なでしこ、王者奪還へ再定義の時…佐々木監督の続投で求められる新たな進化

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 なでしこジャパンを率いる佐々木則夫監督の続投が、14日に日本サッカー協会より発表された。同日に行われた会見で、佐々木監督は「リオデジャネイロ五輪でゴールド(金メダル)を目指したい」「サッカーをやりたいと思う少女たちに多くを伝えていきたい」と抱負を述べた。

 なでしこジャパンは、次の世界大会となるリオ五輪、さらに2020年に自国開催となる東京五輪で再び大輪の花を咲かせることを期待されている。そしてその実現に向けて、世界の中の「日本の強み」を再定義する時期に差し掛かっている。

 佐々木監督は2007年12月の就任以来、契約の更新を重ね、その地位に就いておよそ8年となる。ベーシックな戦術は2008年北京五輪の段階でほぼ注入されていて、その後は引退した選手などの穴を次の世代で埋めながら、選手主体で戦術をアレンジし続け、チームは熟成していった。

 佐々木監督によって主体性を引き出された選手たちは、指導者に頼るばかりでなく、自ら目的を持ったトレーニングをし、試合の中で問題が起こりそうであれば自分から対処法を考案し、指示を待たずに実行できるレベルにある。新しい世代の選手たちがなかなか主力に割り入ってこられない要因も、これら解決力と実行力の差だと言える。つまり新戦力が2008年モデルのベーシックな戦術を身につけたとしても、それだけでは国際競争力を維持できない状況にまで、世界の女子サッカーは進化した。進化の方向性に先鞭をつけたのはなでしこジャパンであり、佐々木監督なのだが、女子サッカーにおける「ジャパンウェイ」は、今や日本特有のものではなくなったのだ。

 今回の会見で、なでしこの未来を展望する青写真は披露されなかった。特にコーチ人事については「のち発表になると思います」(野田朱美JFA女子委員長)と語られるにとどまった。今後のなでしこジャパンの指導陣には、日本の強みを再発見し、新たなコンセプトを開発して、世界を知る選手たちと新世代の選手たち両方に提示できる人材が必要になるだろう。チーム戦術面や選手個々の強化の面で、監督をサポートできる強力なスタッフの加入が求められる。佐々木監督がトップにいる限り、コーチ陣は日本を知る人物に縛らなくていい。佐々木監督も、世界の頂上を再び目指すなでしこの指揮官として、自身を再定義する時期ではないだろうか。

文=江橋よしのり