東京都港区のコミュニティバス「ちぃばす」が、運行開始から半年を迎えた。赤字覚悟のコミュニティバス路線も多いなか、事前の試算で1日1700人程度とされた「ちぃばす」の乗客数は1日約1900人、半年間で約30万人に上った。「周知が進んで、利用者が増えてきているようです」と区の地域交通事業担当者は話す。


田町駅東口で「ちぃばす」に乗り込む利用客(撮影:比嘉杏里)
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 「ちぃばす」の開通は2004年10月1日。00年の都営地下鉄大江戸線の開通と、東京メトロ南北線の目黒―溜池山王間開業の影響で、都バスが廃線となったため、新たな区民の足としてコミュニティバスの導入を決めた。名前の由来は「小さいバス」「地域に愛されるバス」だ。

 同区によると、コミュニティバス事業の年間予算は3400〜3500万円。1日合計86便で、現在2本のルートを走っている。通勤・通学利用者に対応するため、2月には朝の便が2本増やされた。運賃は一律100円で、港区は児童扶養手当や生活保護受給者、高齢者、戦傷病者らに無料乗車券を給付している。

 「ちぃばす」は全長約7メートル、幅約2メートルのマイクロバス。区内の小学校などから出されたデザインを基に、虹や動物、東京タワーを車体に描き、カラフルな外見にした。定員33人で、車いす対応の座席も備え付けられている。日本語のほか、英語、中国語と韓国語でも車内放送があり、2台の液晶モニターが次の停留所を表示する。運転手はブレーキ・アクセルをかけるたび、「停車します」「発車します」と乗客にマイクで声をかける。

 現在のところ、「ちぃばす」に関する意見は概ね好意的だ。「以前は地下鉄を使っていたけど、バスが楽」と話すのは、上田豊子さん(59)。午前9時過ぎに田町駅東口を発車する「ちぃばす」で同僚と二人、六本木にある仕事場へ向かう。「鉄道は1駅でも階段の上り下りが大変だから、良いサービスだと思いますよ」。座席はすべて優先席で、乗客らが高齢者に席を譲る光景も見られた。

 ただ、朝のラッシュ時にバス停で「ちぃばす」を待つ乗客には、通勤者の姿よりも、学生や高齢者、子ども連れの女性が多い。バスが交通渋滞に巻き込まれると遅刻する可能性もあるので、朝の通勤には鉄道を選ぶ人がいるからだ。

 同区によると、今のところ増便やルート拡大の予定はないが、区民からの要望に応えて停留所にベンチを設置。また、担当者は「これからの課題として、混雑状況や休日を考え、改善を検討していきたい」としている。【了】