今夜スタートするTBS日曜劇場の新ドラマ「下町ロケット」(土曜よる9時、初回は2時間スペシャル)。原作は池井戸潤の同名小説。第4回直木賞受賞作でもある。ドラマ放送に先駆け、10月3日から朝日新聞で「下町ロケット2 ガウディ計画」の連載も始まった。ドラマの後半では、新聞連載とドラマが同時進行という、異色の試みが行われる。さっそく原作をおさらいしながら、見どころを探っていきたい(完成披露試写会レポはこちら)。


今回の主人公は町工場の二代目社長


物語の主人公・佃航平は元・宇宙開発機構の研究員。父親の後を継ぎ、下町にある精密機械工場「佃製作所」の社長になった今も、ロケット開発の夢を諦めきれずにいる。よく言えばピュア、悪くいえば、世間知らず。会社の資金繰りが危ないと経理部長に聞かされても、「(特許の)商用化を目指せば、売上げに貢献できるはずだ──と、そんな説明で、銀行を説得することはできないだろうか」などと、夢見がちなことを言ってしまうところがある。


《図体がでかいこともあって見かけは無骨な中小企業のオヤジでも、中身は繊細な研究者のままだ》という航平を演じるのは、阿部寛。今でこそ、熱く夢を語っている航平だが、「いまのあなたには夢も希望もない」と、妻に三下り半を突きつけられた過去もある。


土屋太鳳演じる、ひとり娘の梨奈との仲もしっくり行かない。心配した航平が声をかけても「たまに帰ってきて父親づらしないで」(大意)と、とりつくしまもない。「夢を追いかける」というと聞こえはいいが、ふわふわと夢だけを追うのは難しい。現実には面倒なことがたくさんある。そんなことは百も承知の上で「夢はあるか」と、池井戸作品は問い続ける。


突然の大口取引中止、銀行の貸し渋り、特許侵害の訴えと、次々危機に見舞われる佃製作所。身長189cmの阿部寛が大きな背中を丸めてしょんぼりする姿はなんともいじらしい。文句を言いながらも、周囲が放っておけなくなる感じがよくわかる。


国産ロケット打ち上げの悲願


ライバルと呼ぶには企業規模も、スタンスもまるで異なる対極の存在として描かれる帝国重工。杉良太郎演じる藤間社長の悲願である「国産ロケットの打ち上げ」を目指し、社員が一丸となって、開発に取り組む。


ロケットを打ち上げるために絶対欠かせない、ある部品の開発特許を佃製作所が持っていたことがきっかけで、両社は関わりを深めていく。日本と代表する大企業と、ごく小さな町工場が仕事に対する誇りと愛情、夢を賭けてぶつかり合う。


イヤ〜な上司も、もちろん登場


純国産ロケット開発計画の“スターダスト計画”を率いるのは、吉川晃司演じる財前道生。上司と部下、さらには大企業と中小企業の間に挟まれ、葛藤するという役どころだ。財前の上司・水原を演じるのは、木下ほうか。ドラマ「流星ワゴン」でチュウさん(香川照之)をぶちきれさせた、あのイヤ〜な上司ぶりで、吉川を追い詰めてくれるはずだ。

さて、「ルーズヴェルト・ゲーム」に続いて始まる、作業着萌えタイム。よくよく見ると、作業着の下に着るワイシャツの色からネクタイの有無まで、着こなしに案違いがあるのも楽しい。財前部長が作業着姿を見せてくれる日を心待ちにしつつ、今夜9時から!
(島影真奈美)