V・プレミアリーグ女子が10月17日(土)に東京体育館で開幕した。初戦は昨季惜しくも3連覇を逃した久光製薬スプリングスが、産後復帰した銅メダリスト荒木絵里香を擁する上尾メディックスに3−1で逆転勝ち。久光は9月のアジアクラブ選手権でも中田久美監督が登録されず、コーチの加藤陽一が代行。また、10月9日に開かれた開幕記者会見でも「所用で欠席」とのことでビデオメッセージのみ。開幕前日の記者会見も欠席で心配されていたが、17日には会場で采配を振るう姿を見せ、久光ファンをほっとさせた。

 中田監督は会見で、開口一番「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」と謝罪の言葉を述べた。昨年ぎっくり腰になってから腰の具合が悪く、アジアクラブ選手権は腰痛と所用のため帯同せず、開幕会見の頃にはヘルニアの手術を行なったという。

「今日の試合は、正直早く終わってくれ!と思っていました」と報道陣を笑わせていた。昨季はVリーグ3連覇を前提のうえで、世界クラブ選手権での頂点を見据えていた。しかし、ファイナルの思いがけない敗北(対NECレッドロケッツ、1−3)で歯車が狂った。

「私自身も選手もすごく苦しみました。その後の世界クラブでも世界にはじかれ、悩みました。選手たちと本気でぶつかって、バラバラになりかけたりもしました。そういう意味で、開幕戦の今日勝てたことは私たちにとって大きなプラスです」

 また、36打数22本決定、サーブレシーブ28本で22本成功の新鍋(しんなべ)理沙について「今日は完璧だった」と評価した。

 上尾では中国から帰化した松本亜弥華がスタメンでプレーした。188センチと日本人選手の中では最高身長の松本は動きも悪くなく、ブロック得点が2、サービスエースが1。ミドルブロッカー陣に不満を抱える全日本代表への道もありそうだ。

 第2試合はデンソーエアリービーズが岡山シーガルズをフルセットで破った。デンソーはスタメンセッターに9人制からスカウトした森田麻実子を据え、3セット目途中からは助っ人外国人選手のミア・イエルコフを下げて攻撃を散らし、フルセットを制した。両チームともベンチ入りメンバー全てがコートに立ち、特に岡山は試合の中で選手を試していた感がある。

 岡山の河本昭義監督は、全日本セッターでもある宮下遥について、「リードしたときに上げ急ぐ、攻め急ぐところがあった。全日本から帰ってきてから他チームとやるのが初めてだったから仕方ないという気持ちと、遥ならやってくれるはずという気持ちと両方があります」とコメント。宮下自身も、自分が攻め急いだトスを上げていたことは自覚があったようで、「トスの修正が最後までできなかった。次からはしっかりと焦らないでトスを上げていきたい」と語った。

 18日の第1試合では、昨季最下位のトヨタ車体クインシーズが覇者NECをストレートで下す波乱があった。トヨタ車体には2014年の世界選手権で日本が予想外の敗北を喫したアゼルバイジャン代表のエース、ポリーナ・ラヒモワが加入。198センチの長身から繰り出す角度のついたスパイク、破壊力のあるサーブで昨季の女王を粉砕した。3セットのみだったにも関わらず、67打数と圧倒的なワンマンバレー。また長身の割にディグ(スパイクレシーブ)もよく、NECの売りである島村春世のブロード攻撃(※)を何度となく拾って攻撃につないでいた。
※ミドルの選手がライトに流れながら打つスパイク

 NECは全日本でブレイクした新人・古賀紗理那が決定率51.7%と気を吐いたが、ミドルの2人が25%と8.3%、外国人助っ人のイエリズ・バシャが16.7%と決定力に著しく欠け、3階席まで埋め尽くした大応援団の前で開幕戦を落とすこととなった。

 昨季6位と低迷した東レアローズだが、日立に3−1と逆転勝ち。全日本の木村沙織、迫田さおりがともに44打数で決定率も34.1%と47%。日立の松田明彦監督に「助っ人外国人選手が入ったからといっても、東レのキーマンはやはり木村、迫田の両エース。今日は2人とも調子がよかった。リードされたときに、なかなか我慢しきれなかったところが課題」と振り返る。

「今季からバレーを変えた」という日立は、栗原恵がベンチ外。トスを速くし、センターからの速いバックアタックを仕掛けていた。

 東レの記者会見では、「質問はバレーに関することだけに限らせてもらいます」と厳戒ムード。結婚報道の渦中にある木村は「去年もその前も開幕戦を勝てずに、それをひきずったリーグになってしまったので、開幕戦をしっかり勝てるように準備してきました。それだけに、この試合に勝てたことはチームにとっても大きな収穫だと思います」と笑顔でコメント。福田監督によると「木村と迫田は身体的にも精神的にも本当に疲弊しきって帰ってきたので、5日ほど休みを与え、リフレッシュさせました。そのあともチームの練習メニューとは別に筋トレなどをしっかりさせて、身体をしっかり作り直しました。それが今日の結果につながったと思います」と2人の出来に満足げだった。

 会見後、結婚報道について質問された木村は、「何も言うことはありません。近しい関係者に報告にいったこともありません」とだけ答えて足早に去っていった。

ワールドカップ中盤から失速した木村の復調は東レにとっては好材料だ。妹の木村美里も、昨季までの危うさは消え、正リベロとしての務めを果たしていた。

 開幕戦を見たところ、まだ、どのチームも完成度は低く、序盤戦は混沌としそうだ。V・プレミアリーグ女子大会は1月24日までレギュラーラウンドを戦い、上位6チームがファイナル6へと進む。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari