福岡ソフトバンクホークスの本拠地最終戦、松中信彦(41)が『7番DH』でフル出場した。結果は無安打に終わったが、ファンの大声援が球場中にこだました。
 「工藤公康監督もかつてはFA権を行使してチームを出て行きましたが、指揮官として呼び戻されました。こういうホークスの温情も松中の背中を押したのでは。退団の経緯を説明する会見前日、王貞治会長と電話で話し合ったそうです。王会長も松中の選択に理解を示しており、水面下での支援もするものと思われます」(ベテラン記者)

 水面下の支援とは「松中を獲ってやってくれ」という他球団へのお願いだ。今後、松中はホークス以外の球団からのオファーを待つことになるが、王会長のお願いとなれば誰も断れない。王会長の古巣巨人が有力視されるが、松中自身の本命は広島カープのようだ。
 「今の巨人には、大道典良(現ソフトバンクコーチ)のような代打の切り札がいません。堂上、吉川が左の代打として頑張りましたが、内野手の頭数が足らず、吉川が二遊間の控えに回るなどした。高橋由も代打成功率は高くなかった。松中を代打として使うのではないか」(前出・同)
 大道の巨人入りにも王会長が一枚噛んでいたという。

 オリックスには松中の若手時代を知る瀬戸山隆三本部長がいるが可能性は低いか。松中の最終年俸は3500万円。この“安値”なら、「復活すれば儲け物」である。
 「出場機会の多いチームが松中の理想でしょうね。広島の一塁はベテランの新井貴浩です。左の松中、右の新井でスタメン一塁をツープラトンで使い分ける方法もあるし、代打での出場機会は巨人以上」(スポーツ紙記者)

 広島はベテラン新井を蘇生させた。その前には旧ベイスターズから戦力外となった石井琢朗(現コーチ)を獲得し、その後4年間チームに貢献させた実績もある。かつて再生工場といえば、野村克也氏が監督を務めていたヤクルトが有名だが、今は広島なのだ。
 「'11年オフ、中日から戦力外になった久本祐一を獲り、今も現役です」(前出・同)

 石井や久本に共通するのは、ヤル気。近年の松中はほとんど試合に出ていない。気持ちも萎えてしまうはずだが、王会長はヤル気には太鼓判を押した。
 「広島は外部補強をしないイメージがあるが、マツダスタジアムに本拠地を移して以降は観客増による軍資金があり、今季、途中加入で外国人を獲ってもビクともしなかった」(関係者)

 ホークスと同様に広島の若手も練習熱心だ。松中や小久保裕紀代表監督らが練習につぐ練習を重ね、その姿を見た若手たちが発奮し、今日に至った。ホークスと広島は環境が似ている。
 大リーグから戻った黒田に投手陣が学んだように、今度は野手陣が現役唯一の元三冠王に打撃の極意を聞く相乗効果も期待できる。松中の将来の指導者帰還のため、王会長は巨人に連絡しないかもしれない。