IFFJ 公式サイトより

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今年もやってきました。日本最大級のインド映画祭、IFFJ2015!2014年のレポートに引き続き、今年もIFFJ特集をお送りします。

【動画満載】IFFJ2015公開作紹介!世界随一の映画大国は本気ですごい!

“ボリウッド”、“マサラムービー”なんて言葉は聞いたことがあるけれど、インド映画はまだ観たことがない…という方も、インド映画というと歌とダンスのイメージが強すぎて敬遠している、という方も、その深くて広い映画世界にぶっ飛ばされること間違いナシ!

今回の特集は、インド映画ファンの方々や、インド映画の実際の監督さんへのインタビューで、インド映画の魅力をご紹介します。さらにはIFFJオープニングレポートに、公開作品レビューと盛りだくさんでお送りします。では、行ってみましょう。

ライトファンからベテラン監督まで!インド映画多重インタビュー

インタビュー1 eelicaさん(DJ)

まず最初にインタビューをお送りするのは、欧米のクラブヒットはもちろん、日本・韓国・タイなどのアジア各国、さらには中東圏のポップスを縦横無尽にプレイする美しきDJ、eelicaさん。ここ最近はインド映画や音楽にもアンテナが向いているようです。

インド映画初心者ながらも、間違いない選曲ぶりはさすが腕利きDJ!

■“踊らない”インド映画に興味をひかれた

――eelicaさんはインド映画に興味を持たれてどのくらいですか?
eelica「まだ1年ちょっとなんですよ。最初に見たのが「マダム・イン・ニューヨーク」でした。 “踊らないインド映画”っていうのを押していて、そこに興味をひかれたんです。

――ちょっと意外です!DJなので、ダンストラックから入ったのかと思っていました。

eelica「そういうわけじゃないんですよ。銀座のシネスイッチでインド映画をいろいろと公開していて、レディースデーにふと思い立って行ってみたら、満席で立ち見だったんですけど、まぁ、いいかなと思って。」

――立ち見で長時間のインド映画、なかなか大変そうですね(笑)。

eelica「立った状態で2時間半、ちょっとツラかったけど、内容がすごく面白くて。それからシネスイッチで公開されるインド映画を気にするようになったんです。次に見たのが「めぐり逢わせのお弁当」でした。

――こちらも、いわゆるエンタメ作品というよりも、ヒューマンドラマ系ですね。

eelica「この映画は、自分にとって一番印象に残っているインド映画ですね。映画を観終わった後に、すごく歯がゆくて、モヤモヤして、いろいろと考えてしまうような…。考えて考えて、なにも考えられなくなって、映画を観た後にボーっとしながら銀座の街を歩いた記憶があります(笑)。」

――映画を観ておもわずさ迷い歩く…なんだかいいですね!

eelica「大々的にロードショーしている映画みたいに、ハッピーエンドで気分よく終わるような映画じゃないんです。インド映画と言えばエンターテイメント映画のイメージだったのに、こんな映画もあるんだ!と思いました。そのモヤモヤにハマってしまったところはあるかな…。」

――新しい体験として心に残ったんですね。

eelica「他にも「めぐり逢わせのお弁当」には、ダッパーワーラー(お弁当運搬業)の人々が描写されていたのも印象的でした。以前から、ダッパーワーラーの存在は知っていたんですけど、どんな生活をしているかまでは知らなくて。彼らのリアルっぽい生活のシーンが映画のところどころに入ってくるんです。それも新しい体験でした。」

■DJとしてプレイするインド音楽は?

――なるほど、すごく濃厚な映画体験が出来たんですね。

eelica「その次に見たのが「女神は二度微笑む」だったかな。こういうサスペンス映画を見るのは久しぶりで、なんだかすごくドキドキしちゃいました。友達3、4人で一緒に見て、見終わってからいろいろ話せたのも楽しかったし…。

この映画の中でかかる『Piyatu Kaahe Rootha』はよくDJでかけます!ギターの音が印象的で、映画の中でも、すごく印象的に使われてるんですよ。」

――おお、この曲はカッコイイ!他にも、DJでかける曲はありますか?

eelica「そうですね、「ABCD 2」という映画の『Bezubaan Phir Se』は最新のヒップホップっぽい感じでイイですね。この前のDJでは、『Rani Tu Mein Raja』っていう曲をかけました。」

――うーん、これもカッコいい!こういう曲は、どこで知るんですか?

eelica「YouTubeでいろいろ探すんです。映画の曲だから、視覚的なものも大事じゃないですか。ダンスシーンもあるし。インドの音楽って、聴くとすぐにインドのものだ!ってわかりますよね。そこが余計に面白いのかも。インドらしさを隠そうとしないのか、自然にそうなるのか…。

それに、他のアジア圏の国に比べて、インドは距離的にも行きづらいけど、映画や音楽を通して、インドを知った気になれるのも楽しいですね。」

■全世界でヒットしたあの曲はインドテイスト!

――そうそう、eelicaさんは最近かなりK-POPもお好きですよね。違いは感じますか?

eelica「日本で調べようとすると、インド音楽は、作曲者とか歌っている人の情報はかなり意識的に探さないと出てこないんです。どの映画で使われているか、ぐらいまではすぐわかるんですけど。

でも、K-POPは、音楽番組の動画がすぐに見られたり、歌っているアイドルについていろいろ情報が出てきたり…。海外に売り込むことをすごく考えているなって思うんです。」

――なるほど、外国からの情報のアクセスのしやすさに違いがあるということでしょうか。

eelica「だから、個人的に気になっているのは、インドの方々は、インド映画や音楽を、外国にどれだけ売り込む意思があるんだろう?っていうことですね。

韓国は国内だけだとマーケット規模的にも厳しいから、外国に売り込むことを織り込み済みで作っている気がするんです。そこをどう考えているのか…国内市場が大きいから、あまり外国に売り込む必要がないんですかね?」

――ううん、どうなんでしょう。インドは大きい国で、国内にたくさんの言語があって、言語ごとに映画シーンも多様なんですよね。その交流自体でかなりエネルギーを使うのかな、とも思いますし、世界中のインド系移民の方々がそれぞれの国で映画を見る、っていうのもあるから、既に世界中に広がっている可能性もありそうですね。

eelica「そうそう、インドテイストを取り入れて世界中でクラブヒットした曲があるんですよ! Major Lazer & DJ Snake 『Lean On (feat. MØ)』っていう曲が、かなりインドっぽいテイストにしてるんです。しっかりインドの振付師の方を使っていて、振付ビデオまでアップされてて。」

――おお、これは知らなかった!インド音楽と欧米のR&Bシーンとのリンクということで言うと、Akonが「RaOne」の『Chammak Challo』を歌ったのが有名だと思うんですが、こういう流れもあるんですね。

eelica「踊れる曲っていう意味では、インドの音楽はかなりそのままでもイケるんですよね。私はまだマサラ上映(上映中に立ちあがってダンスしたりクラッカーを鳴らしたりしてもOKな鑑賞スタイル)を体験したことがないから、そういうのを体験したらまた変わるのかもしれないです。」

――うーん、これからインド発エンターテイメントの楽しみ方がまだまだ開拓できそうですね!今回はありがとうございました!

eelica「ありがとうございました!」

インタビュー2 シュリーラーム・ラーガヴァン監督(『復讐の街』『エージェント・ヴィノッド』 )

お次にお届けするのは、初の外国人映画監督ご本人へのインタビュー!IFFJ2015のために来日したラーガヴァン監督にお話をうかがいました。

IFFJ2015で公開される一人の男の哀しい復讐劇を描いた「復讐の街」や、スパイアクション大作「エージェント・ヴィノッド 最強のスパイ」を手掛けたベテラン監督です。

