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 中畑清監督(61)が残留に傾いていたころ、スカウト陣は現場の要望として、エースと正捕手の補強を受けていた。パ・リーグにはFA権を持つ好捕手がいる。楽天・嶋基宏、西武・炭谷銀仁朗、日本ハム・大野奨太の3人だ。その権利を行使するか否かは、まだ分からない。
 「中畑監督は黒羽根利規を育てようと、我慢を重ねて起用し続けました。一時期、高城俊人にもそんな愛情を注ぎ、嶺井博希も頑張っていますが、フルシーズンを任しきれるまでには誰も育っていません。こうした経緯からして、新人をドラフト指名し、ゼロから育て直すよりも外部補強になると思う」(ベテラン記者)
 その言葉通りだとすれば、DeNAの1位入札は今年も即戦力系の投手だろう。

 旧ベイスターズ時代に遡っても、1位で投手を指名するケースが多かった。だが、昨秋ドラフトは評価基準を少し変えている。1位山崎康晃は58試合に登板してクローザーとしての地位を確立し、2位石田健大も12試合(71回3分の2)を投げてみせた。3位倉本寿彦(内野手)は開幕一軍を果たした。DeNAの新評価基準は成功したと見ていいだろう。
 「スカウトの性でもあるんだが、惚れ込んだ選手がいたら、数字的な評価(客観的)よりも期待値のほうが大きくなってしまう。期待値が客観的数値の後にくればいいんですが」(在京球団スカウト)

 去る10月14日の東都大学野球の会場に12球団のスカウトが駆けつけた。お目当てはリーグ現役最多18勝を挙げた左腕・今永昇太(駒大)である。今永は3点ビハインドの6回から登板し、無失点に抑えた(被安打2)。今永のこの日の最速は146キロ。今永の最大の魅力は真っ直ぐでファールや空振りが取れること。そのボールのキレが長期故障から戻っているか否かが、スカウト陣の最大の関心事だが、どの球団スカウトも「戻りつつある」という含みのある言い方だった。どの球団も1位候補として高く評価しているのは間違いないが、「即戦力でなければ困る」という現場の要望を受けているチームや、左の先発投手に困っていないチームは他の大学生投手に切り換える可能性もある。
 DeNAは吉田孝司スカウト部長も駆けつけている。吉田スカウト部長は今永評を求める記者団にこう答えていた。
 「(完全復活への)階段を上がっている。オレは信じている」

 ただ、DeNAのチーム編成権を持つ高田繁GMは、自身の持っていた東京六大学最多安打の記録を塗り替えた高山俊外野手(明大)を買っているという。こちらは「東京ヤクルトの1位入札説」もあり、高田GMが決めるとなれば、即戦力投手の指名は2位以下ということになる。今年は地方大学にも好投手が多いとされるが、富士大・多和田真三郎(右投右打)、立命大・桜井俊貴(右投右打)、大商大・岡田明丈(右投左打)が残っているかどうか…。岡田、桜井は外れ1位ではなく、強豪抽選を嫌う球団が単独入札するとも目されている。おそらく、今年は2位以下でも即戦力系投手が残っているだろうが、中畑監督の“最後のお願い”は「エースを張れる投手を獲ること」だった。今季、DeNAには1年間、ローテーションを守りきった投手がいなかった。これはDeNAが優勝戦線を戦うまでに戦力アップするための必須事項であり、現場責任者を務めた者の切実な声だ。中畑論は単に実力があるだけではなく、『球団の顔』になる投手が欲しいと言い残してチームを去った。

 この中畑論を引き継ぐとすれば、今永入札で行き、抽選で外れた場合も「それ相応のキャリアを持つ投手で再入札」という流れになるのではないだろうか。中央では無名だが、今春、全日本選手権で好投した東農大北海道・井口和朋(右投右打)もいる。高田GMはドラフト指名選手を中畑監督に明かさずにやってきた。高田GMは自らが惚れ込んだ選手名を引っ込めるかのどうか…。

※吉田孝司スカウト部長のコメントは共同通信等の掲載記事を参考といたしました。