「下町ロケット」(TBS日曜よる9時)第2話より

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視聴率16.1%の好スタートを切ったドラマ「下町ロケット」(TBS日曜よる9時)。原作は池井戸潤の直木賞受賞作。10月18日放送の第1話では、阿部寛演じる主人公・佃航平率いる佃製作所が次々と危機に見舞われ、「倒産or買収」の二択を迫られた。しかし、その危機が思いがけない活路をひらく。佃製作所にいったい、何が起きているのか。池井戸潤作品に欠かせない、イヤ〜な敵役の顔ぶれと共に、振り返ってみたい。


ルー大柴による、ごめんねプレイ


事の発端は、大手取引先である京浜マシナリーらの取引中止宣言だった。引導を渡す部長役に、ルー大柴。この部長さん、反論する気を削ぐのがやたらと上手い。「カンベンしてください」と懇願する航平に「うちにだって都合はあるんだ」と強く出たかと思うと、「その通りだ、すまん」と謝ったりもする。といっても本気で反省しているわけではない。「申し訳ないけど、決定事項なんだ」と押し込み、「これはもう、どうしようもないんだ」と念押しするための“すまん”なのだ。


春風亭昇太による、ニヤニヤ罵倒


池井戸作品には、いやったらしい銀行員がたくさん登場する。今回、感じの悪い融資担当に抜擢されたのは、春風亭昇太。画面いっぱいに、ニヤニヤ笑いを披露しながら「利益をうまない特許製品なんてガラクタと同じだ」「悪いけど佃さん、御社の技術開発力を評価してる者は当行にはひとりもおりません」と貸し渋る。その後、東国原英夫演じる支店長も加わって、ねちねちねちねち。出色の気持ち悪さで、航平の好感度アップを全面サポートする。


“マネシマ工業”による特許侵害訴訟


資金繰りが苦しい佃製作所に追いうちをかけるように勃発したのが、特許侵害訴訟だ。訴えたのはライバルのナカシマ工業。同社は、他社の商品を模倣したうえ、相手を特許侵害で訴え、賠償金をとるという手法で知られ、“マネシマ”と呼ばれる。90億円もの損害賠償訴訟を仕掛けたのは同社の法務担当・三田(橋本さとし)と顧問弁護士の中川京一(池畑慎之介)。ナカシマ工業の目的は、佃製作所の技術力。裁判で徹底的に弱らせ、体よく買収しようという目論見があった。じつは、突然の取引中止を持ちかけてきた京浜マシナリーも、ナカシマ工業の息がかかっていた。


阿藤快による、ダメダメ法廷戦略


悪気はないながら、地味に阿部寛と佃製作所の面々のHPを奪ったのが、阿藤快演じる
弁護士先生。佃製作所とは先代からのつきあいだが、知的財産権には疎く、まったく頼りにならない。「大企業に弱い裁判官ってけっこういるんだよね」「つまらない反応をして、言葉尻をとらえられたらそれこそ向こうの思うツボだ」と言い訳ばかり。辛抱できなくなった経理部長(立川談春)が「弁護士の選定からやり直させてもらえませんか」と切り出すと、激昂。「金にもならない佃製作所の顧問をお父さんとのよしみでしかたなく続けてやってきたんだ」「こんな負け戦を引き受けてくれるような弁護士はいませんよ!」と捨てゼリフ。引っかき回すだけ引っかき回して去って行く。


“同級生”による、ぬか喜び


航平の元妻・沙耶(真矢ミキ)の紹介で出会った、弁護士・神谷(恵俊彰)の弁護により、特許権訴訟は好転。しかし、相変わらず資金繰りは苦しい。そんな中、開発部の山崎(安田顕)が思いがけない資金調達先を見つけてくる。同級生がベンチャーキャピタルに務めていて、資金援助が得られる可能性が高いという。ところが、その同級生はナカシマ工業と、つながっていて……というブラック展開。開発一筋の無骨な技術開発部長を演じる安田顕は、いかにも騙されそうなキャラ。にっちもさっちも行かなくなった航平に「うちの部署の誰かをリストラするなら、まず私を」と頭を下げる姿がまた、泣ける。


帝国重工と佃製作所に接点が生まれた理由


さて、そんなこんなで絶対絶命の大ピンチの佃製作所。大将である阿部寛はほぼほぼ、“降伏”で腹を決め、自分が去ることで会社と社員を守ろうとする。ところが、立川談春が「最後まであきらめずに考えましょうよ!」と泣いてすがり、恵俊彰が「まだひとつだけ手がないわけではありません」と言い出す。その一か八かの方法は「ナカシマの主力製品を、逆に特許侵害で訴える」という作戦だった。


一方、杉良太郎率いる巨大企業・帝国重工では、ロケット開発に欠かせない部品の特許が、佃製作所とかいう町工場によってすでに申請されていたと大騒ぎになっていた。じつは、知財に強い神谷弁護士のアドバイスで、ナカシマ工業との裁判のかたわら、これまで申請していた特許も総ざらい。その結果が思わぬ形で功を奏したことになる。


かくして、佃製作所の前に立ちはだかる巨大な存在として、帝国重工も参戦。むしろ、本丸はそっちか。そう考えると、ナカシマ工業の“顔芸”が地味だったのもなるほど納得。町工場VS大企業の闘いの本番はこれからだ。

(島影真奈美)