来日直後のお忙しい中、真摯にインタビューに答えてくださる姿は、まるで哲学者や文学者のよう…。日本人にとってなじみ深い名前も飛び出す、貴重なインタビューになりました。

■この4〜5年で様々なテーマの作品が増えている

――はじめまして!ようこそ日本にいらっしゃいました。

ラーガヴァン「はじめまして。初めて日本に来て、今とても興奮しています。」

――でははじめに、「復讐の街」の映画のテーマを教えてください。

ラーガヴァン「この映画のテーマは“復讐”です。強盗に妻子を殺された男性が、復讐していきます。最終的には、復讐は決して良いことではない、というテーマに移り変わっていきます。」

――この作品は、いわゆる「歌って踊る」インド映画ではないですよね。こういったダンスのないタイプの映画は、インドでも増えているんでしょうか?

ラーガヴァン「そうですね、この4〜5年で徐々にいろいろなテーマの映画が増え、ダンスの少ない映画も増えていると思います。

でも、ダンスや歌の入る映画が今でもインドでは主流ですよ。大作は、ダンスと歌が非常に重要な要素を占めます。ダンスと歌は私たちインド人の血の中に流れていますからね。この作品も、最後にダンスが入っています。物語のメインストリームではなく、プロモーションのためという要因が大きいですが。」

――ラーガヴァン監督は、日本の観客にインド映画のどのような魅力を伝えたいですか?

ラーガヴァン「そうですね…、逆に質問したいことがあります。これだけ多くの方に観に来てもらって、非常に光栄なのですが、日本人にとって、インド映画は魅力的なのでしょうか?」

――ええと…、自分自身は歌って踊るインド映画が大好きなんです。でも、日本人の中にはそういう映画にあまりなじみのない方も多いと思います。そういう方にもインド映画の魅力を伝えたい、というのが今回の記事の趣旨なんです。

■日本の映画や文学を愛しています。黒澤明、松本清張、東野圭吾…

ラーガヴァン「なるほど、わかりました。ここ最近のインド映画界では、非常に面白いことが起きています。撮影のテクニックについては、ハリウッドからの影響を非常に強く受けています。でも、テーマの部分では、アジア各国、日本や韓国の映画からも影響を強く受けているんです。

私は映画学校出身なのですが、黒澤明、小津安二郎、溝口健二…たくさんの日本映画を数多く見て、影響を受けています。日本の映画や文学を愛しているんです。」

――そうなんですね!日本人として嬉しく感じます。

ラーガヴァン「日本の映画には、ミステリーや犯罪を扱ったものが多いですよね。その中でも、私が好きなのは、松本清張の作品です。古い映画ですが、野村芳太郎監督の「Castle of Sand」を最近観ました。日本語の題名が分かりませんが…。」

――松本清張…Sand…、「砂の器」ですね!インドの方からそのタイトルが出てくるとは…。

ラーガヴァン「松本清張をはじめとして、日本の犯罪モノやミステリー小説をたくさん読んでいるんです。東野圭吾の小説も読んでいますよ。これまでインドでは犯罪モノやミステリーモノの映画はそれほど多くありませんでした。でも、最近少しずつ増えているようですね。」

――では最後に、インド映画の今後の国際進出についても教えてください。

ラーガヴァン「そうですね。インドはたくさんの言語があり、国内の他言語に翻訳される映画だけでも、毎年800〜1000本あります。インド国内でも本当に巨大な市場なので、そこに満足していたところはあります。

ただ、これからは国内だけで閉じるのでなく、積極的に海外進出したいと思っています。日本でも、ラジニカーント作品(「ムトゥ踊るマハラジャ」「ロボット」などで主演した南インドのスーパースター)がヒットしたこともありましたよね。」

――自分もラジニカーントの作品は大好きです!インド映画のこれからの国際進出に期待しています。今日はお忙しい中ありがとうございました。

ラーガヴァン「ありがとうございました。」

「復讐の町」上映スケジュール
東京@ヒューマントラストシネマ渋谷
10/17(土)14:00-
10/23(金)18:25-

インタビュー3 シャラト・カタリヤー監督(『ヨイショ!君と走る日』)

続いて、おなじくIFFJ2015のために来日したシャラト・カタリヤー監督にもお話をうかがいました。まだ30代とお若い方ですが、溢れる才気とエネルギーがひしひしと伝わってきます!

