■ドラフト展望2015(4)

楽天     熊原健人(投手/右投左打/仙台大)
DeNA     今永昇太(投手/左投左打/駒澤大)
オリックス  上原健太(投手/左投左打/明治大)
中日     岡田明丈(投手/右投左打/大阪商業大)
ロッテ     今永昇太(投手/左投左打/駒澤大)
広島     上原健太(投手/左投左打/明治大)
西武     多和田真三郎(投手/右投右打/富士大)
阪神     高橋純平(投手/右投右打/県岐阜商)
日本ハム  小笠原慎之介(投手/左投左打/東海大相模)
巨人     小笠原慎之介(投手/左投左打/東海大相模)
ソフトバンク 熊原健人(投手/右投左打/仙台大)
ヤクルト   熊原健人(投手/右投左打/仙台大)

 これは何かというと、私が主宰している『野球人』(文藝春秋)の第6巻(10月8日発売)に掲載したドラフト前の恒例企画「妄想! ひとりドラフト」の中で、12球団が1位指名した選手たちである。

 もちろん、各球団の現状を分析し、ナマの最新情報も織り込んで、「今のこのチームならこの選手だろ!」という確信のもと、12球団の幹部になりすまして挙げた選手たちだ。

 これはあくまでシミュレーションではあるが、ここで指名した7選手は、本番のドラフトでも間違いなく"最初の12人"に挙がってくるに違いない。

 また、1位指名の残りの5選手については、本番での抽選の結果によって大きく変わってくるだろう。今回は、その5人を推理して、「今年のドラフト1位の12人」をリストアップしてみたいと思う。

 まず、その人選の背景となる今年のドラフトの現状について触れておきたいのが、とにかく上位候補者にケガ人が多いということだ。

 冒頭で挙げた7選手のうち、多和田、高橋、今永、小笠原の4選手はすでに故障が伝えられている。今永はなんとかリーグ戦に登板しているが、昨年の好調時のようなピッチングは鳴りを潜めている。その他の3選手にいたっては、ピッチングそのものを控えているという。

 さらに、上位候補のひとりに挙げられている西村天裕(投手/右投右打/帝京大)もリーグ戦の登板中に足を負傷した。

 本番を目前にして、ドラフト上位候補者がこれだけ変調をきたしたのを見たことがない。現場のスカウトたちが「また故障か......」とため息をつく中、より魅力的に映るのは、故障なく元気にプレーしている選手たちだろう。

 そこで浮上してくるのが、平沢大河(内野手/右投左打/仙台育英)と、オコエ瑠偉(外野手/右投右打/関東一高)の高校生ふたりだ。

 平沢は、この1年でフィールディングが素晴らしく良くなった。さらに、今夏の甲子園とU−18の世界選手権という大舞台を経験したことで、プレーの精度が一段と増し、自信をつけた。

 バッティングもこの夏、飛躍的に向上し、素晴らしいというよりは"凄まじい"という表現がピンとくる。

 印象的だったのは、U−18の世界選手権直前に行なわれた大学日本代表との壮行試合で、コンスタントに150キロ前後の剛速球で押しまくっていた田中正義(創価大)の149キロのストレートを敢然と振り抜き、ライトに強烈なライナーを弾き返した場面だ。

 使用していたのは木製のバットで、全身の連動でタイミングを合わせた一打は、もう立派にプロのバッティングだった。

 オコエ瑠偉については、10月4日にWeb Sportivaで掲載した「評価急上昇! オコエ瑠偉を必要としているのはこの球団」で触れたので、多くは書かないが、「誰も見たことがないような選手」に育っていくことを心から祈りたい。

 大学生の元気者は、高山俊(外野手/右投左打/明治大)だ。日大三高時代は3年夏に全国制覇を達成し、明治大に進んでも4年間大きな故障もなく、試合に出場し続けた。先日、明治大の偉大な先輩・高田繁氏(現・DeNA GM)が持つ127安打の東京六大学通算安打記録を48年ぶりに更新したヒットメーカーだ。

 じつは、この選手の"クリーンヒット"というのを、ほとんど見たことがない。その多くは、「よくそんなコースにバットを出すよなぁ」「なんであんなコースを芯でとらえられるんだ」というような、"曲打ち"みたいなバッティングで、あり得ないボールをあり得ないバッティングで弾き返し、相手バッテリーを苦しめてきた。

 セオリーでは説明できない高山のバッティングの感性には、ただただ驚くばかりだ。おまけに50メートル5秒台の俊足と、遠投110メートルの強肩も手伝って、入団するチームによっては、開幕一軍はもとより、リードオフマンになっている可能性もある。

 社会人の元気者なら、横山弘樹(投手/右投左打/NTT東日本)を推す。エース格となった桐蔭横浜大4年の時から、3年間大きな故障もなく、コンスタントに結果を出し続けているのが高評価の理由だ。

 187センチ、85キロの大きな体から、全身を打者に向かってぶつけるように投げ込んでくるため、一見、150キロぐらいの球に見えるが、アベレージは140キロ前半。まず、それがチェンジアップ効果になる。さらに、本物のチェンジアップはほぼ回転がない状態からストンと落ちる。

 その他にも、カットボール、フォークがあり、この3つの変化球はいつでもストライクが取れる。1年前に対戦した打者が、今季もまだ戸惑っているように、タイミングを外すテクニックのうまさが横山の最大の特長だ。先発もリリーフもこなせる器用さも兼ね備えており、チームにとってはこれほど心強い存在の選手もいないだろう。

 そして最後のひとりが、吉田正尚(外野手/右投左打/青山学院大)だ。名門ではあるが、今は東都大学リーグの2部に所属し、ホームグラウンドだった神宮第2球場が使えなくなって2年目。リーグ戦は、各チームの練習グラウンドで行なわれ、試合観戦に訪れる人も少なく、さみしい環境の中で行なわれている。

 そんな状況でも、吉田のバットは色褪せない。なかでも印象的だったのが、平沢と同様、U−18の高校日本代表と大学日本代表の壮行試合だ。

 3回に仙台育英の佐藤世那のフォークをライトに放ち二塁打にすると、それを皮切りに5回は中京大中京の上野翔太郎、7回には花巻東の高橋樹也から甲子園の外野スタンドに軽々と放り込んでみせた。

 なかでも、左腕・高橋からバックスクリーン右に放った打球は、自分のタイミングで振り、自分のミートポイントでとらえた、間違いなくプロ仕様の一打だった。私の中では、10年3割を続けながら、30本塁打も打てるバットマンになれるような気がしてならない。

 ここで挙げた選手の中から何人がドラフト1位で指名されるのだろうか。運命の日、10月22日を楽しみに待ちたい。

安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko