日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

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意義のあるマッチメーク

 日本代表は13日、親善試合でイラン代表と対戦した。結果では1-1で引き分けたものの、アジアでFIFAランキングトップのイラン相手に終始苦戦したハリルジャパン。3年後に控えるW杯の基準で見ると、まだまだ課題は多い。

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 強豪国との対戦がまったくない中、イラン戦は同格の相手とのアウェーゲームという点で貴重だった。良いマッチメークだった思う。ただ、W杯ベスト16以上を狙うとしたら、厳しい内容ではあった。

 先に良かったところをあげると、後半から登場した清武はカウンターアタックで持ち味を発揮した。武藤がGKと1対1になるチャンスの起点となったのが清武だった。左へドリブルしながら、振り向きざまに宇佐美へ通したパスは完璧で、コレクティブなカウンターの軸になれる能力を示した。

 相手のディフェンスラインの背後にスペースがあるうちに仕掛けていく意識はかなり浸透してきたようだ。特にイランの運動量も落ちてきた後半は何度かカウンターからチャンスを作っている。長谷部、柴崎、柏木からスペースへ落とすパスが出ていた。

 そればかりではまずいし、そこから守備への切り替えも含めてリズムを作れるかどうかという課題はあるものの、日本の持ち味であるスプリントを生かすために必要な攻め手ではある。

W杯基準では課題山積

 ロシアW杯へ向けての準備という点では、まだまだ不足している。日本の弱点であるセンターバックには依然として不安が残る。第一人者である吉田ですら不用意にPKを与え、決定機につながりそうなコントロールミスをしている。

 経験が重要なので手を入れにくいポジションだが、それだけに若手の伸びしろに賭けて入れ替えるなら早く決断しなければならない。代えないのなら、W杯で2点とれる攻撃力を前提にプランニングしないと勝算は立ちにくい。

 例によって前半はポゼッション型、後半に速攻型に寄った編成を試した。後半はまずまずだったが、前半はあまり機能しなかった。

 そもそも本田と香川を親善試合で試す意味はないと思う。ロシアW杯に向けて彼らに代わる攻撃の軸を見つけなければならない中で、親善試合は絶好の機会だったはず。

 イランに勝つためには2人が必要という判断だったのかもしれないが、香川はまるで存在感がなく、本田もアシストの場面以外では活躍できず。すでに力のわかっている2人ではなく、他の選手により多くの時間を使わせた方が良かったのではないか。

 米倉の左サイドバック起用も疑問だった。左サイドでは持ち味のスピードと右足のキックが生きない。しかもガンバ大阪では右サイドなので、この先に左の経験を積む機会もないだろう。W杯までを見越した起用としては不自然だ。

 ハリルホッジッチ監督は、アギーレ前監督のようにフォーメーションを変化させるタイプではなく、同じ4-2-3-1のまま選手起用で戦い方を変化させる手法だが、基軸になるはずの守備のオーガナイズが固まっていない。

 デュエルも結構だが、イラン相手にコンタクトプレーでほとんど負けている現実を受け入れて解決策を立てないと、W杯には間に合わない。

text by 西部謙司