MITが「宇宙ガソリンスタンド月支店」の研究を発表。月で燃料生産、火星行き宇宙船を満タンに

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昨年はじめ、マサチューセッツ工科大学(MIT)が発表した「宇宙ガソリンスタンド」の研究は、月へ向かう途中のポイントに燃料補給機を配置することで、月探査船の打ち上げ時搭載燃料を軽量化しつつコストも削減するというものでした。

MIT は今回、この宇宙ガソリンスタンドに月の資源利用を組み合わせ、有人火星探査へと応用する研究を発表しました。

 NASAが2030年代の実現を目指す火星有人探査ですが、火星軌道へ人を送り込むには、月へ行く場合に比べ数百倍もの距離を航行しなければならず、燃料もそれなりの量が必要です。NASA はオバマ大統領が2010年に火星探査計画を発表した際、すでに宇宙空間で燃料補給する構想を明らかにしていました。

MIT は昨年、月への探査船投入で宇宙に配置した燃料補給装置を使用するという研究を発表しています。この研究では宇宙船の燃料消費は地上から宇宙の軌道上へ出る時にもっとも激しいことに着目し、まずは地球の軌道へ出るためだけの燃料で打ち上げを行い、軌道で待ち構える燃料補給装置でタンクを満たしてから、改めて月へ向かうとしていました。

一方で、月には2009〜2010年に月に到達したインド宇宙研究機関(ISRO)の探査機チャンドラヤーン1号やNASAの月探査機エルクロスが月の極地域に多量の氷の存在が確認されています。MIT は月の氷と月面の土を加工して燃料に変えられれば、有人火星探査において月が燃料生産基地の役割を担えると考えました。

今回の MIT の発表は、火星へ向かう宇宙船をいったん寄り道させ、月の資源から生産した燃料を補給してから火星へ向かわせるというものです。

もちろん、この研究の実現には有人の火星探査ミッションの前に月で水(氷)を掘り当て、さらに燃料を精製する設備の建設が必要です。ただ、この方式なら打ち上げ時機体重量をおよそ68%削減でき、全体のコストを大幅に圧縮できるとしています。

 

 

実際に火星へ向かう側として考えれば、宇宙空間での燃料補給というミッションが増えることになります。しかしそれは ISS では日常的に行われている作業でもあり、技術的にはさほど難しいものではないと予想されます。

この研究は MIT の博士後研究員、石松拓人氏の論文に基づいており、MIT は一度火星へ行くだけなら今までの方法でも可能ではあるものの、繰り返し火星と往復するならば、サプライの現地調達・補給基盤の整備は不可欠になるとしています。

NASA はこの9月、火星に液体の水(塩水)が存在することを確認したと発表しました。これは火星でも水を材料に燃料を調達できる可能性が高まったことを意味します。火星でもで宇宙船に燃料を補給できるようになれば、火星から地球へ帰還できる可能性も高まります。さらに火星よりも向こう側への有人探査も実現するかもしれません。

下は2013年11月23日、ボストン日本人研究者交流会における石松拓人氏の講演。