長けりゃいいってもんじゃない!? Valua Vitaly/PIXTA(ピクスタ)

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 日本女性が、メイクで最も気をつかうのは「目元」。今では信じ難いが、1970年代には、熱したスプーンのカーブ部分にまつ毛に当ててカールさせるということが、うら若き女子の間では行われていた。

 80年代に入ると、おなじみのビューラーが登場。手軽に、まつ毛をカールできるようになった。このビューラーも、"イケてる女子"はドライヤーで温めたという。

 そして90年代には、水に溶けない、泣いても滲まないマスカラが登場。2000年代になると、まつ毛パーマで長期的にカールが保てるようになった。そして今や、「100均で『つけまつ毛(通称つけま)』買い放題時代」を迎えた。

 振り返れば、日本女子が長年、涙ぐましい努力を展開してきたのは、ひたすら目をハッキリくっきり見せるためである。欧米や中東の女性のように、根本から太く長~い天然まつ毛はうらやましい限りだ。

 ところが実は、まつ毛の長さにはある法則が存在するという。

哺乳動物22種のまつ毛と目のサイズを測定

 「まつ毛の法則」を発見したのは、米・ジョージア工科大学の研究チーム。リーダーの生物学者デビット・フー氏は、これまでにも猫から象まで哺乳類動物の膀胱が空になる速さを測定し、話題になったことがあるユニークな研究者だ。

 今回の研究は、生まれた娘の美しいまつ毛を眺めているうちに「ヒトには、なぜまつ毛があるのだろう」と考えたのが始まりだという。

 フー氏らは、小はアムールハリネズミから大はキリンまで22種の哺乳動物のまつ毛と目のサイズを測定した。

 すると、どの動物でも、まつ毛の長さは「目の幅の3分の1」だったのである。

不自然な「つけま」は"空気ゾーン"を破壊

 フー氏らが、目とまつ毛の模型を風洞(人工的に空気の流れを作るトンネル型装置)の中に置いて実験したところ、まつ毛が目幅3分の1より短いと、風をさえぎる屏風のような機能が不十分。

また、3分の1より長いとまつ毛が筒のような機能を持ち、角膜の方に風を送ってしまう。そして3分の1ぴったりのときに、目を乾燥と微粒子から守る空気のゾーンが形成されることがわかった。

 つまり、あまり自然とかけ離れた長い「つけま」を装着していると、目が乾燥してしまう恐れがあるのだ。さらに、若い頃からの乱暴なまつ毛メイクによってまつ毛が薄くなったり、抜けてしまったりした場合は、乾燥と微粒子から目をしっかりと守れなくなってしまう。

まつ毛は目を守り、コスメ産業を元気づける?

 フー氏らの研究によれば、まつ毛は「目への風(空気の流れ)をコントロールして、目を乾燥や微粒子から守っている」ということになる。

 そのほかにも、まつ毛の役割としては一般的に、●汗が目に入るのを防ぐ、●太陽光のまぶしさを和らげる、●猫のひげのようにセンサーの役割がある、●コスメ産業に財をもたらす、などが挙げられている。

 「目の大きさでまつ毛の長さが決まる」ということは、もともと目が大きな欧米や中東の女性は、まつ毛も長くて当然。大きな目がさらにパッチリ見えるのは、生物として自然だというわけだ。
(文=編集部)