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 NTT株以来の超大型上場として話題の郵政3社上場。10月19日には、ゆうちょ銀行の売出価格(公募価格)が1450円、かんぽ生命保険が2200円に決定した。それぞれ仮条件の上限額となり、投資家の盛り上がりぶりが伺える。

 しかし “間違いなく儲かる”という前評判がある一方、郵政株の成長性に首をかしげる声もある。果たして、今回の郵政上場は爆儲けのチャンスなのか。SBI証券シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏に聞いた。

「まず、郵政3社の上場は通常の上場銘柄とは性格がまったく異なります。時価総額13兆円という規模もさることながら、上場の目的も特殊です。政府が郵政株を売却し、東日本大震災の復興資金を得たい。政府からすると、財源を確保するためにも、郵政の株価を簡単に下げるわけにはいかないという思惑があるわけです」

 新規上場株(IPO)は「初値売り」ですぐ手放し、利益を確定するイメージがある。だが、郵政株の場合、個人投資家の多くが長期保有に傾くと、藤本氏はにらむ。

「日本郵政とゆうちょ銀行の今期の配当利回りは1.7〜1.8%程度と、なかなかの高水準をキープしています。今後引き上げる方針があるとも報じられており、かつての電力株のように預貯金代わりに購入したいという人が続出する可能性も十分ありえます」

 結果、株価が上がることはあっても、下がるリスクは少ないというのだ。では、疑問視される企業としての成長性はどうか。

「“業績を見たら買えない”と言いたくなる気持ちはよくわかります。実際、現時点では成長性が見えないのも事実です。ただし、だからこそ今が『買い』とも言えるんです。JTやJR東日本がそうだったように、郵政の主力事業である郵便事業も今後、業態が変わっていくはずです」

 かつて、JTが上場を果たした1994年当時、JTの事業の99%は国内たばこ事業が占めていた。しかし、現在では国内たばこ事業は全体の28%。上場前に人気が過熱した結果、上場直後の初値は売出価格を下回ったが現在、株価は上場当時の約5倍だ。一方、JR東日本は1993年の上場当時、事業の96%を鉄道を占めていたが、現在は67%までダウン、株価は約2倍である。

「郵政3社の場合、従業員約24万人(正社員)を擁する超巨大企業であり、約2.3兆円にも及ぶ人件費にメスを入れれば、相当な利益が生まれるのは間違いない。また、24万人もの戦力がいれば、新たな金融商品の企画や販売で席巻する展開も十二分に考えられる。何より、郵政グループは今回の上場で初めて、株主の厳しい目にさらされる。成長性が乏しいと見切りをつけるのは“本気”になった姿を見てからでも遅くありません」

 日本郵政のIPOに参戦するタイムリミットは10月23日。日本郵政の仮条件は1100円〜1400円、最低売買単位は100株。当選時の最低必要資金は約14万円だ。

「SBI証券やマネックス証券、カブドットコム証券など引受証券会社61社のうち、いずれかに口座があれば、ブックビルディング(抽選)に参加できます。すぐ口座を開きたい場合は店頭に行けば、当日中に開設できます。当選で得られるのはあくまでも、売出価格で購入する権利。購入期間が過ぎると自動的に権利を失うだけで、購入しなくてもとくにペナルティはありません」

 国内株式市場をあげての一大イベントに乗るべきか、乗らざるべきか。ともあれ抽選だけ参加し、購入する・しないの判断は購入申込み期限(ゆうちょ銀行・かんぽ生命は10月23日、日本郵政は10月30日)まで先送りするという、第三の選択肢もある。<文/島影真奈美>

【藤本誠之氏】
SBI証券シニアマーケットアナリスト、All About「株式」ガイド。「Yahoo!ファイナンス株価予想」で39連勝し、“福の神”の異名をとる。『株は「連想ゲーム」だ!』など著書多数。「相場の福の神ブログ」