イランは若手起用で経験と自信を獲得…劣勢の日本が露呈した実力差

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 1−1のドローに終わった13日の親善試合・日本対イラン戦(テヘラン)。本拠地・アザディスタジアムで10年ぶりの勝利は得られなかったが、イラン側はゲーム全体を支配し、多くチャンスを作った内容をかなり前向きに捉えていた。

 イランの通信社『Tasnim News Agency』はカルロス・ケイロス監督の「前半は我々がゲームを支配し、決定的なチャンスも作った。後半になってミスから追いつかれてしまったが、イランの選手たちは私の期待に応えてくれた。満足している」というコメントを紹介し、「2018年ロシアワールドカップアジア最終予選を勝ち抜くうえで、非常にいいレッスンになった」と報道した。

 イランの選手たちも全く同じような感想を抱いた様子。キックオフ時は4−2−3−1の右MFでスタートし、ヴーリア・ガフーリ(セパハン)の負傷退場によって本来の右サイドバックに入って、1トップのサルダル・アズムン(ロストフ)目がけて次々とクロスを蹴りこんだラミン・レザイアン(ペルセポリス)は試合後、自信満々の表情でこう語っていた。

「非常にハードなゲームだった。日本はやはりいいチームだが、今日はイランの方が上回っていたし、僕らの方がいい試合をしたと思う。自分はケイロス監督から常日頃、指示されている通り、右サイドから積極的にクロスを上げた。日本のDF陣は高さがなかったし、この攻撃は効果的だったと思う」と。

 最前線に陣取り、打点の高いヘディングで日本守備陣を繰り返し脅威に陥れたアズムンも「日本は強かったけど、ゴールを決めるチャンスは沢山あった。それを自分が決められなかっただけ。これがサッカーだ」と、悔しさをにじませつつ語っていた。

 アズムンは弱冠20歳の成長著しいFW。レザイアンも代表では通常、ガフリの控えに回っている。にもかかわらず、凄まじい迫力とスピードで敵陣に攻め込んできた。2人のコンビがもう少し合っていたら、日本は2〜3点は取られていたかもしれない。キャプテンのアンドラニク・テイムリアン(トラークトゥール・サーズィー)に代わってボランチで先発した19歳のサイード・エザトラヒ(ロストフ)、前半終了間際にPKを奪ってこぼれ球を押し込んだメヒド・トラビ(サイバ)も21歳。ケイロス監督が抜擢した若手たちは、まさに期待通りのパフォーマンスを見せたと言っていいだろう。

 本田圭佑(ミラン)が「前半つなげなかった原因? もう実力と言ってしまえば、それまでですけど…」と言葉を濁した通り、特に前半の両者は大きな力の差が感じられた。本田、香川真司(ドルトムント)、長谷部誠(フランクフルト)、吉田麻也(サウサンプトン)といったアルベルト・ザッケローニ監督体制からの主力が出ていたにもかかわず、日本をここまで凌駕したイランの若手にとって見れば、これだけ自信と手ごたえを得られた試合もないくらいだ。

 イランは8日の2018年ロシア・ワールドカップ2次予選・オマーン戦(マスカット)を1−1で引き分け、国内メディアの批判にさらされていた。ケイロス監督も日本戦前日の取材で「日本に負けたらどうするのか?」と報道陣に詰め寄られており、追い込まれた状況だったのは確かだ。そんな相手に日本は塩を送る形になってしまった。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「いい親善試合だった。我々はいい経験を積むことができた」と強気の姿勢を崩さなかったが、大きな収穫を手にしたのは間違いなくイランの方だった。

 両者ともに2次予選突破が確実視されるため、次に顔を合わせるとしたら最終予選になる。もしも日本とイランが同組になれば、直接対決は避けられない。勝負のかかった彼らは今回とは比べものにならないほどの本気モードで挑んでくるはず。キャプテン・テイムリアンやベテランのマスード・ショジャエイ(アル・ガラファ)、今回欠場したエースFWアリレザ・ジャハンバクシュ(AZ)ら最強布陣を揃えてくるだろう。

 その時までに、日本はいかにしてこの差を埋めるのか。本田は「日本がちょっとずつ伸びていくための中長期計画がサッカー界全体に求められている。今まではいろんなことを真似してきたけど、今後は日本が周りに真似されるようにならないといけない」と強調したが、指揮官も日本サッカー協会もより強い危機感を持つべきだ。

 イランに圧倒されたことを「単なる親善試合」と流さずに、深刻に受け止めることから、力の差を埋めるアプローチは始まる。

文=元川悦子