日本は世界一医療費が高い米国の轍を踏んではならない

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 前回は、4月にスタートする「患者申出療養(かんじゃもうしでりょうよう)」という新しい医療制度では、患者の経済的負担をほとんど軽減できないことをお伝えした(前回の本コラム参照)。

 反対に、この患者申出療養によって混合診療が拡大され、新しい医薬品や治療法が開発されても健康保険に収載されず、長期にわたって高額な治療費を自費で強いられることを患者たちは不安に思っている。

 さらに、この10月5日に環太平洋経済連携協定(TPP)が大筋合意したこともあり、これまで日本では歯止めがかけられてきた混合診療が、外圧によって全面解禁されるのではないかといった懸念もあるようだ。

 では、この患者申出療養を突破口に、混合診療は全面解禁に向かうのか。今回は、日本の医療政策や財政事情、外圧との関係などから、その可能性を考察してみたい。

部分解禁と全面解禁では
大きく異なる混合診療

 患者申出療養は、健康保険が適用された「保険診療」と適用されていない「自由診療」を、一定条件のもとに認めた保険外併用療養費の第3のカテゴリーとして創設された。

 当初、規制改革会議が提案したのは、安全性や有効性の検証もなく、患者が希望すれば保険外の治療をなんでも健康保険と併用させるという実質的な混合診療の全面解禁を狙ったものだった。しかし、医療の安全を無視した当初案には各方面から強い反対の声があがり、規制改革会議は修正を余儀なくされることになったのだ。

 そして、最終的には、「患者からの申請を基点とする」「申請から実施までの審査期間が原則2〜6週間」「身近な医療機関でも治療を受けられる」といった点を除けば、従来からある先進医療(保険外併用療養費の評価療養)とほぼ同様の運用で落ち着くことになった。

 つまり、患者申出療養は、厚生労働省の管理下に置かれ、一定条件のもとで混合診療を部分的に認めたものに過ぎない。また、安全性と有効性が確認されてデータが積みあがれば、将来的な健康保険収載の道も開かれ、「混合診療の全面解禁」には程遠い内容になった。

 このように、今回は、患者団体や健康保険組合、日本医師会、厚生労働省などの頑張りによって、混合診療の全面解禁を押しとどめることができた。

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