パ・リーグ主義で行こう! 
■「球団OB活用度」徹底比較 

 現在のファンとオールドファンをつなぐ貴重な存在、それがOBたちだ。球団が誇る貴重な人的資源の活用は、当人にとっては現役引退後のセカンドキャリアにもなるし、往時を知るファンにとっては懐かしい思い出がよみがえり、チームへの愛を強化するきっかけにもなる。そこで、パ・リーグ各球団の「OB活用度」を比較してみたい。

<ソフトバンク>
 すでに定番企画となっているのが「ホークスOB解説付き練習見学ツアー」だ。当日の観戦チケットとは別に、大人2000円、子ども1000円(事前予約制)を支払うと、OBによる生解説を受けながらの練習見学が楽しめる。今季は藤原満、島田誠、池田親興、西村龍次、若菜嘉晴各氏と、そうそうたるラインナップ。

 僕は参加できなかったけれど、出色だったのがヤフオクドームに併設されている野球居酒屋「鷹正」で行なわれたパブリックビューイング。参加費4500円を支払うと、店内の大型ビジョンで試合中継を見ながら、OBの柴原洋氏の生解説が聞けるのだという。しかも、呑み放題で! 野球好き、酒好きにはたまらない、いい企画だ。いつか参加してみたい。

<オリックス>
ソフトバンクに負けず劣らず、オリックスでは北川博敏PM(プロジェクト・マネージャー)が積極的にファンサービスに取り組んでいる。ということで、定期的に行なわれる「北川PMツアー」に僕も参加してみた。

 まずは事前に1200円を支払って、「ツアーチケット」を購入。そして迎えた当日は、13時試合開始だったため、10時に指定された京セラドーム外周に集合。そして、簡単な注意事項の説明を受けてスタンドへ。グラウンドではすでにオリックスナインが練習に励んでいる。そして、ついに北川PMが登場。約40名の参加者の表情が一気に明るくなる。

 その後、昨日の試合の反省点、練習内容の説明、参加者からの質疑応答で時間は進んでいく。その間、終始笑顔で糸井嘉男の調子、二軍の井川慶の現状、谷佳知の今後についてなどなど、ファンからの質問に丁寧に答える北川さん。一気に僕もファンになってしまった。約40分間の解説が終わると、コンコースで写真撮影会(またはサイン会)。現役時代に使っていたというバットを持たせてもらって2ショット撮影。楽しいひとときだったな。


<日本ハム>
 8月21〜23日にかけて、日本ハムは東京ドームで「レジェンドシリーズ」を行なった。選手たちは80年代のオールドユニフォームを着て、場内のBGMもすべて80年代ソング。実にいい空間だった。このとき、1日60枚限定で「OB解説付きプレミアシート」(8000円)が販売されたので、僕は即購入。なぜなら、そのOBが80年代に「トレンディー・エース」と呼ばれた西崎幸広氏だったからだ。スリムな体型でテンポよく投げる彼は、オッサンばかりが闊歩していた当時のプロ野球界において、鮮烈な印象を残した。
 
 この日は14時試合開始だったので、日本ハムの練習は12時から。同時に西崎氏による生解説が始まった。印象に残っているのは、かつては「年功序列」だったプロ野球の世界が、今では年齢に関係なく、給料の高い選手が偉いという「年俸序列」に変わってしまったという話。そして、そのきっかけとなったのは西武時代の松坂大輔なのだという。なるほど、これも時代の変化なのだろう。

 30分間の解説を聞いた後はいったん解散。そして、試合後に再集合してグラウンドで西崎氏とともに2ショット撮影サービス。感激のあまり涙ぐむオバサンの姿もあった。試合前と試合後、一度で2回楽しめるいいイベントだった。


<ロッテ>
 ロッテを代表するOBとしては、昨年現役を引退したばかりで、まさに旬の里崎智也SA(スペシャル・アドバイザー)による「生解説」が人気。これはファン参加型イベントではなく、パ・リーグTVとUstreamの専用チャンネルで、ファンからの質問に里崎氏が答える形式。ぜひ、来季は球場でファンと対面式で行なってほしい。

 さらに、他球団と同様「マリーンズ・ベースボール・アカデミー」と銘打たれた野球スクールも運営中。講師陣は武藤一邦、高橋薫、杉山俊介、長崎伸一、塀内久雄各氏。そして、伝説の10・19のホームランが忘れられない高沢秀昭氏が並ぶ。


<西武>
 西武も積極的にOBを活用している。「サラリーマンナイト」では、小関竜也氏、高木大成氏から野球の指導を受けたこともあるし、鈴木健氏や、石毛宏典氏らによる試合前のトークイベントを観覧したこともある。現役時代の話を聞くのも楽しいし、「あの人、ずいぶん老けたなぁ」とか「太ったなぁ」とか「はげたなぁ」とか、好き勝手な感想を抱くのも楽しい。......スミマセン。

 西武のスクールは「ライオンズアカデミー」と題して、岡村隆則、星野智樹、高山久、平尾博嗣、石井丈裕の各氏がコーチを務める。石井氏と言えば92年、ヤクルトとの日本シリーズ。第7戦のマウンドで見事なピッチングを披露したことが思い出される。あの夕暮れの神宮球場に仁王立ちする石井氏の姿は神々しかった。懐かしいなぁ。

<楽天>
 楽天では、目立ったOB活用イベントは見つからなかったものの、他球団同様、ベースボールスクールを運営。「楽天イーグルス ベースボールスクール」は広橋公寿、井上純、塩川達也、山崎隆広、川岸強、中島俊哉、牧野塁、有銘兼久各氏といった渋い顔ぶれが並んでいる。

 出色なのは「ソフトボールスクール」も同時に運営している点。小学1年生から高校3年生を対象にレベルに応じて指導をしているという。難しいとは思うけれど、ぜひこの勢いで「女子野球スクール」も展開してほしいと切に願う。
(このシリーズ終わり)

長谷川晶一(12球団ファンクラブ評論家(R))●文 text Hasegawa Shoichi