座位時間が長いと出てしまう「貧乏ゆすり」。家族からみっともないと言われそうだが、貧乏ゆすりで死亡リスクが下がるようだ。英国の疫学調査から。

 調査対象は英国の37〜78歳(平均年齢55.8歳)の女性、約1万3000人。1日当たりの平均座位時間と貧乏ゆすりの程度、食事や喫煙など生活習慣のほか教育程度や就労の有無など、ライフスタイルに関わる情報を入手。貧乏ゆすりのレベルは「全くしない」から「常にする」までの10段階で評価し、座位時間、貧乏ゆすりの程度と平均12年の追跡期間中の全死亡との関連を調べた。

 関連因子の影響を調整して解析した結果、1日の座位時間が5時間未満のグループに比べ、座位時間が7時間以上/日で貧乏ゆすりをほとんどしない(レベル1〜2)女性の全死亡リスクが1.3に上昇。ところが、座位時間が7時間以上/日でも、貧乏ゆすりをある程度する(レベル3〜4)女性の全死亡リスクは0.75に、頻繁に行う(レベル5〜10)女性は0.76に減少したのだ。

 さらに、座位時間が5〜6時間/日かつ貧乏ゆすりを頻繁に行う女性の全死亡リスクは0.63と、有意に減少している。

 研究者らは「貧乏ゆすりは座りっぱなしに関連する全死亡を減らす可能性がある」とし、そのメカニズムも含めてより詳しい検討が必要だと結論している。

 近年、座りっぱなしの時間が長いほど2型糖尿病や心血管疾患の発症率が上昇し、全死亡リスクが増加することが知られるようになった。昼間はデスクワーク中心、車移動中心で、家でもゴロゴロの現代人にとって他人事ではない。

 貧乏ゆすりがなぜ、全死亡リスクを下げるのかは不明のままだ。ただ、貧乏ゆすりのような「ノン・エクササイズ・アクティビティ」もちりも積もれば何とやらで、2.5時間/日の貧乏ゆすりで消費されるカロリーは、1時間/日の散歩に匹敵し、うっ血した血行の改善も期待できる。

 とはいえ、それなら自分も、と積極的になれないのがこの方法の欠点。マナーか健康リスクか、それが問題だ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)