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港区台場にあるソニーの体験型科学館「ソニー・エクスプローラサイエンス」で行われた、ソニー太陽株式会社主催による『インクルージョン・ワークショップ』を取材した。

このワークショップは同地で定期的に行われてるものの一つで今回は、音の伝わる仕組みを楽しく学ぶ『ペットボトルと牛乳パックで作るヘッドホン』というテーマで、親子で力を合わせてヘッドホンを作ろうというイベントだった。

台場のメディアージュ5階にあるソニー・エクスプローラサイエンスは、先端の映像技術やセンサー技術を駆使して楽しく遊べる科学館で、子どもでなくても興味を持つ科学展示が多いのが特徴。

この日は親子合わせておよそ50名ほどが参加し、さっそく会社の説明や、完成品の公開が行われた。

スピーカーを作ったことはあるが、ヘッドホンを作るという経験は記者もまだない。
もしかしたら糸電話の延長線のようなモノでも作るのだろうかと想像していた。
しょせんペットボトルと牛乳パックで、子ども向けなので、それはそれで仕方がないと思い、欠席者があったので報道関係者では記者が唯一、子供たちに混じって一つ作ってみることにした。

ペットボトルの上の溝に輪ゴムをはめて、油性ペンで線をつける。

ペットボトル専用のはさみで、その線に沿って切り落とす。

向かいに座っていた沙奈さん(10・小学4年生)にモデルをお願いして、「製造工程」をお見せする。
お母さんが「ちゃんとカメラ向いて!」と促してくれたが、見事にモデルを演じてくれたので記者も製作に専念できた。

ペットボトルを上部と底に分離して、加工を続ける。

強力なネオジム磁石を底に両面テープで貼り付け、さらにセロハンテープで十字に止める。

磁石がペットボトル上部の飲み口にはまるように差し込んで、3点をセロハンテープで止める。

沙奈さんが持っているこのパーツが、ヘッドホンのスピーカー部となる。
なんだか本格的な気がしてきた記者。先の糸電話発言をこの時点で撤回。

耳にあたる部分に保護クッションを両面テープで巻きつけるが、この時にスピーカーの振動部分(ペットボトルの底)に当たらないように注意する。

飲み口の首の部位分に20メートルのホルマル線を巻き付け、コイル部分を作る。この作業が本日一番の山場となる。
ステレオヘッドホンなのでスピーカー部は2つ必要だが、時短のため1つは完成品とはいってもスタッフの手作りが「お手本」として用意されていた。

沙奈さんが奮闘中のこの作業は、オーディオケーブルにホルマル線を結線しているところ。
手でねじって、セロハンテープでスピーカー部に固定するだけだが、線が切れないように注意しながら結線する。

記者の完成品。なんだかすごいものができそうな予感がしてきた。

子どもたちは、音が鳴るかどうかのテストをしにスタッフのもとに殺到する。

ちゃんと鳴るかどうか不安でいっぱいの子、自信満々の子、それぞれの思いを胸に、いざ勝負!

記者はまさか子供たちと並ぶわけにもいかず、自分のスマホでテスト。
これで鳴らなかったらとんでもないことになるところだったが、音が聞こえて一安心。
というよりも、いい音出していてびっくり。
昔の密閉型ダイナミックヘッドホンのような柔らかく、最近のキンキンした音ではなく温かみのある懐かしい音でまた驚いた。

その後、簡単な座学が行われ、今作ったヘッドホンの仕組みは、ソニーの最高級品と原理は全く同じだという説明があり、「お小遣いをためて買ってくださいね」とスタッフが言うと、一同爆笑。

さらに、フレミングの左手の法則の解説があり、「中学校で習うので、その時にこのヘッドホンのことを思い出してくださいね」という解説。これは非常に効果のある学習ではないかと思った。この子たちは、今はわからなくても中学生になったらこの日のことを思い出して、フレミングの左手の法則は、おそらく理解するであろう。

最後に、低音から高音まで実際にスピーカーから音を出して、可聴領域のテストが行われた。
聞こえてたら手を挙げてくださいというスタッフの声に、親子全員が手を挙げていたが、15kHzあたりから大人が聞こえなくなり手が下がっていく。
18kHzあたりになると、手を挙げ続けている子供に親が「本当に聞こえてるの?」と疑いだし、20kHzになっても手が挙がっている子はヒーロー状態。
これは聴覚異常ではなく、大人になると聞こえなくなるので問題ないとのフォローが入り、親は一安心。

ところで、スピーカー部はできたけれども、ヘッドセットはどうするのだろうかと思っていたら、作り始めた。

耳に当てるヘッドセット部をウサギの耳に見立てて耳に当てる沙奈さん。
すかさずシャッターを切ると、「恥ずかしい」と言い、お母さんから小さなげんこつを食らってしまった。

これは遊んでいるのではない。
牛乳パックを二つに折って、両面テープで貼り付け、頭の形に癖をつける。

穴の開いた「ウサギの耳」にペットボトルのキャップを外してスピーカー部を通し、再びキャップを閉めて固定すする。
このアイデアは素晴らしい。目からウロコとはこのことか。

全員で記念撮影を行い、一連の製作工程は終了。

これは記者の作品。ウォークマンを接続して聞いてみたが、見事としか言いようがない出来だった。

記者の製作はここで終えたが、子どもたちはヘッドセット部に毛糸を巻いたり、シールを貼ったりして「デコ」を施していく。

全員に終了証が授与されイベントは終了した。

帰宅してこのヘッドホンで音楽を聞いてみたが、音がひずんだり割れたりすることはなく、そもそも牛乳パックとペットボトルなので軽い。従って重量の負担は全く気にならず、耐久性の問題だけクリアできれば、家で普段使いのいいヘッドホンになると思う。
100均でカチューシャでも買ってきて、ヘッドセット部に取り付ければ耐久性は上がると思われる。

同社ではホームページで製作工程を公開しているので、子どもの自由研究だけではなく、大人の工作としても最適なマイヘッドホンづくりにチャレンジしてみてはいかがだろうか。

ソニーのホームページで詳細が公開されているので家庭でも簡単に作ることができる。
(ただし、このページのものは若干古い設計で、今回製作のものは近日アップする予定とのこと)

http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr/ForTheNextGeneration/ssp/workshop/headphone.html

※写真はすべて記者撮影

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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか