【映画】“ガメラ”遂に新作映像公開! シリーズの魅力をマニアが徹底解説

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先日、突如としてYouTubeに驚きの動画がアップロードされました。

【動画】「ガメラ」生誕50周年記念映像「GAMERA」

その動画とは、日本の特撮怪獣映画界においてゴジラと双璧を成す大スター、ガメラの新作映像です!

この動画は、数多くの怪獣映画ファン、特撮ファンに驚きをもって迎え入れられました。しかも、この映像を手掛けたのが、数多くの映画やコマーシャルを作り上げてきた石井克人監督である点も、その衝撃に拍車をかけました。

とはいえ、ファン以外には、ガメラの新作映像と言われてもピンとこない若い世代も多いのではないでしょうか?

それもそのはず、リメイク版である平成三部作の最終作『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』からは16年、シリーズの外伝的な映画『小さき勇者たち〜ガメラ〜』からも10年近い時が経ってしまっているのですから。

そこで、これまでガメラに触れたことがない、ガメラを知らない方々に向けて、各時代毎のガメラシリーズを振り返り、その魅力を改めて考えながら、新作の展望についても語ってみたいと思います!

シリーズの原点となった第一作『大怪獣ガメラ』

ガメラシリーズの原点となる作品が、1965年に公開された映画『大怪獣ガメラ』です。

製作は、現在では角川映画に統合された大映。特撮映画としては、『大魔神』シリーズや平成に入って神木隆之介さん主演でリメイクされた『妖怪大戦争』などを製作しており、そうした中でも、ガメラは突出した人気と知名度を誇る作品となっています。

当時の特撮映画界といえば、巨匠、円谷英二氏を擁する東宝の独擅場状態。そして、そんな東宝が世に送り出した最高傑作といえば、勿論、ゴジラ。そのゴジラに負けじと大映が創り上げた怪獣がガメラなのです。

そんなガメラの"初出演作"となる『大怪獣ガメラ』ですが、内容は「長年の眠りから目覚めた大怪獣、ガメラが大暴れし、そのガメラに人間が立ち向かう」というストーリーです。

対東宝、対ゴジラの使命感、意地が炸裂した特撮シーンは、今、観返してみてもなかなかの見応えと強度を有しており、昭和の特撮怪獣映画を代表する一本となっています。

ガメラは、その名前の通リ、巨大な亀の怪獣です。そして、甲羅に手足を引っ込めた状態から、ジェット機の噴射口のように火を吹き出し、回転しながら空を飛ぶことができるのが最大の特徴となっています。

そんなユニークな設定もあってか、『大怪獣ガメラ』には今観るとユーモラスに映る場面もところどころ登場します。そのラストも、どこか柔和な雰囲気と怪獣に対する何とも言えない哀愁が入り交じる非常に特異なものです。

子どもたちを守るヒーローとなったガメラのキッズムービー路線

私は、ここが、ガメラとゴジラとの最大の違いだと思います。放射能や核の恐怖から生まれた怪獣、ゴジラは人類にとっての脅威として非常に恐ろしい存在として描かれています(ただし、一部のシリーズでは、コミカルな要素が出てきたり、人間を守る味方として描写されていますが)。

反面、ガメラには、どこか愛らしい、チャーミングな要素があるのです。それもあってか、『大怪獣ガメラ』のヒットを受けて製作された一連の昭和ガメラシリーズでは、次々に登場する敵怪獣を相手に、超自然や宇宙人の脅威から人類を守る"ヒーロー"として描かれることになります。

ガメラの激闘史における幕開けとなる、『ガメラ対○○○』シリーズの第一作、『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』こそ、秘境への冒険譚に人間ドラマを軸にした同時代の特撮映画らしい作品となっていますが、ガメラの永遠のライバルとなるギャオスの初登場作となる『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』以降は、徐々に子どもたちが親しみやすく、また、人間ドラマやシリアスなメッセージ性よりは怪獣同士のバトルシーンを重視したシンプルで明るい作風となっていきます。

ガメラ映画は、子どもたちへのサービスをふんだんに盛り込んだキッズムービー、ファミリームービーとなり、一貫して人類を守る正義のヒーローとして映画に登場することになるのです。

そんなガメラの前に立ち塞がる悪役の怪獣たちも実に個性豊かです。イカのような姿をした宇宙怪獣バイラス、刃物のような頭部を持ち、そこから手裏剣を発射する大悪獣ギロンなど、子どもたちに目線を合わせた分かりやすく、フリーキーな……誤解を恐れずにいえば"キッチュ"な怪獣のデザインも昭和特撮の味わい深さに満ちており、一つの魅力となっています。