親しみやすい人柄の合間に、ご自身の作品を、そしてインド映画を全世界に届けようとする、アツい思いが伝わるインタビューになりました。こちらの監督も、日本映画に対するリスペクトを語ってくれています。

■これは、不完全な人々の物語です。現実の我々と同じように。

――初来日ということですが、日本の印象はいかがですか?

カタリヤー「皆さんとても親切ですね。場所を聞いても、とても優しく教えてくれます。来客をおもてなしする気持ちは、インドの伝統とも相通じるところがあると思います。」

――ようこそ日本へ!ではまず、作品について簡単に教えてください。

カタリヤー「お見合い結婚をさせられたカップルの話です。あまり育ちが良くない男が、仕事や家事のために女性とお見合いをするんですが、実際に会ってみると彼女はふくよかだった。この二人が、どうやって愛し合うかというストーリーですね。」

――インド映画には、結婚のシーンや結婚が大きなポイントになる作品が多いように思います。その中でも、なぜこのような美男美女ではない二人を主人公にした作品を選んだのでしょうか?

カタリヤー「この二人の結婚が、ドラマチックなストーリーにつながると思ったんです。美男美女が理想的な恋をして、理想的な結婚をする映画は、現実的じゃないでしょう?現実にもありえるような結婚を描きたかったんです。

これは、不完全な人々の物語なんです。現実の我々は、みんな不完全なのだから。この映画を通して、自分自身のことを思い浮かべてほしいんです。」

――もっと親しみやすく観客の心に訴えるためにも、この二人が中心の物語にした、ということでしょうか。このような現実的なカップルを描いた映画は、インドには多いですか?

カタリヤー「いえ、ほとんどの映画は理想的なカップルを描いています。映画を作りながら、自分たちが特別なことをやっているな、ステレオタイプを打ち破っているんだな、と感じました。」

■国は関係ない。映画で伝わるのは、人の心なんです

――カタリヤー監督の映画は、典型的なインド映画ではないんですね。

カタリヤー「典型的なインド映画ではないけれど、小規模予算で作ったにもかかわらずロングヒットになりました。多くの人が共感してくれたのだと思います。

日本の方も共感できると思いますよ。国は関係ない、言語や外見が変わっても関係ないんです。映画で伝わるのは、ただ一つ、人の心なんです。そういう映画を作るべきだと思っています。」

――逆に、この映画のインドらしさはあるでしょうか?

カタリヤー「お見合い結婚というテーマは、すごくインドらしいですね。今は恋愛結婚がもてはやされていて、伝統的なお見合い結婚が悪く言われているけど、いい面も書きたかったんです。」

――なるほど!日本でもお見合い結婚よりも恋愛結婚のほうが良い、という風潮はあるように思います。

カタリヤー「理想の恋愛結婚だったらなんでもうまくいくか、っていうと、そういうわけじゃないですよね。恋愛結婚だったら離婚しないわけじゃない(笑)。理想の相手と巡り合うストーリーではなくて、二人がどうやって結びついていくか、というストーリーです。結婚後に、どうやって相手の良さを見つけて、受け入れていくか、というテーマです。お見合いか、恋愛かっていうのは関係ないんです。」

