中国メディアの新浪網は22日「米戦闘艦は(中国の)『056型』護衛艦も打ち破れない。ミサイル艇に撃沈されるかも」と題する記事を掲載した。記事は、米海軍が大量建造を計画する沿海域戦闘艦の戦力の低さを強調した。(写真は新浪網の21日付報道の画面キャプチャ)

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 中国メディアの新浪網は22日「米戦闘艦は(中国の)『056型』護衛艦も打ち破れない。ミサイル艇に撃沈されるかも」と題する記事を掲載した。記事は、米海軍が大量建造を計画する沿海域戦闘艦の戦力の低さを強調した。

 同記事が取り上げたのは、米海軍が配備を進めている沿海域戦闘艦(LCS)だ。記事はまず、沿海域戦闘艦の構想は1990年に始まったと紹介。しかし、当初計画の82隻建造は、コスト上昇などで52隻と6割程度にまで縮小されたと説明。さらに、米海軍全体が運用艦を削減しており、例として空母打撃群もかつては7-8隻の水上艦で構成していたことがあったが、現在は4隻程度と論じた。

 LCSの特徴については、2015年に全艦が退役するオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート(以下、ペリー級)と比較。LCSの第1の特徴としては高速性を挙げ、フリーダム級は47ノット、インディペンデンス級は44ノットとして、ペリー級の29ノットと比較した。

 戦闘力についてはまずLCSの主砲は57ミリで、ペリー級は76ミリと紹介。対空戦闘ではLCSは「SeaRAM」、ペリー級は「SM-1MR」を搭載。さらにLCSは対潜用にヘリ1機と無人機2基を、ペリー級はヘリ2機を搭載。水上艦に対してはLCSの「ヘルファイア・ミサイル」または「グリフィン・ミサイル」に対してペリー級は「ハープーン」を搭載と列記。LCSは戦闘能力でペリー級に劣り、空母護衛には「あまりにも無理」と論じた。

 さらにLCSの戦闘力は中国の056型護衛艦にも劣っており、戦闘になれば「一方的に叩かれる」と主張。中国の小型ミサイル艇である「022型(紅稗型)」に対抗するのも困難と論じた。

 記事は、「空母戦闘群に低コストの艦を導入しても、能力が劣っていたのではよい方策とは言えない」と主張。米海軍はLCSの改良版を検討しているとして、「ユートピアから現実に回帰していることは疑いない」と断定した。

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◆解説◆
 LCS登場の背景には、米軍事戦略の「海から陸へ」の構想がある。その場合、高性能ではあるが高価なために少数しか配備できない艦を陸に近づけたのでは、損害を受けやすく、損害を受けた場合のダメージも大きくなる。

 LCSは自国軍によるネットワーク戦の最前線展開を担い、情報収集などの役割を担う。攻撃の主体はあくまでも、後方に控えている強力な兵器群なので、LCS自身の戦闘力は最小限に抑えている。LCSが損害を受けても、戦力全体への影響は抑えられるとの考えだ。

 LCSについての米軍の当初構想が成功するかどうかは不明だが、上記記事はLCSについての米軍の「想定内の現実」をたどっているにすぎないと言える。

 LCS1番艦のフリーダムは2013年に、米軍が使用権を持つシンガポールのチャンギ海軍基地に配備された。同基地には最終的に、LCS4隻が配備される予定だ。LCSを優先的にシンガポールに配備したことは、中国による南シナ海への勢力拡大を牽制しようという米国の意志をあらわすものだ。そのため中国ではLCSへの関心が高い。(編集担当:如月隼人)(写真は新浪網の21日付報道の画面キャプチャ)