マインツ対ボルシア・ドルトムントを取材【写真:チェーザレ・ポレンギ】

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最後の瞬間まで歓迎するホスピタリティ

 昨夜、ブンデスリーガの試合を数年ぶりにスタジアムで観戦する機会に恵まれた。特に、日本のサッカーに取り入れることが可能な改善点に関して私なりのいくつかの印象を述べてみよう。

1. ブンデスリーガ・ファミリーへようこそ

マインツでは、私も日本から来た他の記者たちも家族の一員のように歓迎された。試合後に最高のディナーや無料のビールまで! スタッフ全員が本当にフレンドリーで、英語も流暢に話していた。

 最初の瞬間から最後の瞬間まで歓迎されていると感じることができたし、もちろんマインツについて好意的なことを書きたくもなった。また訪れるのが楽しみでならない。

 日本のクラブの大半は外国人記者に対してフレンドリーだが、そうでないクラブもある。私は、全ての日本のクラブが英語を話せるスタッフを雇うなど、外国人ジャーナリストに対するポスピタリティを向上させるための努力をしてくれるよう願っている。(少なくとも、夏のビールは大歓迎!)

宝石のようなマインツのホームスタジアム

2. 良いスタジアムは良いサッカーコミュニティーを生む

 田園地帯の中にぽつんと位置し、遠くから見ると巨大なスーパーマーケットのようにも見えるが、コファス・アレーナは小さな宝石のようなスタジアムだ。現在のドイツのスタジアムの多くに同じことが言える。

 今でも古いスタジアムに囚われているJリーグのクラブは、ガンバの辿っている道の後を追い、スタジアムを建て直すべきだろう。人々が本当にサッカーを楽しむことができる場所を準備するべきだ。

 マインツで試合を観戦した翌朝、サンフレッチェ対フロンターレのハイライトをチェックすると、決勝ゴールを決めた山岸はサポーターのところまで走り寄るのに30秒もかかるかのように思えた…。

 マインツはドイツでは比較的小規模なクラブだが、それでも美しいスタジアムを持っている。日本のトップクラブの1つであり、日本を代表してアジアで戦うことも多いサンフレッチェ広島が、今でも90年代前半のような多目的競技場でプレーしているとは…。

 日本は先進国だ。頼むから、どうかJリーグの各クラブがモダンなスタジアムを持てるようにしてほしい。

1人のブンデスリーガーとして受け入れられるアジア人選手

3. 偉大なブンデスリーガーとなったアジア人選手たち

 香川や武藤、パク・チュホのプレーぶりには満足することができた。もちろん我々は、アジア人であり元Jリーガーの彼らを特別な目で見ているわけだが、観客席にいたサポーターたちにとっては、彼らは単なる普通のブンデスリーガの選手でしかない。実際、ピッチ上のどの選手とも同じように声援やブーイングを受けていた。それこそが素晴らしいことだ。

 香川がこの試合で見せていたインテンシティーは特に印象的だった。集中して、よく動いて、アグレッシブで…。後半のチャンスが決まっていれば本当に完璧なパフォーマンスだっただろう。

 2015-16シーズン、日本のトッププレーヤーである香川真司を取り戻すことができた。これは大きな朗報だ。

審判のミスを議論。ドイツが持つ誠実なジャーナリズム

4 審判も人間、ミスはする。そのことを話題にするのも構わない

 後半開始から数分のところで、試合は審判の酷いミスによって台無しにされてしまう可能性もあった。シュティーラー主審がオーバメヤンへのファウルでPKを与えたが、実際にはクリーンなタックルで、しかもエリア外だった。幸いカリウスがロイスのPKをストップし、勝負は最後まで分からない状態が続いた。

 このことは、欧州のトップリーグであっても審判はミスをするということを表している。それはサッカーにおける事実だ。審判の仕事はサッカー選手以上に難しいものかもしれない。だが、ドイツが日本と異なるのは、それをはっきりとテレビで見せることだ。コメンテーターは、審判が大きなミスを犯したと言うことを恐れはしない。

 これこそが誠実なジャーナリズムであって、日本でもいつも見られるようになってほしいと思う姿勢だ。実際には、審判もミスを犯すということを言える勇気をコメンテーターやメディアが持てることは滅多にない。審判のミスはサッカーを語る上での重要な一部分なのに、なぜそれを否定するのだろうか?

両チームの監督が共同会見。内容満載の15分に

5 ステキな共同会見!

 試合後には、トゥヘルとシュミット両監督が一緒に会見を行っていた。これは単純に面白かったし、楽しめるイベントだった。両監督が試合についてそれぞれ異なる見解を述べつつ、お互いにジョークを飛ばし合っていた。

 共同会見が開かれ、試合後の両監督が言葉を交わし合うことによって、見る者や報道する者にとってはさらに楽しみが増すことになる。会見をちょっとしたビジネスに変えることもできる。内容満載の15分間だった。

 Jリーグも試合後の共同会見を採用し、テレビで放送すべきではないかと思う。そのうち選手たちも参加するようにすればいいだろう。今の日本で見られるような一般的な試合後のインタビューは、いつも2、3の同じ質問が向けられるだけで、サッカー文化を醸成する助けになるような言葉が発せられることはほとんどない。共同会見のようなイベントならはるかに深い洞察が得られるだろう。

【了】

text by チェーザレ・ポレンギ