クライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージの第3戦で、敗れた阪神のラストバッターがマット・マートン(34)だったのも、不思議な巡り合わせである。
 このファーストステージ前に、マートンが来季は構想外であることが報じられていた。マートン自身もCS前のチーム全体練習で「6年間は素晴らしかった」と覚悟を決めたような発言を続けていたが、他球団はそうは見ていない。首位打者1回、最多安打3回の実績は捨てがたいというのだ。
 「一度解雇された外国人選手が別球団と契約して、引き続き日本でプレーするのも多く見られるようになりました。マートンは日本球界での生活も長く、こちらの勝手(習慣)も分かっています」(スポーツ紙記者)

 しかし、マートン獲得にはリスクもともなう。それは、阪神が構想外を決断した理由でもあるが、年俸が高くなりすぎたことだ。今季年俸は4億5千万円(推定)で、残留となればそれ以上を要求してくるのは必至。他球団がオファーを出すとしても、「最低でも阪神時代と同じ」と、吹っ掛けてくるだろう。
 「気まぐれというか、性格に難がありますからね。集中力が切れたときには緩慢な守備でチームの足を引っ張り、本塁突入で相手チームの捕手を突き飛ばしたり…。マートン獲得を検討していたとしても、歓迎しない選手も多いのでは」(ベテラン記者)

 マートンの今後だが、メジャー復帰に関しては悲観的にならざるを得ない。外野手として、守備はまずまずだが、肩は強くない。打撃も日本で安打を量産した実績は評価されるであろうが、今季は打率2割7分6厘、本塁打9と物足りない成績だった。来季35歳という年齢からしても、大半のメジャースカウトは「欲しい」とは思わないだろう。
 「マートンの代理人はかなりヤリ手です。来日1年目にいきなり年間安打数の記録を更新しましたが、夏場に観戦と称して日本にやってきて、『メジャーに復帰するかも』と各メディアに吹聴し、阪神との残留交渉を優位に進めました。もう、他球団にアタリをつけているんじゃないか」(同)

 たしかに今季は、獲得した外国人選手が活躍せず、泣かされた球団も少なくない。巨人を例に出すと、セペダ、アンダーソン、フランシスコ、カステヤーノといった外国人野手よりも、マートンのほうが確実な戦力だ。大型補強による強力打線を編成したはずのオリックスや楽天、グリエルの来日をアテにして泣かされたDeNA、ペナント終盤で故障者が続出した千葉ロッテ、打線低迷の広島などは再検討の余地がある。
 「かつて巨人は野村監督時代の阪神で『性格に難アリ』と見られていたダレル・メイを獲得し、チームに貢献させました。環境が変われば性格がなんとかなる場合もある」(球界関係者)

 アメリカ、日本以外のプロ野球リーグの環境は芳しくない。メジャーリーグに帰還できないと分かれば、好環境と高年俸を補償する日本球界にしがみつくはずだ。マートンが今オフの“目玉商品”になるかもしれない。