セカオワはプロ中二病!? アンチすら巻き込むFukaseの思惑は
 9月には東南アジア最大級の音楽イベント『MTV World Stage Malasia』に日本人アーティストとして初出演し大成功におさめ、ニューシングル『SOS/プレゼント』がオリコン1位を獲得するなど、相変わらず話題に事欠かない4人組ロックバンド、SEKAI NO OWARIことセカオワ。

 音楽面だけでなく、ボーカル・Fukaseときゃりーぱみゅぱみゅの交際など私生活の面でも注目を集め、Fukaseの「今時、まだギター使ってんの?」発言(※1)はセカオワファンだけでなくその他の音楽ファンも巻き込みTwitterで8000以上リツイートされた。このような生意気ともとれる発言はアンチ・セカオワを増やし、『DragonNight』の歌詞から「ドラゲナイ」(※2)と揶揄され、ファンというよりもアンチの間でちょっとした流行語になっていた。

 セカオワはアンチからの注目度も高く、FukaseがTwitterで突然つぶやいた「暗号」(※3)は2ちゃんねる系「まとめサイト」などにも取り上げられ、ファン以外も躍起になって解読していた様子。良くも悪くも常に話題の的なのだ。

 セカオワのこのような行動や発言は意識的なのか、無意識なのか……。なぜ、こんなにも私たちは彼らから目が離せないのか?

 そこで、cakesの連載「すべてのニュースは賞味期限切れである」などでポップカルチャーや時事ネタを扱うフリー編集者のおぐらりゅうじさんに、彼らの突出性について聞いてみました。

⇒【youtube】「SEKAI NO OWARI - Dragon Night (in English)」 http://www.youtube.com/watch?v=gsVGf1T2Hfs

◆病歴から私生活までカミングアウト!“リアリティーショー”は戦略か?

 セカオワを語る上でかかせないのは赤裸々すぎるカミングアウト。Fukaseが中学時代に集団リンチを受けて引きこもったことや、パニック障害を患い閉鎖病棟に入院経験があることなど、通常であれば秘められるはずのアーティストのバックグラウンドをすべて見せる。

 メンバーが共同生活を送る通称・セカオワハウス(都内の豪邸を改築)も公開、さらにSaoriが「私の夢はFukaseの夢を叶えることだ」と心酔していたり、DJ LOVEが「1人でもいなくなると空中分解してしまう」(※4)と発言するなど、依存ともいえる4人の関係性を恥ずかしげもなく披露。この関係性に憧れるファンも多いという。

――Fukaseのパニック障害や共同生活を赤裸々にテレビ番組でカミングアウトするのって、彼らの戦略のひとつな気がするんですが、どう思いますか?

おぐら:「戦略というか、彼らの世代的にはシェアハウスも精神的な“病み”も、それほど珍しいものではないですよね。まあアーティストでそのようなことをカムアウトする例はあまりないとは思いますが。そういったバックグラウンドも込みで、彼らは純粋に『自分たちの物語』を届けたいのであって、楽曲はその『物語』のテーマソングだと思って聞いています」

――ふむふむ。確かにFukaseは『MEKURU VOL.04』のインタビューで「(略)キャラクターが覚えやすければ覚えやすいほど、エンターテイメント性が高くなるなあと思って。みんながみんな僕らのドキュメンタリーやインタビューを見てくれるわけじゃないので、できればその4人のキャラクターを写真1枚でわかるようにしたかったんです」と答えていました。

おぐら:「バンドとして純粋に楽曲と演奏だけを届けたいなら、メンバーにピエロ(DJ LOVE)はいらないですよね? まずはキャラクターと主題歌(=楽曲)で引きつけて、興味を持った人に本編(=自分たちの物語)を見てもらう、みたいな関係性なのかなと思います」

――とはいえ、彼らの稚拙な表現を嫌うアンチも多く、ネットでは「世界平和だとか自分の病状について歌うだとか、歌詞が“中二病”だ」という批判も多いですが……。

おぐら:「ネットで否定的な意見を言ってるのは、だいたい大人達でしょう。ネット媒体でアンチ記事を書いているのもTwitterで文句を言ってるのも。誰にでも自分語りをしたい欲求というのはあって、でも、もう大人だから言えない。それなのに彼らは、恥ずかしげもなく自分語りをして、大成功を収めて、世間一般の大人達とは比べものにならないほどの富と名声を得ている。そういう嫉妬の感情も叩く動機になっている気がします。それに『大人になんかわかってたまるか!』という姿勢は反骨精神の基本なので、その意味ではアンチの存在も、彼らにとって想定内の順当な評価と言えるんじゃないでしょうか」

――アンチが騒げば騒ぐほどメンバーもファンも燃えると!

