億劫がらずに検査を! Fuchsia/PIXTA(ピクスタ)

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 2015年9月19日、フリーアナウンサーの黒木奈々さん(享年32)が、胃がんのため亡くなった。一年前に胃がんであることを公表し、自身の闘病体験を綴った『未来のことは未来にまかせよう 31歳で胃がんになったニュースキャスター』を刊行し、仕事を再開した矢先の訃報だった。

 がんが、日本人の死因の上位を占めることは、よく知られている。近年でこそ、がんのなかでも肺がんや大腸がん上位だが、数年前までは胃がんが第1位。

 その胃がんに関して、国立がん研究センターの「予防研究グループ」は今年9月、年齢や生活習慣に応じて、10年以内に胃がんが発症する確率を予測するモデルを発表した。

 予測の根拠となるのは、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の全国6地域の保健所管内に住む計約1万9000人(40〜69歳の男女)へのアンケートと追跡調査だ。

男性の発症リスクが高く、加齢で確率が高まる

 血液提供のあったこれらの人々を、15年以上(1993〜2009年)にわたって追跡調査した上で、生活実態や病歴を尋ねるアンケートを重ねた。そして、年齢や性別、ピロリ菌や慢性胃炎の有無、喫煙や塩分の多い食生活など、生活習慣の危険因子を判定材料に、胃がん発症の危険性を分析した。

 その結果、慢性胃炎をもつ70歳の男性で、なおかつ[ゝ扮譟蓮劉⊃討姉弟姉妹に胃がん患者がいる][1分の高い食生活]の3つの危険要因をすべて満たす場合は、10年以内に胃がんを発症する確率が約15%だった。

 一方で、[ぅ團蹈蟠櫃鮖たない][ニ性胃炎がない]40歳男性で、さらに[Φ扮譴覆掘呂覆匹隆躙瑛廾がない場合は、発症確率は0.04%と、がぜん低くなることが判明した。一方、女性の場合は、慢性胃炎がある70歳で、先の 銑の危険要因をすべてもっていても、その確率は5%で男性よりも低かった。

 全体で見れば、男性の発症リスクのほうが高く、特に加齢によってその確率が高まることも明らかになった。

危険因子を点数化、合計スコアで自分の発症確率を確認

 国立がん研究センターでは、個人の発症確率を推定する簡易モデルをホームページで紹介している。
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outocome/3693.html

 年齢、喫煙の有無などの危険要因を0~11までに点数化し、合計24点で簡易判定スコアを算出する方法も紹介。40歳以上の場合、この合計スコアが14点以上になると、10年間の発症確率は1%以上に上昇する。

 胃がんといえば、黒木奈々さんをはじめ、かつて大人気を博した同じくキャスターの逸見政孝さんもこの病に倒れた。その一方で、お笑いコンビ「雨上がり決死隊」の宮迫博之さんの場合、2012年に胃がん手術を受けたが、再起して元気に活躍している。

 どのタイプのがんであれ、初期段階では自覚症状は気づきにくいものだ。だが、その反面、胃、つまり、"おなかの調子"は意識しなくても、日々向き合っているもの。おまけに、喫煙習慣や、家族の病履歴という危険因子は、研究機関のデータを取り上げなくても、本人が一番よくわかっているだろう。

 胃がんの「ステージ1」と呼ばれる早期発見の場合、5年生存率は8割以上。危険要因に"思い当たる節"のある人は、つねに自分の"体の声"を聞き、億劫がらずに検診を受けることが肝心だ。1万9000人のデータが、それをあらためて物語っている。
(文=編集部)