そんな昭和ガメラも第七作目となる1971年製作の『ガメラ対深海怪獣ジグラ』を最後に大映の倒産を受けてシリーズが終了。シリーズのキッチュな側面を濃縮したような総集編的作品(何故か、女子プロレスラーのマッハ文朱主演)である『宇宙怪獣ガメラ』(1980年)制作後、ガメラは長い眠りに就くことになります。

シリアスさを増した平成版ガメラ『ガメラ 大怪獣空中決戦』

長いこと休眠していたガメラシリーズですが、1995年に生誕30周年記念作として平成版のガメラ第一作が製作されます。それが、『ガメラ 大怪獣空中決戦』!

監督には、SFやオカルト関連の映像を得意とする金子修介氏が登板。特撮シーンの指揮(特撮技術監督)には、アニメ関連の仕事にも定評のあった樋口真嗣氏を招いて本作は世に送り出されました。

『ガメラ 大怪獣空中決戦』は、昭和ガメラシリーズ第三作の『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』のリメイク版であり、肉食の凶悪な怪獣、ギャオスとガメラを対決を描いたものです。ただし、CGを駆使した特撮シーンや、自衛隊の協力を得ての怪獣との戦闘シーンなど、オリジナル版から格段にパワーアップを果たしています。

宿敵、ギャオスの圧倒的な凶暴性、そのギャオスの攻撃に傷つきながらも戦い続けるガメラの悲壮感溢れるヒロイックな美しさ、大迫力の空中戦と特撮シーン、そして、爆風スランプのエンディング曲……全てが完璧な素晴らしい映画です。

この『ガメラ 大怪獣空中決戦』が大ヒットを記録し、更には映画誌や批評家からも好評をもって迎え入れられたことで、後に続く『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999年)という<平成ガメラ三部作>が世に送り出されることになります。

平成版ガメラシリーズの魅力と特徴とは?

平成ガメラ三部作の最大の特徴は、キッズムービーのテイストが強かった昭和版のガメラシリーズに比べて、ぐっと大人びたハードな作風になっている点です。つまりは、大人も楽しめる怪獣映画になっているのです。

その為、作中ではショッキングなシーンも幾つか登場します。中でも、『大怪獣空中決戦』でギャオスが人間を捕食するシーンや、『レギオン襲来』での怪獣レギオンによる地下鉄襲撃シーンは、シリーズ屈指の衝撃度と恐怖感を誇るシークエンスとして、ファンの脳裏に強く記憶されています。

また、シリーズを通してのキーアイテムとなる勾玉の登場、人類を守る守護獣としてのガメラの描き方といった、昭和版からSF色を薄め、伝奇的な要素を増した点も平成ガメラ三部作における特徴の一つです。

更に、シリーズ最終作となった『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』では、人類を守るガメラの存在そのものにも疑問を投げかけ、その正義を問うという、これまた衝撃的かつ意欲的なシナリオが用いられています。

昭和のポップでキッチュなキッズムービー路線から一転、大人びてシリアスな作風へと変化した平成版ガメラ。

そうした作風を受けてか、次作となる『小さき勇者たち〜ガメラ〜』では、『大怪獣空中決戦』から『邪神<イリス>覚醒』までの三部作とは設定を一新し、主人公の少年とガメラの絆を描いたジュブナイル・ムービーへと路線を変更。監督には、東映の戦隊ヒーローや仮面ライダーシリーズで活躍する田粼竜太氏を招き、明快なキッズムービー、ファミリームービーとして製作されました。

それまでのシリアス路線の平成版ガメラから昭和版ガメラへの回帰とも言える方向転換であり、新たなガメラ像を確立するかと思われましたが、残念ながら本作をもってガメラ映画は再び長い休眠期間に入ることになるのです。

新作ガメラを撮る石井克人監督に迫る

そんなガメラが遂に復活……! 『小さき勇者たち〜ガメラ〜』以降は、特撮怪獣映画が下火になり、新作が長らく途絶えていた一方で、海外からは日本の怪獣映画に影響を受けた『パシフィック・リム』が逆上陸しヒットを記録。

更には、ゴジラがハリウッドで再度リメイクされ、庵野秀明監督のもと、新作のゴジラがスタートと、長年の空白期間を経て、今再び怪獣映画の熱が高まりつつある昨今、まさに満を持してのガメラ復活となったわけです。

