お金の謎を解く冒険。今回は「投資家」という生き方と「資産運用」の具体的なお話を伺います。先生は資産運用のプロ・内藤忍さんです。「投資家とはお金の経営をする人のこと」と定義する内藤さん。ぼーっとしていてはお金は増えていかないこの時代、自分のお金をどのように運用すればいいのでしょうか? お金の本質が見えれば、人生が開かれる! 人気投資マンガ「インベスターZ」とのコラボ企画。最高の講師をお迎えして、お金の授業がいま始まります!!
取材・構成:岡本俊浩/写真:加瀬健太郎/協力:柿内芳文(コルク)

話題の投資マンガ「インベスターZ」とは
中学生が株式投資!? 世界一タメになるお金漫画、誕生!創立130年の超進学校・道塾学園にトップ合格した財前孝史。入学式翌日に明かされる学園の秘密、それは各学年成績1位のみが参加する「投資部」が存在することだった。少年よ、学び儲けよ!そして大金を抱け!! 投資部・財前の「株儲け」がいま、幕を開ける。

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<今回の先生>

内藤 忍(ないとう・しのぶ)

1964年生まれ。東京大学経済学部卒。91年MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。東大卒業後、住友信託銀行、シュローダー投信投資顧問で資産運用に従事。99年、マネックス(現・マネックス証券)の創業に参加。マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長 などを経て、12年に資産デザイン研究所を設立、代表取締役。現在は、早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学で講師も行う。また投資家の集まるワインバー「SHINOBY`S BAR 銀座」オーナーとして飲食店経営にも関わる。著書に『10万円から始める![貯金額別]初めての人のための資産運用ガイド』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『内藤忍の資産設計塾』シリーズ(自由国民社)などがある。

人生には「2つの制約」がある

 人の一生には、2つの制約があります。

「お金」と「時間」です。

 どちらも無限大に使えるとしたら、それはもう贅沢極まりない人生でしょうが、そう甘くはありません。

 なかでも「お金」は、働かない以上手に入れることができません。

 だから、誰もが大人になると働きに出るわけですよね。

 ただし、働けば働くほど「時間」はなくなってきます。

 人生、仕事がすべてではありません。暮らしや子育て、友だちと過ごす時間、趣味、あるいは勉強や旅--誰もがそれぞれ、やりたいことがあるはず。

 なぜ働くのかというと、やっぱりそれは幸せになるためだと思うんですが、働けば働くほどに時間はなくなるわけです。

 この矛盾。お金と時間のバランスをとるにはどうしたらいいんだろうか。このことを、もう一度問い直してみるべきだと思うんですよ。

 世の中には数多くの職業がありますが、ひとつ言えるのはこの区分けです。

「労働者」と「経営者」の2つ。

 でも、労働者が自分の時間を自由に使えるかというと、そうではありませんよね。

 こんなことがありました。

 私は投資セミナーやワークショプをやっているんですが、この何年かで海外ツアーもやっています。

 海外不動産の投資を目的とした視察ツアーですね。カンボジアからアメリカまで、いろいろ出かけてきました。

 参加者は大企業のサラリーマンばかり。

 ツアーの日程はこうです。土曜の朝に出て、火曜日に日本に帰ってくる。3泊4日。ゆっくりした日程である理由は、単に物件を見るだけでも味気がないですし、現地でおいしいものも食べて、参加者同士で交流も深められたらいいよね--という狙いからなんですが、多くの参加者が口をそろえてこう言うんですよ。

「内藤さん、月曜の朝は全体会議があるから、ムリムリ。帰らなきゃ」

 企業に勤めているんだから、仕事の都合はあるでしょう。自分もサラリーマン経験がありますから、わかります。

 でも、一方ではこうも思うわけですよ。

「本当に月曜の朝から、やらなきゃいけないこと満載なのか」

 ですから、こう尋ねました。

「何か発表とかあるんですか」

 そしたら、ある方からこう返ってきました。

「ないです。でも……出ないと、なんかちょっとまずいんですよ。情報共有しなきゃいけないし」

 なんかちょっと、まずい。

 微妙な表現に、「立場」を感じずにはいられませんでした。

 しかし、ですよ。単なる情報共有だけなら、メールでもいいわけですよね。もっと言うなら、有給を年間に1日、2日とったって、会社全体のパフォーマンスにどれだけ影響が出るのかというと、出るわけがないですよね。大きな会社なんですから、バックアッパーがいるのが当然なんです。

 よく考えたら、それは一目瞭然のはず。

 それでも、労働者は自分の時間を会社に捧げている。もしかしたら必要以上に。

 有給に限らず、年に1度の長期休暇をとるんだって大変でしょう。

 同僚や部下への引継ぎをし、前後のスケジュールは圧迫されるからかえって忙しくなってしまったり。休暇先でもなんだか申し訳ない気分になるから、空港でクッキーを買いこんでみたり、なんだかもう--。

「お金を経営する」仕事がある

 では、「経営者」になったら、時間的制約から自由になれるのかといえば、そんなこともありません。

 自分も小さいながらも会社をやっていますから、日々実感するんですが、人は思い通りには動いてくれないんです。むろん、予想すらしない動きをして、高いパフォーマンスを発揮してくれることもあります。

 ただ、ならして見てみると、会社経営って、とてつもない時間へのコミットメントを必要とするものなんですよ。経営者で左団扇なんていうのは、あり得ないんです。ユニクロの柳井正さんであるとか、日本電産の永森重信さんのように、「24時間経営者」の人は、仕事が趣味みたいなものですからいいとしても、経営者だって人間です。やっぱり時間は欲しい。

 では、働きかたって、いまの2つですべてなのか。「第3の道」はないのか。

 あると思うんですよ。

 それは「投資家」です。

 労働者は自分が働いて、お金を得る。経営者は従業員に働いてもらってお金を得る。その点、投資家は、

「お金に働いてもらって、お金を得る」

 わけです。換言するなら、

「お金を経営する経営者」

「君は日本株を」「君はベトナム株を運用してください」と、采配を自らが下すわけです。

 金融商品の取引ひとつとってみても、お金は自分が指示を出さない限りは勝手に動いたりしませんし、また出した指示に対して、さぼったりもしません。不動産投資なら、土日もきっちり家賃を稼いでくれる。

 お金って、けっこうまじめに働いてくれるんです。

 投資家になれば、用もないのに会社に行く必要はありませんし、自分の裁量で時間に融通をつけることもできる。

 もちろん、いきなり投資で食べていくことはハードルが高い。食べていくぐらいの収入を得ようとしたら、その分、元手がかかるからです。

「職業、投資家」

 などと言うと、こんな声が返ってくるかもしれませんね。

「お金を右から左にだなんて。自分は働かないんだろう。卑怯じゃないか」

 日本人の根本にある労働観って、学校の銅像にある「二宮金治郎」(二宮尊徳、江戸時代の思想家)のころから、あんまり変わっていないんですね。つまり、がむしゃらに努力して、汗びっしょりになって働いた人「だけ」がえらい。コツコツ働き、コツコツ貯金が日本人である。これが美徳。

 しかし、投資は脳に汗もかきますし、知性や洞察力も求められる。ですから誤解でしかないんですが、それはさておき--コツコツ「貯金」というのは、いまの日本が置かれた状況を考えると、問題があるかもしれないんですよ。幾つかの論点に触れながら、考えていきましょう。


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