朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)10月16日(木)放送。第3週「新選組参上!」第17話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一


17話は、こんな話


ある晩、加野屋に新選組がお金を借りにやってきた。嫁として家を守ろうと、ちゃんと返してくれるのかと詰め寄るあさ(波瑠)を見て、新次郎(玉木宏)は「あんたは芯のある大人のおなごはんや。惚れてしもうた。わてと夫婦になってくれ」と改めて愛を告白、その晩、ふたりは結ばれる。

時代の変化のなかで、夫婦の絆を強めるあさと新次郎を描いた17話は、朝ドラ史に残る名作になりそう。
どこが見事だったか、その部分をあげてみたい。

その1 女の強さに男が惚れる!


あさを子供だと思って床を同じくせず、夜になると三味線の師匠・美和(野々すみ花)の元に通っていた新次郎だったが、新選組相手に啖呵切るあさの強さにすっかり心奪われてしまう。
偶然の取り替えによってイケメン許婿をゲットしたヒロインのままにしないで、きちんと彼女が体を張って、愛を得る。
新しい時代の女性を描こうとするこのドラマの骨子に関わる重要な部分である。

あさの「刀と信用は真逆のもんだす」も名台詞。

その2 まさかのお口が伏線に!!


いつも余計なことを言ってしまうあさは、口をつまむのがクセだったが、「その口にはわてがふたしたらなあかんな」と新次郎がキスをする。
これをやろうと思って、延々口をつまませていたとしたとしたら、ひれ伏す。
17話では、新次郎の生き方に口をはさんだあと、「堪忍」と口をつまむとき、両手でなく人差し指と親指の2本でつまみ、つややかな唇を強調。これが終わりのキスにつながっていくところもにくい。

その3 お姫様抱っこまで!!!


ロマンチックにはロマンチックを盛りまくり、お姫様抱っこして床へーー。
これがただの甘々で終わらせず、やたらきれいな所作で素早く障子を閉めたり、朝起きて向き合うふたりの間に、あの犬がしっかり映っていたり、ロマンチックコメディーの出来上がりだ。

その4 でもバカップルじゃない


こうしてふたりはラブラブに・・・というだけだと若干白けるが、あさは、翌朝、まったく色気のないお金の話をはじめてしまう。
新次郎の三味線の師匠・美和を意識していた場面で、あさのウイークポイントが出てきて心を広くもてるのだ。
新次郎のほうも、大事なことや楽しみごとがあるとき雨が降る、という宿命をもっていることを、婚礼の回に続いてまた語る。そこに何か彼の抱えたほの暗さがある。三味線は凛々しく弾くのに(「のだめカンタービレ」のピアノといい玉木宏は演奏している姿が様になる)、お店のことはふらふら逃げているように感じるあさの洞察力は当たっているのだろう。

「風かわり父はあらたな風にのり」
梨江(寺島しのぶ)の文の意味を、あさと新次郎が語り合うのも知的。

その5 夫婦漫才


新次郎「都のさめいいますねん」
あさ「都のさめ・・・」
新次郎「そうや。“興ざめ”言うて」
あさ「・・・・そうだすか。すいません」
ふたり 笑

新次郎「〜〜わてと夫婦になってくれ」
あさ「もう夫婦だす」
新次郎「せやったか。ほんならよかった」

大阪のひとだからか面白いことを言いたがる新次郎。それを素直に受け止めてしまう、うぶなあさ。このかみあわなさも微笑ましい。

おまけの土方


大河ドラマ「新選組!」の山本耕史の土方歳三、朝ドラ「あさが来た」17話でもキリリと存在感を示していたが、10年以上前の役を変わらないかっこよさで演じ切っているところがさすが。
以前、山本にインタビューしたことがある。そのとき、進化していくことも大事だが、年をとるごとに衰えるものだから、キープしていくことを大事にしているという意味のことを語っていたことが印象に残っていて、その精神が、今回の土方を輝かせているのだなとこちらにもひれ伏した。
(木俣冬)

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