シリア戦、イラン戦を1勝1分けで終えたハリルジャパンへの、セルジオ氏の評価は…?

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ラグビーとの比較はさすがにナンセンスだと思うけど、「今の日本代表の試合は退屈」という声が上がるのも仕方ない。

日本代表がW杯アジア2次予選のシリア戦に3−0で勝利し、続く親善試合のイラン戦に1−1で引き分けた。負けなかったわけだし、最低限のノルマはクリアしたといっていい。ただ、内容的にはかなり物足りなかったね。

シリア戦は2次予選の大一番。警戒心を煽(あお)るメディアもあったけど、普通に戦えれば負ける相手じゃない。フィジカルの強いシリアにしっかり構えて守られた前半こそ苦労したものの、後半に入って岡崎がPKをもらったのが大きかった。彼のしたたかさはさすがだよ。

先制点を奪ったことで、シリアが前に出てきてスペースが生まれ、日本のパスがつながるようになった。だから、3−0というスコアは妥当。相手の出方を変えさせた岡崎がMVPだ。もっとも、チームとしてはミドルシュートが少ないのも、両サイドからのクロスの精度が低いのも相変わらずで課題を多く残した。

続くイラン戦は親善試合とはいえ、ハリルホジッチ体制になってから初めてとなる強豪とのアウェー戦。最終予選のいいシミュレーションになるし、シリア戦以上に重要な意味を持つ一戦になると注目していた。結果は、お互いにラッキーな得点を決めて、1−1の引き分け。

でも、残念だけど内容では完全に負けていた。球際の激しさ、攻撃のバリエーション、セットプレーの迫力など、ほとんどの面で日本が劣っていた。特に前半は球際で負けてパスミスを連発し、何度もチャンスをつくられた。3失点、4失点して負けても不思議じゃなかったね。よく引き分けに持ち込んだと思う。

選手個人で見ても、宇佐美、香川、柴崎らはハリルホジッチ監督の目指す縦に速いサッカーをやろうと一生懸命なんだけど、相手の激しい当たりを受けて何もできなかった。吉田もPKを献上した場面をはじめ、不用意な対応が目についた。

この2連戦を通して目立った活躍をした選手がいなかったのは残念。これまでハリルホジッチ監督は軸となるメンバーを固定してスタメンを組んでいるけど、これだけ物足りないプレーを続けるなら、次の試合はスパッと外して、他の選手にもチャンスを与えるべき。そうやって競争させないとチームは強くならない。

若い世代の押し上げという意味でも、イラン戦でA代表デビューを果たした南野が注目されていたけど、後半43分からの出場では意味がない。あれでチャンスを与えたとはいえないよ。

まあ、日本はアジアの中でも決してずば抜けた存在じゃない。必死にならないと予選は勝ち抜けないということが、この時点ではっきりしたのは収穫。そういう意味では、いいマッチメイクだったね。

日本の目標は、あくまでW杯で勝つこと。強い相手と試合をすることで、何ができるのか、何が足りないのかがわかる。毎年のようにブラジルと試合を組めなどと言うつもりもないし、興行重視の国内での親善試合を全否定するつもりもないけど、強い相手、厳しい環境を求めて、もっと外に打って出るべきなのは間違いない。

ちょうど欧州選手権の予選が佳境だけど、32年ぶりに予選敗退したオランダなどにオファーを出せばいいんじゃないかな。

(構成/渡辺達也)