■この作品は「菊次郎の夏」と通じるところがあると思っています。

――インドのみならず、いろいろな国で支持されそうな内容ですね。

カタリヤー「その通りです!この作品も、最初から国際的に公開するつもりだったんです。完成してから配給会社から「素晴らしい出来だし、大作と公開日程もかぶっていない。まずは国内で公開するべきだ」と言われ、国内公開することになったんです。そこでヒットしたので映画会社としても自信を持って海外公開に踏み切れました。

中国、ヨーロッパ…。これからも各国で公開される予定です。良い映画は良い映画なんです。言語は関係ないんです。」

――映画の魅力は国を越える、ということですね。

カタリヤー「私たちインド人が黒澤明監督や北野武監督を知ることが出来たように、日本の方にインドの映画を知ってもらうことも出来ると思っています。北野監督の「菊次郎の夏」は、私自身本当に好きな映画です。「菊次郎の夏」は不完全な男と、子どもの物語。「ヨイショ!」は不完全な男と、その妻の物語。どこか共通点があると思っています。」

――おお、なるほど…。インドは映画市場が非常に大きいですし、国内で言語も多様なので、国内流通にエネルギーが割かれてしまうのかな、と考えていたのですが…。

カタリヤー「そういう事はないと思っています。一つの言語、たとえばヒンディー語でヒットした作品は、別の言語に翻訳されて他の州でも公開されます。その反応によって、さらに自信を深めるということもありますよ。日本で「きっと、うまくいく」や「マダム・イン・ニューヨーク」が成功したように、インドの映画は日本の方にもきっと伝わると思います。」

――熱いメッセージ、ありがとうございます!では、最後に日本の方々へ一言お願いします。

カタリヤー「みなさん、ぜひこの作品をご覧ください。楽しめて、笑って泣ける映画です。」

「ヨイショ!君と走る日」上映スケジュール
東京@ヒューマントラストシネマ渋谷
10/16(金)18:30-
10/17(土)16:30-
10/22(木)14:00-
大阪@シネヌーヴォ
10/21(水)18:00-

インタビュー4 飛田美希子さん(IFFJ事務局)

では最後に、ディープなインド映画ファンの方にもお話をうかがってみましょう。IFFJの事務局でボランティアスタッフを務める飛田さんは、ご自身も15年以上のインド映画ファン。大好きな作品たちのDVD・BDをご持参いただき、熱い思いを語っていただきました!

――飛田さんのインド映画歴を教えてください。

飛田「1998年に日本公開された「ムトゥ踊るマハラジャ」でインド映画を初めて見たんです。当時はワイドショーでも紹介されているぐらいの人気でしたね。まずビックリしたんです、これまでこんな映画見たことなかった!と思って。」

――おお、自分も「ムトゥ」でインド映画を知ったので嬉しいです!

飛田「ラジニカーントが人気になり彼が出演するタミル語の映画や、その他ヒンディー語の映画が何本か公開されて「DDLJラブゲット大作戦」という映画でシャールク・カーン(ボリウッドの大スター“三大カーン”の一人「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」など)を知りました。

何年かするとブームが下火になりほとんど公開されなくなってしまったのですが、2012年の「ロボット」あたりからまた公開されるようになって、どんどんインド映画熱が加速しました。

――飛田さんのお気に入りのインド映画は何ですか?

飛田「私のベスト1は、シャールク・カーン主演の「家族の四季」です。オールスターキャストの大河ドラマで、親の決めた縁談に逆らって自分の好きな女性と結婚した事で勘当され、一度は壊れた家族の絆を弟が取り戻そうと奮闘するお話です。

この映画、2001年にインドに旅行して現地の映画館で見たんです。英語字幕もないから言っていることはよくわからなかったけど、シャールクや他の俳優さんの表情(とくに目)、音楽と歌、そしてダンスで彼の気持ちがひしひしと伝わってきて…もうとにかく切ないんです!

