映像の著作権って誰のもの?――トラブルを防ぐために知っておきたい映像にまつわるルールのはなしvol.1

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映像コンテンツや広告を制作する上で、関係する法律を正しく理解しておくことが、結果的にさまざまなトラブルの回避につながります。

そこで本記事ではまず著作権の基本を解説します。

文化の発展を目的とした著作権法

著作権法は、文化的創作物を適切に守ることで文化の発展に寄与することを目的に制定されました。著作権などはこの法律によって守られています。
申請登録が必要な特許などとは異なり、著作権は作品が完成した時点で自動的に発生し、効力が生まれます。

映像制作に携わる立場の人が理解しておくべき著作権周辺の全体概要をまとめたのが下の図です。それぞれの用語の意味を解説していきます。

著作物

人または企業などによって”オリジナルで”創作されたものはすべて「著作物」とみなされます。企業などの動画広告・動画コンテンツはもちろんのこと、個人が撮影したホームビデオなども著作物に該当します。ただし、他人のマネをして制作されたものは、著作物に該当しません。

なお、アイデアは著作物として認められていません。あくまで”表現”としてアウトプットされたものが著作物であり、その背景にあるコンセプトなどは対象とならないのです。

▼映像に関連する主な著作物

著作者

著作物を創作した人を「著作者」と言います。映像関連の著作物については、プロデューサー、監督、撮影監督、美術監督など、著作物の”全体的形成”に創作的に寄与した人が著作者に当たるとされています。(映画などの)原作や脚本、楽曲など、映像の構成要素を創作した人は、映像全体の著作者にはなりませんが、それぞれの著作者にはなります。

また、以下の条件を満たしている場合は法人が著作者となり、「法人著作」「職務著作」と呼ばれます(法人格に限らず、団体などでもこれに該当します)。

・法人などの発意により制作された
・法人などの職務に従事する人によって、職務として制作された
・法人などの名義で発表された
・雇用契約や勤務規則において上記に異なる定めがない

著作者の権利――著作者人格権と著作権

著作物の創作によって生じた「著作者の権利」は、「著作者人格権」と「著作権」に分けられます。

「著作者人格権」とは、著作者自身が著作物や著作者名の公表方法を決められる(公表権、氏名表示権)他、その創作物を他人に勝手に改変されない権利(同一性保持権)を指します。著作者人格権は、他人に譲渡などできず、必ず著作者に帰属します。

一方「著作権」とは、著作物を放映、展示、翻訳、二次使用などができる権利です。著作権は原則的には著作者に属するため、映像の制作を制作会社に委託した場合は、制作会社が著作権を有することになります。

ただし、著作権は譲渡可能な権利のため、双方合意の上で、依頼主側に権利を移すこともできます。また、制作会社側が著作権を保有しながらも、依頼主側での一定範囲の利用を認める場合もあります。

「買い取り」について

映像や広告制作などの業界では慣習的に「買い取り」という言葉が使われます。その解釈が業界や企業で統一されていませんが、おおよその意味としては「著作権の譲渡」に相当します(費用についてはケースバイケース)。口頭で「買い取り」という約束が交わされるケースも見られますが、後のトラブルを防ぐためにも、契約書面上に、誰に著作権が帰属するのか、誰がどこまで利用可能なのかを明記しておくことが重要です。

著作隣接権

映像の演出家や出演者などの「実演家」、DVDなどに最初に収録した「レコード製作者」、動画コンテンツを配信するテレビ局やYouTubeなどの「放送事業者」はそれぞれ、著作者ではないものの、その著作物の制作において重要な役割を果たしたとして、「著作隣接権」が発生し、録画・複製したり、インターネット上で公開するなどの権利が認められています。

国際的に守られる著作権

以上のように、映像などの制作に携わった人はさまざまな権利を与えられ、保護されています。だからこそ、知らないうちに他者の権利を侵害してしまわないよう、常に注意が必要です。

なお、もし著作物が国外に出ても適切に保護するべく、各国は条約を結び、お互いの国の著作物や権利を守っています。海外のコンテンツなら勝手に転用しても大丈夫、などとは決して考えてはいけません。

次回公開予定の「トラブルを防ぐために知っておきたい映像にまつわるルールのはなしvol.2」では、今回解説したルールの原則を踏まえた上で、実際の映像制作や配信の段階で気をつけるべき点などを解説します。