日本代表は来年6月、本当にオランダと強化試合を組むべきか?検証してみる

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13日、全日程が終了したEURO2016予選。

この結果、本大会に出場する20チームとプレーオフに進出する8チームが決定している。

予選を盛り上げたアイスランドやウェールズはこれが初の本大会。土壇場で本戦への切符を掴んだトルコやアルバニアも楽しみな存在だ。

さて、そんな予選で大きな話題となったのはやはりオランダの敗退だろう。

ワールドカップの2010年大会では決勝に進出し、2014年大会でもベスト4に入っていたオランダ。その攻撃的なサッカーは世界でも人気であり、ヴェスリー・スナイデルやロビン・ファン・ペルシーといった世界的スター選手も多くプレーしている。

しかし、フース・ヒディンクが辞任に追い込まれるなど予選当初から結果が出ず、ついには先月のアイスランド戦とトルコ戦で連敗を喫すと4位に転落。そして、最終節のチェコ戦でも2-3と敗れ、3位トルコの結果を聞くまでもなく予選敗退が決まったのだ。

オランダのEURO予選敗退は32年ぶりのこと。過去7大会のうち6大会でベスト8以上の成績を収めていたオランダの敗退は、世界中に大きな衝撃を与えた。

しかし、日本の一部のサッカーファンからはこんな意見もあった。

「オランダがEUROに出れないということは、来年6月に日本代表が強化試合を組めるのでは?」というものだ。

考えてみれば、その通りである。

日本が現在参加している2018年ワールドカップに向けたアジア2次予選は、来年3月に終了する。この2次予選を突破すれば3次予選に進むわけだが、この3次予選は来年9月から開始され、来年5-6月に設けられているインターナショナルマッチウィークを強化試合にあてられるのだ。

日本にとってヨーロッパの強豪チームと対戦する機会はそうあることではない。

ヴァヒド・ハリルホジッチ監督もマッチメイクに関して日本サッカー協会に対して「なるべく強い相手とアウェイでやることによって普段見えなかったことがちゃんと見えてくる」ということを話しているようで、今月行われたイランとの強化試合もそうした狙いがあったのだという。

であれば、オランダという相手は対戦相手として全く不足がない。「今すぐにでも日本サッカー協会はオランダ側と交渉し、マッチメイクを取り付けるべきだ!」という意見もその通りである。

しかし、である。

どうやら来年6月に日本がオランダと対戦する可能性はちょっと低そうなのだ。どういうことか?説明しよう。

インターナショナルマッチウィークは2015年から、3月、6月、9月、10月、11月に組まれることになった。

2016年のカレンダーもその通りであり、6月相当分は5月30日から6月7日までが該当し、この期間に各代表チームは2試合を行えるとしている。

しかし、このカレンダーをよく見るとあることに気付く。

FIFAのカレンダー

赤く囲ったところが日本が強化試合を行うことのできる5-6月だが、"for non UEFA confederations"とある。

これは「UEFAではない大陸連盟が対象」という意味合いである。つまり、5-6月に予定されているインターナショナルマッチウィークは、UEFA加盟国には適応されないのだ。

もちろん、インターナショナルマッチウィーク以外にも試合を行うことができる。

実際、弱冠15歳にしてノルウェー代表デビューを飾ったマルティン・ウーデゴールのデビュー戦はインターナショナルマッチウィーク外の昨年8月であったし、世界に目を向ければ多くの地域でFIFAが定める期間外にテストマッチが行われている。

しかし、インターナショナルマッチウィークでないとなると、選手の拘束権は代表チームにはなく、クラブはその選手の代表招集を断ることができるのだ。

5-6月といえば、UEFAチャンピオンズリーグ決勝(5月28日)も終わり、選手たちはオフに入っている頃である。クラブとしても選手を休ませたいはずであり、この時期にフルメンバーのオランダ代表が見られるのはかなり低い確率であるはずなのだ。

また、「国際Aマッチ」ではなく「練習試合」という扱いでの試合もある。

2010年ワールドカップ開幕前、日本代表がジンバブエと行ったようなものだ。これはAマッチ扱いにはならず完全にトレーニングマッチであるが、オランダがワールドカップ予選を控えるこの時期(欧州では9月からワールドカップ予選が始まる)にわざわざ日本と練習試合を組むとは考えづらい。

5月30日から6月7日といえば、EURO2016の開幕直前である。出場24ヵ国もテストマッチの対戦相手を探しているところであり、こうした条件下でもオランダとやりたい国は少なくないはず。

競合相手が多い上に、対戦できたとしてもベストメンバーではない可能性が高い…「オランダ対日本」というテストマッチの実現が難しそうなのは、こうした背景があるのだ。

では、日本はどこと強化試合を組めばいいのだろう?

オランダがフルメンバーで戦えないなら、間違いなくフルメンバーを揃えてくるEURO出場国にオファーすればいいのである。

FIFAが言及する"for non UEFA confederations"の"non UEFA"は、EUROに出場しない国ことを指していると思われる。というのも、6月10日から7月10日にかけてはEUROが開催されるという記載があり、EURO出場国の拘束権については認められているのだ。

EUROの直前であれば、出場国は間違いなくフルメンバーで来る。監督によって大会前のゲームに重視するものは違うが、日本を絶好の調整相手と考えるチームもきっとあるはずだ。そして、日本が持つフェアプレー精神の高さは、大一番を控えるEURO出場国からも対戦相手として考慮するに十分なものだろう。

イメージとしては、2014年ワールドカップ直前に日本が対戦したザンビアのような立ち位置にあたるだろうか。ザンビアは2014年ワールドカップに出場していないが、彼らから見れば、フルメンバーの日本と対戦できた良い機会であったはずだ。

ちなみにこの案だが、実現すれば当然ヨーロッパでの試合となる。時期次第では対戦国のホーム開催も考えられるが、対戦国がベースキャンプを張っているフランスになる可能性が高いのではないだろうか。こうした条件も、日本を強くさせる一つのポイントだ。

もちろんこれは一つの意見である。

日本代表としての意向は分かるはずもなく、マッチフィーや渡航費といったスポンサー絡みの問題もあるだろう。さらにオファーしたからといって必ずテストマッチが実現するわけでもない。

しかし、実はオランダ一本に絞る意味はあまりなく、メンバーの本気度のことを考えるとEUROに出場する国にアプローチした方が良いのかもしれない。

【外部リンク】FIFA - International Match Calendar (PDF)