写真提供:マイナビニュース

写真拡大

スウェーデンの自動車メーカーVolvo Cars(以下、ボルボ)は10月20日(現地時間)、米国カリフォルニア州アナハイムにて行われたTeradataユーザーグループ主催のカンファレンス「TERADATA 2015 PARTNERS」にてデータ活用の事例を紹介した。

ボルボでは、宅配物の受け取り場所として自分の車を指定できるサービスを提供している。ユーザーが商品を注文した際に配送業者に送付されるデジタルキーと、GPSでの車の位置情報を利用して、荷物を注文主の車のトランクへ届けるというものだ。この事例は、PARTNERSの基調講演でも紹介されていた。また、遠隔操作で車内のエアコンを起動させたり、エアバックが発動したらコールセンターへ、そこでコンタクトが取れない場合は救急車へ連絡するといったアプリを提供するなど、ボルボでは、コネクティビティやテレマティクスといった技術を、早い段階から導入してきている。

しかし、登壇者のジョン・ウォルソン氏によると、「我々はデータを中心に作っている会社ではないので、分析には慣れていない。チャレンジングな状況に直面している」という。

「テラデータのアナリティクスでわかったことは、我々はひとつの会社ではあるが、製造側の部門と消費者側の部門の情報が真っ二つに分かれてしまっていたということだ。もともとエンジニアリングベースの会社だったので、製造部門のデータは理解することができていたが、一方、消費者側の部門では、キャンペーンや新製品などについてはその“印象”を見ようとしており、必ずしもデータを見ているというわけではなかった」(ウォルソン氏)

こういった課題を解決するため今年からボルボは、ハイブリットな組織である「センターオブエクセレンス」を中核としてビジネスデータの分析を進めている。

組織として重要となるのは、第一に製品の品質だ。ウォルソン氏は、ボルボについて「シックスシグマの企業である」と述べたうえで、シックスシグマはセンターオブエクセレンスと隣同士にある考え方であるとした。そのほかに重要なこととして、ウォルソン氏は異なる部門への接続性を挙げ、週1のチームミーティングで、ほかの部門を担当するアナリストと優先順位などについて話し合っていると紹介した。また、センターオブエクセレンスの任務として、データサイエンティストやエンジニアといった人材を育成することもあるとしたうえで、ウォルソン氏はこれらの取り組みについて、「これからは、“革命”ではなく“発展”を大切にし、戦略を優先してチームをマネジメントしていくことが原則となる」と語った。

また、ウォルソン氏はボルボが最近実施した「カスタマーオーダープロダクション(COP)」というプロジェクトについて触れた。これは、過去の顧客の注文データや車の製造番号データを利用することで、マーケティングのキャンペーンを個々の車に落とし込んで提供するといったものだ。高い利益を得ることが可能であったり、長期で在庫を持たなくて良いなどということがメリットとして考えられていたが、実際に調査してみると、そういうわけでもなさそうだ。

この調査は引き続き行われる予定だというが、このプロジェクトの成功要因として、ウォルソン氏は「その分野のエキスパートとコラボレーションすることができ、そのデータが何を意味しているかを学べたこと」であるとしている。マーケティング、セールス、ファイナンス部門の人々を巻き込んだクロスファンクショナルな働きの重要性が伺える事例だ。

講演の最後にウォルソン氏は、「一人ひとりの貢献よりも、チームとしての成果が重要。いろんな技能を持ち合わせたメンバーのスキルセットの総合的なものがチームとなっている。数学や統計、プログラミング、コミュニケーションスキルなどを、すべてチームでカバーしなければならない。分析のガバナンスも大切だが、プロジェクトの開始当初はそちらのほうが大事」と、チーム作りの重要性について語った。

「データだけでなく、それを管理する人間も大切だ。分析側だけではなく、ビジネス側にも適材がいなければならない。部門間のクロスファンクショナルな機敏性がなければ裁量的になりがちで、ネットワークを形成することができない。それぞれのデータソースを統合することによって新たな洞察が得られれば、進んだ“デザイナー”になり得る」(ウォルソン氏)

ボルボは来年までに、車のセンサーなどにより滑りやすい道があると検出されたら、その情報をクラウドに送信し、その地域に入った車に警告を送るという機能を提供開始する予定だという。今後も同社のさらなるデータ活用の成果に期待したい。

(周藤瞳美)