優勝を逃し、選手の野球賭博が発覚。問題続きの名門球団を救う次期監督となるのは、いったい誰なのだろうか?

伝統の巨人軍が揺れに揺れている。

クライマックスシリーズ(CS)目前の10月5日、久保博球団社長が緊急会見し、福田聡志投手(32)が野球賭博に関与したことを公表したのだ。

「福田は同僚の笠原将生投手の知人と、巨人戦も含む野球の試合の勝敗を賭け、百数十万円負けた。その相手が川崎のジャイアンツ球場まで取り立てに来たことで問題が発覚。福田と笠原は即座に謹慎に処せられましたが、解雇および球界追放は間違いないところでしょう」(スポーツ紙記者)

翌6日、CSに向けた全体練習が行われた東京ドームで、原辰徳監督は「事の大きさを受け止めている。監督として心を痛めています」とコメント。練習前には白石興二郎オーナー、久保球団社長が緊急集会を開き、さらに全選手・職員を対象にした聞き取り調査など、徹底的な対応を決めた。

「この6月に読売新聞社東京本社社長となった山口寿一さんは、企業コンプライアンス(法令遵守)に極めて厳しい。その影響もあるでしょう」(全国紙記者)

「紳士たれ」をチームの訓是とした巨人軍を襲ったこの醜聞は、士気を大いに低下させ、もうひとつの"大問題"に影響を与えるとみられている。

「原監督の去就です。野球賭博の件では、最終的な管理責任を問われることもありえますからね」(テレビ局スポーツ担当記者)

通算12回目のシーズンを終えた原監督は、これまでリーグ優勝回数7回、日本一3回という輝かしい戦績を残している。

「しかし、3年契約最終年の今季序盤から、原さんの退任報道が相次いだ。おたく(週刊大衆)は江川、アサヒ芸能は川相と、具体的な後任の名前を出して報じたから、原さんはかなり気にしていたみたい。それから、通常ならオールスター戦前には相談があるはずのFA戦略や外国人に関しても、監督にまったく相談がなかったそうだ」(夕刊紙デスク)

そして、シーズン最終盤の9月26日、日刊スポーツの一面に大見出しで〈原監督V逸なら解任も〉という文字が躍った。

「記事には〈シーズン最終盤の時期になっても球団は正式な続投要請を行っていない〉〈優勝に届かなかった場合は解任に踏み切る可能性がある〉とある。同紙は原監督と"関係が近い"とされ、原さんの意向を汲んで『解任』という言葉で球団への不満をぶつけたのでは、との声もあります」(巨人軍担当記者)

しかし、この記事が"逆効果"だったという。

「巨人軍上層部の心証が悪くなり、原退任が確定的なものになりつつある。記事が続投要請を催促する意図だったとしたら、正反対の結果をもたらしそうです」(前出のスポーツ紙記者)

国民的な関心事といっていい次期巨人軍監督の座。ポスト原は、いったい誰になるのか?

「原さんの退任報道と前後してDeNA退団が報じられた中畑清監督、以前から名前が挙がっていた桑田真澄氏も含めると、計6人の名前が浮上しました」(専門誌記者)

当初、最有力候補として挙がったのが、松井秀喜ヤンキースGM特別アドバイザーと高橋由伸巨人軍兼任コーチの名前だった。しかし、元V9戦士で野球評論家の黒江透修氏は、

「松井、高橋の両名は、いずれは監督に就任するだろうが、今はまだ時期が早いのではないか」

と述べる。

松井にはコーチ経験がないうえ、アメリカから戻ってくる気配もない。

由伸はまだ現役に色気がある。そこで現実味のある選択肢となったのが、川相昌弘ヘッドコーチの監督昇格説。松井、あるいは由伸監督までの「つなぎ役」として、2〜3年任せる、という案だ。

ヘッドコーチといえば、ユニフォーム組のナンバーツーだが、テレビに映る巨人のベンチの光景では、原監督の隣には常に村田真一野手総合コーチが立つ。

「二軍監督から昇格した当初から、川相ヘッドの存在感は薄く、週刊誌報道で名前が出て以来、原監督との関係も微妙なものになっていった」と球界関係者は語るが、ここにきての監督昇格説には、強力な後ろ盾の存在が囁(ささや)かれる。

異例のシーズン中人事の狙い

「読売新聞東京本社の山口社長は、現在、ナベツネさんに次ぐ読売グループのナンバーツーの実力者。この山口社長が、川相ヘッドの力量を高く買っているらしいんです」(事情通)

また、さらに別な秘められた狙いがある、と言うのはベテラン記者だ。

「巨人は5月、それまで原沢敦球団代表が兼務していたGM兼編成本部長に、読売新聞東京本社の堤辰佳運動部長が就任すると発表した。異例のシーズン中の人事だが、これは、今後はGM職を独立させて権限を強化し、フロント主導でチーム作りをするという意思の表れだ」

さらに続けて、

「フロントが求めるこれからの巨人軍監督は、コントロールしづらい大物や元スター選手じゃない。野球に精通しながらも、球団の意向を汲む人材なんだ」

こうした事情が明らかになれば、前出のように今季、原監督にFA戦略などに関する相談が一切なかったことも理解できるだろう。しかしながら、"川相巨人監督説"を聞いたある巨人OBはこう首をかしげる。

「いくらなんでも、地味じゃないか……」

今季の巨人は、10月4日のシーズン最終戦で、3年連続300万人の観客動員を達成。ドームでの1試合平均の観客動員数は実に4万4000人を超え、リーグ優勝は逃したものの、人気は衰えを見せていない。これを裏返すと、川相監督で、これだけの集客が見込めるのかという不安材料ともなってくる。そういう意味で評価されるのが江川卓氏だという。

スポーツライターの江尻良文氏が解説する。

「江川氏のファンは多いですからね。巨人監督になるのは非常にリスクを伴うけど、現在の江川氏は泥をかぶってもいい立場だから、一番収まりがいい。彼自身ももう還暦だし、おそらく今回がラストチャンスでしょう」

しかし、前出の黒江氏はこう語る。

「江川は評論家として活動しているけれど、グラウンドに降りてこない。監督や選手とコミュニケーションを取らないで解説する人物が、監督としてうまくやっていけるか、疑問だね」

いずれも帯に短し襷に長し、すべての条件を満たす人材は見当たらないのが現状と言える。前出の江尻氏が言う。

「原監督がCSに勝って日本一になったら続投でしょう。"日本一を土産に退任"はない。長嶋さんも2000年の王さんとのミレニアム対決を制して日本一になったとき、辞めるつもりだったと思いますが、続投要請を断れませんでした」

川相ヘッドの昇格、江川氏の抜擢、そして原監督の続投、という三択に絞られた来季の巨人監督。CS、そして日本シリーズの裏で繰り広げられる壮絶な暗闘の勝者は、誰になるのか。

そして、その指揮官は、現在、重大な局面を迎えた巨人軍を再建することはできるのだろうか――。