞出版)は、『男の品格』や『みっともない老い方』で知られる川北義則氏の一冊である。いまの日本では、我欲に走り過ぎた結果、辞め際、去り際、別れ際、引き際がきれいでなくなっていると嘆き、人生における「終わり方」を指南する。見事な例として、アメリカの鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーや日本の本田技研工業(ホンダ)の創業者、本田宗一郎を挙げる。

男と女の別れ際についても「男なら未練があっても忘れろ」「大人の男と女に別れの言葉はなくていい」と説く。

「マサカリ投法」いまも健在

現役を引退して25年。65歳の村田兆冶は今でも140キロの快速球に挑戦している。140キロといえば、プロ野球の投手でも十分通用できる。実際、2年前の始球式で135キロを記録し驚かせた。なぜそんな快速球を投げられるのか。

『人生に、引退なし―65歳で140キロのストレートに挑む「肉体」と「心」の整え方』(著・村田兆冶、1512円、プレジデント社)で、まだまだ現役に負けられないと若さを保つ秘訣を次のように語っている。「体が健康だから心が健康になるのであって、その逆はない。体を鍛えなくてもいい。ただ体を柔らかにしてほしい。体が柔らかいと柔軟な発想になる」――。

広島県の福山電波工業高(現・近大付属広島高福山)からプロ野球、東京オリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)に入り、全身で投げるフォームで「マサカリ投法」と呼ばれ、ヒジを痛めたが復活、日曜日に活躍し「サンデー兆冶」と話題になった。現役23年間で通算215勝。90年に引退後、離島の子どもたちへの少年野球教室をライフワークにしている。

ゼロから出発し10年以内に引退

若くして財をなし、気ままに引退する方法――こんな素敵な方法があるのか。『金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法』(著・ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター、訳・白根美保子、2592円、筑摩書房)は「金持ち父さん」シリーズの5冊目で、ゼロから出発した著者たちがどのように10年以内に引退したか、その方法を書いたものだ。一生働き詰めで終わるのはイヤだと思っているなら、この本はきっと役に立つといっている。

強調しているのは、「お金の世界で一番大事な言葉はキャッシュフローで、二番目に大事な言葉はレバレッジだ」という点だ。レバレッジとは、より小さな力でより大きな物を動かす「てこの原理」のことで「レバレッジこそが、金持ちになる人とそうでない人がいる理由だ」と語っている。

第1部から「頭脳のレバレッジ」で始まり、第2部「プランのレバレッジ」、第3部「行動のレバレッジ」、第4部「最初の一歩のレバレッジ」とレバレッジが続く。まずはこのキーワードを習得するということだろう。