喜びや哀しみ、笑いやドキドキ・ワクワクが詰まっていて、文字通りのマサラ・ムービーです。ダンス・衣装・セットも絢爛豪華。

他にも「恋する輪廻」「マダム・イン・ニューヨーク」、「PK」「バードシャー テルグの皇帝」(テルグ映画のスターNTR Jr主演)等も大好きです。

――飛田さんにとって、インド映画の魅力とはどんなものでしょう?

飛田「愛情表現がとてもシンプルでストレートなところでしょうか…。心をぐっと鷲掴みにされてキュン!ときちゃいます。

そしてやっぱり歌とダンス。インド映画は歌やダンスでストーリーが進む事が多いのですが、セリフで聞くよりももっと深く心に響きます。もう体全体で受け止める感じです。ドキドキワクワクします。家族の絆をとても大切にすることも魅力の1つです。

あとは、民族衣装がすごくステキで、女性の憧れですよね。インド独特のお祭りや文化・慣習なども垣間見れてとても興味深いです。あげだすときりがないですね(笑)

――インド映画の魅力の一つに、俳優陣の豪華さもありますよね。しかもその豪華な俳優陣が実生活でも付き合ったり別れたりしているという(笑)。今回公開される「銃弾の饗宴 ラームとリーラ」で主演しているランヴィール・シンとディーピカ・パードゥコーンは、実生活でもカップルなんですよね。

飛田「そうですね!かなりラブラブみたいですよ。また、ディーピカは以前ランビール・カプールと付き合っていたんです。

別れた後に共演した「若さは向こう見ず」の予告編では、元恋人同士が見つめあって「あともう少しこうしていたらどうなるか…」「どうなる?」「あなたを愛してしまう…今度も!。」というセリフがあって話題騒然となり、この作品は2013年の年間興収第4位と大ヒットしました。」

――そして、そのランビール・カプールの現彼女は、「バン・バン!」主演のカトリーナ・カイフで、結婚直前ともウワサされています…。なんてゴシップがたくさんあるところは、個人的にはなんだか昭和スターのような華やかさを感じてしまいます。

飛田「うーん、やっぱり、インド映画の俳優たちは文字通りのスターなんですよ!すごく影響力があるし、みんなから信頼を得ていますね。政治家に挑戦する俳優さんも多いみたいですよ。」

――そんな中でも飛田さんがお好きなスターは、やはりシャールク・カーン?

飛田「そうですね、彼はキャラクターが最高なんです。チャーミングな人ですね。他にも好きな俳優さんはたくさんいます。アーミル・カーン(“三大カーン”の一人「きっとうまくいく」「チェイス!」など)も好きだし、「イケメンだな!」と思ったのは「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」の悪役だったアルジュン・ランパール。彼のウインクにはやられました(笑)。

「マドラス・カフェ」「ワダラの抗争」のジョン・エイブラハムも好きだし…。とにかく、見ているうちにどんどん好きな俳優さんが増えちゃいますね(笑)。」

――では最後に、インド映画初心者の方に伝えたいことはありますか?

飛田「インド映画っていうと、それだけで「いや、いいよ…」ってなっちゃう人も多いんですよね。でも、インド映画と一口に言っても、本当にいろんなジャンルの映画があるんです。3本、4本と見てみると、バラエティがあって奥が深いことに気が付いていただけると思います。1本、2本で決めずに、もっといろいろ見てみてください。

踊る映画でも、踊らない映画でも、イイ映画はイイんです。また、インドのお祭りや人々の考え方、文化・慣習を垣間見ることができてとても面白いですよ。1日講義を受けるよりも、1本の映画を観る方がより色んな事が理解できる思うんです。」

――たくさんの新しい体験が出来るのがインド映画の魅力なのかもしれませんね。今回はありがとうございました!

