ネットショッピングなどで宅配便の取り扱いは急増(写真出典:photolibrary)。

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国の報告書で、宅配便の再配達によって大きな社会的損失があることが明らかになりました。1回で受け取れる人を増やすにはどんな方法があるのでしょうか。

再配達でCO2を年間42万トン排出

 近年、ネットショッピングなどの影響で宅配便の利用が急増。そこで“再配達”が大きな問題として浮かび上がっています。

 この問題について、国土交通省が2015年10月14日(水)に報告書を発表。宅配便の再配達に、1年間でドライバー約9万人分、およそ1.8億時間の労力が使われていることが明らかになりました。

 再配達は環境への負荷も大きく、使われるトラックのCO2排出量は年間約42万トン。報告書では、この量のCO2を吸収するために、山手線の内側の2.5倍にあたる広さのスギ林が必要としています。

 これほど再配達が増えた背景には、どのような事情があるのでしょうか。

時間指定がもっと便利ならば……

 国土交通省は2015年8月、ヤマト運輸・佐川急便日本郵便の協力で、おもに東京都内で再配達を利用した人に調査票を手渡す形式でアンケートを実施。また、同省webページでも広く一般にアンケートを行い、双方を合わせて1304人から回答を得ています。

 それによると、受取人が不在で再配達となった荷物の約7割が時間指定をしていませんでした。1回目の配達で受け取れなかった理由とその割合は、以下のようになっています。

・配達が来るのを知らなかった。《42%》
・配達が来るのを知っていたが、用事ができて留守にしていた。《26%》
・もともと不在になる予定だったため、再配達してもらう予定だった。《14%》

 また、寄せられた自由意見のうち、おもなものは次の内容です。

・日時指定は追加料金がかかるためしなかった。
・もう少し遅い時間選択があれば受け取れた。
・配達時間が30分単位であれば受け取りやすい。
・定期便などで2回目以降の日時指定ができない。

 では、どうしたら多くの人が、宅配便を1回で受け取れるようになるのでしょうか。

突破口はコンビニの活用か

 アンケートでは、「どのような方法であれば1回で確実に受け取ることができたか」という質問も行われました。その結果、コンビニでの対面による受け取りや、駅に設置されたロッカーによる無人での受け取りを希望する意見が集まっています。また「配達前に電話やメールで事前通知がほしい」「時間変更をできるようにしてほしい」といった意見も出ました。

 また、「受け取り時にポイントが付与されるなどのメリットがある場合、1回での受け取りの可能性が高まるか」という問いに対しては、約半数の回答者が受け取る努力をすると回答しました。そのうち9割が、ポイントは100円以下相当が妥当としています。

 こうした利用者の声や実態をふまえて国土交通省では、消費者と宅配事業者などとのあいだでコミュニケーションを強化する、消費者に受け取りへの積極参加をうながす、コンビニ受け取りの地域インフラ化、鉄道などでの受け取りインフラ整備などに取り組むとしています。