究極の投資はやはり分散投資だった?
アベノミクス相場に黄色信号が点灯するなか低迷する株式市場に笑いが止まらない投資家がいる。「下がるほど儲かる」投資法の謎を緊急取材した!

◆今こそ“ほったらかし”インデックス投信の始めどき!

「株価の下落は大歓迎」と話すのは、個人投資家のkenz氏。チャイナショックによる同時株安の余波で保有する資産の価格は下落しているのに、なぜか余裕たっぷりの表情である。

 kenz氏が8年間にわたり続けているのが、インデックスファンドによる世界分散投資だ。インデックスとはTOPIXのような市場平均を示す指数のことで、これらの指数に連動する投資信託をインデックスファンドという。

 インデックス投資アドバイザーのカン・チュンド氏は、その魅力についてこう話す。

「市場全体に投資するので倒産などのリスクがなく、知らない企業や国も含めた広く浅い分散投資が可能になります」

 ただし、インデックス投資自体が下落に強いわけではない。重要なのはその買い方だという。

「毎月同じ額の投信を買い続ける積み立てなら、『下がるほど儲かる』が可能になります」(カン氏)

◆スタート時点より安くても利益が出る

 そのカラクリはこうだ。毎月1000円分のりんごを買うとする。ある月のりんご価格が200円なら5個買えるが、翌月100円に暴落すれば倍の10個購入できる。翌々月に150円まで値を戻せば、2か月かけて2000円で買った15個のりんごは2250円分になっていることになる。

 この場合、りんご価格は投資を始めた月より25%も値下がりしているのに、12.5%の利益が出ることになる。投資信託でも同じで、相場が下がって基準価額が下落すれば同じ投資額でも多くの口数を買うことができるのだ。

 下落局面で口数を稼いだ後で相場が回復すれば、一括投資よりずっと大きな利益を出せることになる。途中の下落が長いほど、また下落幅が大きいほど最終的な利益は膨らむのだ。

「一括投資なら、買った後で株価が急落し、なんとか買値に戻った場合の利益はゼロですが、積み立て投資なら2倍になってもおかしくない。途中の下落局面が深刻であるほど少しの回復で利益が出るので、右肩上がりの相場でなくても利益は十分出せます」(同)

 積み立てはいつ始めてもいいが、特に口数の稼ぎやすい下落局面は絶好の始めどきなのだという。

 冒頭に登場したkenz氏が続けているのもインデックスファンドの積み立てだ。’07年の開始直後にリーマンショックに見舞われたため一括投資なら最悪のタイミングだったが、積み立て投資では最高のスタートとなった。長い下落相場で買いためたぶんがアベノミクス以降の世界的な株高で大きく花開き、下落基調に転じた今も含み益は40%に達しているという。

「買える口数が少ない上昇相場より、たくさん買える下落相場のほうがワクワクします。長期投資なので含み益や含み損の額には興味がないですね」(kenz氏)

 世界分散投資のパフォーマンスは、資産の組み合わせ(ポートフォリオ)とその割合で大きく変わるという。値動きに相関が少ない株と債券をベースに、日本、先進国、新興国で分けるのが基本だ。株の割合が多いほどハイリスクハイリターンとなり、債券が増えるほど値動きはマイルドになる。

 カン氏が提案するのは、株6割債券4割、さらに経済規模を示すGDPの比率で国を分けるポートフォリオだ。kenz氏はREIT(不動産投資信託)を組み入れる一方、海外債券はゼロというユニークな組み合わせで投資する。

「外国債券の上昇は為替変動で相殺されることが多いので思い切って外し、日本債券を多めにしています。日本債券のリターンはわずかですが、リーマンショックの際ほとんどの資産が暴落するなかでプラスを保っていて安心感がありました」(kenz氏)