飛田「ありがとうございました!」

今年も大盛況!IFFJ2015ショートレポ&公開作紹介

オープニングイベント&両監督ティーチイン

ここで、IFFJ2015の様子も軽くレポートしていきましょう。まず初日はオープニングイベント。カタリヤー監督と、去年の記事でもお話をお聞きしたIFFJ主催のスレシュ・ターティさん、そして音楽ライターのサラーム海上さんが壇上に登場。IFFJ公開作の予告編を見ながら全作品の紹介がありました。

また、「復讐の町」公開後にはラーガヴァン監督が、「ヨイショ!君と走る日」公開後にはカタリヤー監督がそれぞれ登場。ティーチインで会場からの質問に答えました。

「復讐の町」についてのやり取りの中で印象に残ったのは、キャスティングについて。主人公は決まっていなかったものの、強盗犯は脚本執筆中からイメージしていたそう。

きっと「めぐり逢わせのお弁当」「女神は二度微笑む」にも出演したナワーズッディーン・シッディーキーさんのことでは…。すごい印象に残る俳優さんなんです。個人的にはインド版スティーブ・ブシェミというイメージ。

短い時間ながらも、ラーガヴァン監督がフロアからの質問に真摯に答えてくださる姿は印象的。なんだか映画学校の小講義という雰囲気すらありました。

「ヨイショ!」について印象に残ったのは、時代設定が90年代だった理由。カセットテープを使った映画にしたかったとのことなんですが、個人的にはカセットテープが印象的に使われた「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を思い出しました。カセットテープだからこそ表現できる味わいってありますよね。

典型的なボリウッド映画ではないので資金集めに苦労したことエピソードや、当時は素人だった主演女優のブーミさんについてのエピソード、さらにカタリヤー監督による客席撮影もあったりして、こちらはアットホームなティーチインでした。

IFFJ2015公開作紹介!これとこれ、見比べてみませんか?

では最後に、IFFJ2015で公開される作品をずらーっとご紹介。すでにご覧になった方もいらっしゃると思いますので、少し違った角度で見ていきましょう。

せっかくの映画祭、一本ずつの鑑賞もイイですが、あの作品とこの作品、比較しながら鑑賞してみては?というご提案です。

■「ヨイショ!君と走る日」と「銃弾の饗宴 -ラームとリーラ-」

現代日本に生きる我々にとってもリアルに感じられる愛を描いた「ヨイショ!君と走る日」と対照的なのが、ロミオとジュリエットを下敷きに、極彩色のマサラムービーに仕立てたのが「銃弾の饗宴 ラームとリーラー」。去年のIFFJで公開予定が急きょ変更ということもあって、インド映画ファンの期待は最高潮。

「ラームとリーラ」は主役のランヴィール・シンとディーピカ・パードゥコーンのゴージャスなカップルは私生活でもパートナー同士。これぞまさしくボリウッド!という要素てんこ盛りで、まるで絵巻物の中の恋物語のようです。

抑えた色彩で90年代インド地方都市の不完全なカップルを描いた「ヨイショ!」と見比べることで、インド映画における恋愛観の奥深さが見えてくるかも?

■「復讐の町」と「野獣一匹」

日本でも公開されたダンスムービー「スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!」。この作品の主演が、「復讐の町」のヴァルン・ダワン、そして「野獣一匹」のシド・マルホートラの二人でした。「野獣一匹」も「復讐の町」も、愛するものを奪われた男の復讐譚では共通です。

ただ、既にご覧になっている方の感想をtwitterなどで見てみると、二つのストーリーは展開もテイストもかなり違うようです。“イケメン俳優”の枠を飛び出し、それぞれの復讐する男像を作り上げる二人の若手俳優。「スチューデント…」ファンならずとも、「復讐の町」と「野獣一匹」を見比べてはいかがでしょうか。

■「バン・バン!」と「BABY」

「バン・バン!」はハリウッド映画「ナイト&デイ」の公式リメイク作品。主役は“神が授けた指を持つ男”リティック・ローシャンと、「チェイス!」や「タイガー 伝説のスパイ」など大作の常連カトリーナ・カイフというこちらも超豪華な配役。キラキラの極上アクションでスカッとしたいならこの作品でしょうか?

