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製品設計者向けにインターネット経由で半導体デバイスおよび電子部品を小口販売することを得意とする米国の独立系商社Mouser Electronicsは、2015年6月、東京にカスタマ・サービス・センターを開設した際にも明らかにしていたが、アジアおよび欧州からの需要増加を見越して、米国テキサス州ダラスの南、Mansfieldにある本社倉庫を1.5倍に拡張する工事を行っている。「最新の設計のために最新の(半導体)製品を(The Newest Products for Your Newest Designs)」をキャッチフレーズに、エンドユーザーの新規設計を支援するために、新製品を競合他社よりも早期に豊富にそろえて、世界中の設計者に迅速に届ける体制を構築しつつある。

同社本社では、2016年春の完成をめどに倉庫の拡張工事が進められており、すでに外装工事が完了している(図2)。新たに、床面積25万ft2の倉庫が追加され、本社の総床面積は75万ft2(約7万m2)に拡大される。

現在、倉庫部門には670人の従業員がおり、その内75名が夜間勤務を行い、毎日24時間365日注文を受け、その日のうちに出荷する体制をとっている(図3、4)。倉庫拡張でさらに雇用が生まれるということで、地元の期待は大きい。Mouserは、倉庫は世界で1カ所、本社内にのみ設置し、売り切れが生じないように常に補充しつつ、そこから世界に向けて出荷する体制をとっている。米国は受注の翌日配達、欧州、韓国は2日、日本は3日、中国は4-5日で配達される。韓国が2日と速いのは、本社近くのダラス空港と韓国インチョン空港間にFedExの貨物便が毎日運航しているためである。

Mouserの売り上げは、2013年は前年比14%増、2014年は29%増、そして2015年は11%増の予測と2桁成長を続けている。地域別の売り上げ比率は現在、アメリカ大陸が55%、欧州26%、アジア・パシフィック19%である。アジアおよび欧州の顧客数は、季節変動はあるものの、長年に渡り順調に伸びている(図5)。直近の地域別売り上げの成長率は、米国+10%、アジア+15%、欧州+31%(ドル換算では+9%)で、アジアの伸びが大きい。

今夏、東京に開設されたカスタマ・サービス・センターは、同社にとって21番目のオフィスで、アジアでは8番目である。本来はもっと早く日本オフィスを開設する予定であったが、先行した中国オフィスの立ち上げに時間を要したため今年になってしまったと言う。

日本での売り上げの伸びは10%強であるが、これをアジア平均の15%へと伸ばすため、日本市場の強化にのり出している。

Mouserは、今年、月平均185の新製品(電子部品)を追加しているが、どこよりも早く新製品を世界中の設計者に届け新規設計を支援するために、「New Product Introductions(NPI)」という作戦を実施し、半導体・電子部品を製造する世界中の500社以上のメーカーと密接に連携し、新製品を一刻も早く品ぞろえし、技術ドキュメントを整備し顧客からの問い合わせに応じられる体制を敷いている。エンドユーザーである設計者の1回の注文ですべての部品をそろえてワンボックスでスピーディに配送することに注力しており、価格競争に巻き込まれる事を避けるようにしている。「われわれは顧客の研究開発から試作までカバーし、迅速な納品で顧客のスピーディな開発を支援している。競合他社が扱う量産用の半導体・電子部品は、取扱い量が多くても利幅は小さい場合が多い。我々のビジネスモデルは、製品開発設計者からの少量の注文を一括即日処理し、1件の売り上げは小さくても、それが多数あれば大きな売り上げになる多品種少量多売である。顧客からの迅速な納品の要求は厳しいが、価格の要求は厳しくないので適正な利潤を確保できている」と 欧州・アジア担当シニアVPのMark Burr-LLonnon氏(図6)は話す。現在、16カ国語、19通貨による63の地域別Webサイトを立ち上げて注文を受け付けているが、最近はモバイル(スマートフォンなど)からのアクセス(訪問数150万件/月)や発注(1万件/月)が増加しているという。

(服部毅)