おぐら:「はい。大人から反発されることで、かえってメンバーのモチベーションが上がり、ファンとの間の共犯関係もより強固なものになっていると思います。極端な例で例えると……長渕剛が富士山で行った10万人オールナイト・ライヴが象徴的ですが、最初はアンチに『ウケる(笑)』と揶揄されていたものが、ひたすら主観だけを頼りに突き進んである境地に達すると、一気に形勢逆転することがよくあります。なのでセカオワもアンチは気にせず突き進めば、まだまだこの先も期待できます。長渕剛は富士山で太陽を引きずり出しましたが、セカオワには月面で惑星を引きずり出すくらいのことをやってほしいですね」

 ライブ会場に巨大樹木を出現させたり巨大な風船電車飛ばしちゃうくらいなんだから、それぐらいのことはあり得るかも?

⇒【youtube】「SEKAI NO OWARI「炎と森のカーニバル in 2013」ダイジェスト https://www.youtube.com/watch?v=kDSUi9kTcYY

 そして、Fukaseは自分の過去をオープンにしたことについて、季刊誌『MEKURU VOL.04』で「Fukaseさんから見たセカオワの物語とは、どういうストーリーだと思うか?」という問いに対し、こう答えている。

「…………そうですねえ、俺と同じ苦しみや、いろんな苦悩を持ってる人たちの希望になるストーリーになれたらと思ってますね。(略)自分の過去をオープンにして、その子たちの希望になれたらと思うし、(略)だから、僕はスターになりたいんです。スターって見上げれば輝いているものなので、どこからでも見えるように、どこまでも高く、どこまでも強く光らなきゃいけない。だから、売れたいって気持ちがすごく強いんです」

 良いヤツか! と思わず突っ込み入れたくなるこのピュアさ。そのピュアさは、まだ何者でもなかった彼らを下北沢のライブハウスで見いだした株式会社TOKYO FANTASY(セカオワのマネジメント会社)の宍戸亮太氏の言葉にすべてが集約されている。

「目の前に現れたもの、次にやりたいことに、一生懸命立ち向かっていくっていうことの繰り返し。そういう根っこのピュアな部分は、今も昔も変わりません」

 このメジャーデビューからもう4年もたつのに“いつまでも失われないピュアさ”という徹底した中二病感、まさにプロ中二病的な世界観の展開こそが、アンチすらを巻き込んでしまうセカオワの凄さなのではないでしょうか。

⇒【youtube】SEKAI NO OWARI「SOS」 https://www.youtube.com/watch?v=NYbZ4nR0g38

<TEXT/カワイモモコ>

(※1)音楽ポータルサイト『EMTG MUSIC』の「ニューシングル「炎と森のカーニバル」インタビュー」で「(略)他のバンドを見てると、「今時、まだギター使ってんの?」とか思うし、「まだギター・ロックやってるんだ?」って思うし。自分たちはそれとは全然違う方向性だから、何とも思わないけど……」と発言。ネットでは「ギター使ってるくせにギター批判するヤツには言われたくない」「各位バンド界隈及びファンに向けて、核兵器投げるレベルの発言でワロタ」など批判の声が続出した。

(※2)SEKAI NO OWARIの楽曲『DragonNight』のサビ部分、「DragonNight」が「ドラゲナイ」と聞こえることから。一方で人気も高く、2014年の紅白歌合戦にはこの曲で出場した。

(※3)Fukaseが8月7日に「12 11552 21」と書かれた画像をツイート。各数字の色を英語に直し数字に当てはめていくと「WE BROKE UP」となり、きゃりーぱみゅぱみゅとの破局が噂された。

(※4)2014年1月放送のTBS系ドキュメンタリー『情熱大陸』にて。セカオワハウス屋内の共同スペースはもちろんスタジオなどの内部を披露。ちなみにハウス内の象徴的な家具であるカラフルなソファ(50万円相当)は彼らの家を遊びに訪れたYouTuberのヒカキンも購入。もちろん動画で紹介していた。タイアップかよ!?