一方の「BABY」もアクション作品ながらも、こちらはかなりゴリゴリのハードテイスト。剛柔流空手の黒帯という凄腕俳優、アクシャイ・クマールは、インド映画界でも最強クラスの呼び声も高いよう。「バン・バン!」と「BABY」を見比べれば、インド映画はアクション表現も奥深いことがわかるかも。

■「ピクー」&「ファニーを探して」

大注目作「ラームとリーラー」の主演を張っているディーピカ・パードゥコーンはいままさに旬の女優さん。今回のIFFJでは、彼女の主演作がさらに2本、あわせて3本されます。まるで今年はディーピカイヤー!いや、冗談抜きでそのぐらいの存在感がありますね。

「ピクー」では生きる伝説アミターブ・バッチャンや「めぐりあわせのお弁当」「ジュラシック・ワールド」などで知られる名優イルファン・カーンと共演。「ファニーを探して」では若手人気俳優アルジュン・カプールと共演。どちらも珍道中系コメディーで、ディーピカファンは両方外せないでしょう!

■「ロイ」と「ハッピー・エンド」

この2作に共通するのは、日本公開した作品に出演している役者さんが数多く出演していること。「ロイ」のランビール・カプールは「バルフィ!」と「若さは向こうみず」でコミカルかつ表現豊かな演技力を見せてくれました。今作はかなりアーティスティクな作品とのこと、シリアスな演技に注目です。

そうそう、飛田さんインタビューでも出てきた「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」のアルジュン・ランパールも出演しています。

一方の「ハッピー・エンド」はさらにおなじみの顔ぶれ揃い。話題作「インド・オブ・ザ・デッド」や「エージェント・ヴィノッド 最強のスパイ」」のサイフ・アリ・カーンに、「バルフィ!」で美しきヒロインを演じたイリヤナ・デクルーズ、「若さは向こうみず」や近日公開の「マルガリータで乾杯を!」に出演のカルキ・ケクランも出演。

こちらは底抜けに明るいコメディだそう。インド映画ファンお馴染みの面々が織りなすテイストのコントラストを堪能したいところです。

■「女戦士」「国道10号線」「Q」

この3本は、インド国内の社会的問題を描いた映画とくくることが出来るでしょう。人身売買や誘拐、根深く残る階級差別という社会問題を映画という形で鋭くえぐった作品群です。アクションやスリラーという形を取った問題提起、とも言えるかもしれません。さらに言えば、女性が主人公という点でも共通項が。インド映画界では今女性の存在感が増している?!

さらに言えば、「ヨイショ!君と走る日」もインドの男女観や結婚観という問題を軽くさりげないタッチで触れている、という意味では共通点があります。インド映画と言えば楽しく明るい娯楽作というイメージが強いかもしれませんが、頭をからっぽにできる娯楽作や胸キュンの恋愛ストーリーだけではなく、こうしたテーマ性のある作品も、インド映画の重要な一側面なのでしょう。

ハマったら絶対楽しい!インド映画ですべてがマサラする!

いかがだったでしょうか?多重インタビューとIFFJレポート。インド映画に馴染みが無かったり、一面的なイメージが強かったりする方に、少しでもインド映画の多面的・多角的・多層的・多次元的な魅力が伝わればと思います。

しかも、これでもインド映画のほんの一部分にしか過ぎない、というのがオソロシイところ。今年のIFFJで公開されるのは、北部のヒンディー語映画のみ。さらに南部にはタミル映画、テルグ映画、カンナダ映画…と広く深い映画シーンが広がっているんです。

さらにインド国内に留まらず、外国への進出や、外国からの影響を受けて更なる進化を遂げていくインド映画、これからさらに楽しくなりそう!さて、次はどの映画を見に行こうかな?今回のレポートは以上です。