そんな"新ガメラ"ですが、現在、YouTubeで観ることができるトレイラーを手掛けているのが、石井克人監督。数多くのCMやアーティストのPVでディレクションを行ってきた映像作家であり、映画監督としても活躍をされているクリエイターです。

そんな石井監督の代表作といえば、やはり長編劇場映画監督デビュー作となった『鮫肌男と桃尻女』でしょう。

『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』の公開と同じく1999年に公開されたこの映画は、望月峯太郎さんの同名漫画を原作とした作品(ただし、大まかなストーリー、設定を用いているだけで、ほとんどオリジナル作品と言える内容です)。鮮烈な映像と個性的なキャスティングが観る者に強烈な印象を残すアクション映画です。

本作の魅力となっているスタイリッシュな映像とオフビートなコメディ感覚は石井監督の作風における大きな特徴の一つだと言えるでしょう。

また、様々なクリエイターが集結したオムニバス作品『Grasshoppa!』シリーズや、劇場映画第二作『PARTY7』のオープニング映像で観ることができるようにアニメーションへの注力も作品の個性となっており、2010年には長編アニメーション作品『REDLINE』を製作しています。

果たして、新作ガメラは、どのような作品になるのか?

映画ファンの間では、石井克人監督といえば、CMやPVでスタイリッシュな映像を作り出すディレクターであり、一風変わったコメディ映画を撮る監督であり、何よりアニメーションの人というイメージがあったかと思います。

それ故に、特撮映画作品への参加、しかもガメラの新作に……というニュースは、多くの人にとってかなりの驚きだったはずです。

そんな石井監督が一体、どのような特撮怪獣映画を撮るのか? そして、どのようにガメラを描くのか? 今から興味は尽きません。トレイラーを観返してみても、短い時間ながらもなかなかにショッキング仕上がりになっているのが先ずは目を引きます。

長年に渡って激闘を展開してきた宿敵、ギャオスの登場はファンにとっても嬉しいところですが、容赦なく人間を捕食する獰猛さは、平成版のそれを連想させます。ここだけを観ても昭和版の中〜後期の牧歌的とも言える作風や、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のファミリー路線よりは、もっとハードな大人向けの特撮作品になるのでは? と感じられますね。

また、ギャオスの造型もなかなかにグロテスクでヴァイオレンスです。こうしたショッキングな映像が全編に渡って展開されるのか? そして、何より、後半に登場する新怪獣の正体は? そして、きぐるみ特撮ではない、CGで描かれた怪獣たちは、本編でどのような動きをするのか?

石井克人監督という特撮怪獣映画界においては、新機軸のクリエイターが生み出すガメラだけに、全くどうなるか読めません。

そもそも、今回の新作がどのような形態でリリースされるのかすら未だ分からないのですが、やはり長年のファンとしては劇場でガメラの勇姿を観たいところ……ドキドキしながら続報を待ちたいと思います。

様々な姿を見せてくれるガメラシリーズの魅力

大映が生み出した怪獣、ガメラ。人類の前に突如として現れた巨大な亀の怪獣は、やがて子どもたちの味方となって悪の怪獣に敢然と立ち向かい、地球の平和を守ってきました。

時は流れ、平成の世に入るとガメラは、凶暴性を増した怪獣たちと更なる激闘を繰り広げ、時には自分が守ってきた人間に憎悪を向けられ、また、時には再び子どもたちの良き友達となりました。

そうしたシリーズ毎、時代毎の変遷こそが、"ガメラ"という怪獣映画の最大の魅力だといえるでしょう。

長い眠りから目覚め、新しいクリエイターによる指揮のもと、我々の前にその巨体を今再び表そうとしているガメラ。

まだまだ謎のベールに包まれた新ガメラですが、これからの展開が非常に楽しみですね。

また、新作公開の前に旧作のガメラを劇場の大画面で観るチャンスが!

東京国際映画祭の日本映画クラシックスにおいて、『ガメラ 大怪獣空中決戦』『ガメラ2 レギオン襲来』『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』の平成ガメラ三部作と、その原点ともいうべき昭和版ガメラとギャオスの戦いを描いた『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』が上映されるのです。しかも、平成三部作は、いずれも4Kの超高画質によるリマスタリング映像での公開となります。

これらの作品と『鮫肌男と桃尻女』は、新作ガメラを考える上で是非とも事前にチェックをしておきたいところ。興味のある方は、劇場でガメラの勇姿をご覧ください!