30年ぶりの新TVシリーズ『ルパン三世』について、エキレビ!で続けて書かせていただいている。

いよいよ始動TV「ルパン三世」動いて動いて動きまくるルパンが来るぞ
新「ルパン三世」1話「このクオリティのままで24話大丈夫?」心配の声があがるほどの大絶賛
新「ルパン三世」2話。絶賛の理由は、ルパンが悪いことをしないから?


新TVシリーズを考える上で、参考書のような役割を果たしているのが、放送前に発売されたガイドブック『ルパン三世ぴあ』だ。

ルパンをはじめ、次元、五エ門、不二子、銭形警部に関する新TVシリーズの細かな設定資料集をはじめ(銭形は今でもフィーチャーフォンを愛用しているらしい)、スタッフのコメントつきのメイキング、キャスト・スタッフのインタビュー集、そしてこれまでの『ルパン三世』の歴史を網羅した特集など、コンパクトながらかゆいところに手が届く構成になっている。

スタッフが目指しているのは1stルパン?


充実しているのは、やはりキャスト・スタッフのインタビュー集だ。

栗田貫一(ルパン三世役)と山寺宏一(銭形警部役)の対談では、クリカンが「何かがつかめた」のが最近作の『LUPIN the Third 峰不二子という女』からだということを告白。それまでは自分の声にまったく納得がいってなかったらしい。たしかに、新シリーズ『ルパン三世』のクリカンの演技はとても自然で耳になじむ。

沢城みゆき(峰不二子役)と浪川大輔(石川五エ門役)の対談では、万能型声優とも言われる沢城が「(峰不二子の前任者)増山(江威子)さんがやられた以上のものが、オーディションでは出せなかった」という思い出を披露。偉大な前任者にかなわないことを当たり前だと思わないところがすごい。

御年82歳の小林清志(次元大介役)は、ニーチェを引用しながら芝居論を展開。いわく「芸術にはディオニソス的な面とアポロン的な面がある」。さすが超名門・都立小石川高校卒業生(小沢一郎、澁澤龍彦、成田アキラらの出身校)。詳しい意味は、誌面で確認を。

スタッフへのインタビューも興味深い。

総監督の友永和秀、シリーズ構成・脚本の高橋悠也、キャラクターデザインの横堀久雄らが口を揃えるのが「1stルパン」への愛情と回帰だ。ハードボイルドかつ陽気で快活な緑ジャケットのルパンにそれぞれが独自の味付けをしながら、新しいルパンを生み出していきたいという意欲に満ちた言葉が並んでいる。

SEAMOが選ぶ意外なルパン作品


つい読み飛ばしそうだったのが、ルパンファンの著名人が新TVテレビシリーズにエールを送る「COMMENT FROM LUPIN’S FAN」という企画。これが実に面白かった。

1stルパンの大ファンだという寺脇康文は、『相棒』の亀山薫はルパンをイメージして演じていたと唐突にカミングアウト。言われてみれば、そんな気がしないでもない。

ドラマ『エンジェル・ハート』で冴羽リョウ役を演じる上川隆也は、自他ともに認めるアニメファン。
1stルパンを、「大人の作品を目指したクールな大隅正秋さんの作品群とバトンタッチしたAプロダクション演出グループ(高畑勲さん、宮崎駿さん)のカラッと明るく、コミカルな作品たちが渾然としていて、そこが不思議な魅力になっています」と、アニメライターばりに正確に分析。
歯でモデルガンのP-38のスライドを引こうとして無理だった(「7番目の橋が落ちるとき」!)というエピソード込みで、やっぱり上川隆也は信頼できるとしか言いようがない。

一方、ガンダムファンとして知られる土田晃之がなぜかルパンファンとして登場。「『さらば愛しきルパン』(2ndシリーズ最終話)は今見ると、『カリオストロの城』要素がありますね!」というコメントを寄せているが、そんなのファンなら誰でも知ってるよ! 「好きなキャラクターは?」という問いに対する「全員です」という答えのフワフワさと、半笑いでの『PART III』へのdisがマニアを敵に回していないことを祈るばかり。

かと思えば、「ルパン・ザ・ファイヤー」を歌ったSEAMOの思い入れのある作品は、「パチンコオリジナルストーリー『消されたルパン』」。この回答にリアルさを感じたのは、新TVシリーズのメインスポンサーもパチンコメーカーHEIWAだから。アニメとパチンコの切っても切り離せない関係を、端的に表したSEAMOの一言だ。

ほかにも、大塚康生や宮崎駿らが描いたメカニックの設定資料、ルパン三世名台詞集(うーん、選びたかった)、ルパン検定など企画ページも盛りだくさん。

キャラクターの顔を作品ごとにズラッと並べた「この顔に歴史あり」のコーナーを見ると、あらためて『ルパン三世』という作品の多様性、懐の深さがよくわかる。だって、主要キャラクターの顔がぜんぜん違うんだから! 併せてOVA『ルパン三世 GREEN VS RED』のOPを見ると趣深いので興味ある方はぜひ。

というわけで、『ルパン三世ぴあ』は、新TVシリーズ『ルパン三世』のことをコンパクトに知りたい人向けの格好のガイドブックだ。原作が1967年にスタートしている『ルパン三世』は、実は1968年にスタートした『男はつらいよ』より歴史が古い作品なわけで、ルパンの歴史についてもっと知りたい人は膨大な資料をあたるといいだろう。
(大山くまお)