日本シリーズでもヤクルトファンの傘の華が歓喜で躍るか!

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巨人に快勝し、日本シリーズ進出を決めたヤクルトスワローズ。個々の選手の活躍はもちろんだが、前年最下位のチームを劇的に引き上げた裏には真中満監督の“意識改革”がある。

それは、中心となる若い選手が萎縮せずに、最大限の力を発揮できる環境をつくること。そして、それ以外にも様々なことに着手したのだ。

得点の効率を上げるため、打順も組み替えた。3番として中心打者に成長した川端(かわばた)慎吾を後半戦から2番に上げ、1番だった山田哲人(てつと)を3番に固定。4番には勝負強いベテランの畠山和洋を据えた。

真中監督は開幕前、「一番打てる打者に一打席でも多く回したい」と、シーズン最多本塁打の記録保持者であるバレンティンを3番に置く構想があったようだ。ところが、開幕直後に足を故障、手術のために帰国してしまい、暗礁に乗り上げた。

そこで何度か打順のテコ入れを行なった末、オールスター明けには「川端、山田、畠山」という“2番からのクリーンアップ”を形成。これが見事にハマり、3人で打撃主要部門のタイトルを総なめにするほどの破壊力を見せた。セ・リーグのあるライバル球団のスコアラーが、ため息をつきながら話す。

「従来の1番・山田、3番・川端という打順だと、山田が出塁しても2番が手堅くバントで送るケースが多く、どちらかを抑えれば打線を分断できた。でも、今のヤクルト打線は1番が出塁すれば、次打者の川端は足があって内野安打も多く、併殺打が少ないから、送らずに強攻策を取ってもリスクが少ないんです。

こうやって3人の強打者を並べられると、誰かを歩かせて次と勝負ということはできないし、周囲の打者が打てば大量点につながりかねない。しかも、9月下旬にはバレンティンまで復帰。彼らの相手をする投手たちは戦々恐々ですよ(苦笑)」

そして、昨年と比べて大幅に改善されたのが投手を含めたディフェンスだ。最下位に沈んだ昨年は、打線が点を取っても投手が大事な局面で痛打を浴びたり、守備陣も失策に加えて記録に残らないミスが目立ち、自滅して敗れることが多かった。

「だから真中監督は、打撃のみならず守備、走塁、そしてバッテリー部門に至るまで、制約を撤廃した。例えば、守備、走塁で丁寧(ていねい)にいこうと思いすぎたり、失敗に対して首脳陣が過剰に選手を責めたりすると、今の若い選手たちはガチガチに硬くなって足が止まることもありますから。

バッテリーの攻め方にしても同じで、投手は初球から打たれたらどうしようとか、0ボール2ストライクから打たれたらどうしようとマイナス思考になってしまうと、力を発揮できません。選手それぞれが失敗を恐れず思い切ってプレーをする中で、成長していけばいいという考えが徹底されている。首脳陣は技術や野球に対する意識向上のサポートをしっかりやるよ、というスタンスですね。

今季、捕手としてリーグで唯一、規定打席に到達した中村悠平は、真中監督から『勝負球が狙われて打たれても仕方ない。腹をくくっていけ』と言われたそうで、リードの幅が広がりました。彼が“扇の要”として、石川雅規や館山昌平らベテランに対しても臆することなく、投手を牽引したことも大きいと思います」(前出・ヤクルトOB)

こうして選手たちに積極性を求める真中監督は、自身の采配でも攻めた。4月には故障が癒えて間もないバレンティンを起用し、1試合で再び戦線離脱させてしまったが、9月の勝負どころで再来日すると、「まだ早い」という声もある中で、ほぼ“ぶっつけ本番”のスタメン起用。結果、復帰初戦の巨人戦でホームランを放ち、「絶対に優勝する」というチームへの強いメッセージともなった。

選手たちの足かせを取り払い、爆発的な成長を呼び起こした“真中の兵法”。この意識改革なくして、今季の大躍進があり得なかったことは間違いない。

●この全文は『週刊プレイボーイ』42号にてお読みいただけます。ヤクルトを爆発的に変えた“真中監督の兵法”を徹底分析!