「今の代表は退屈」という声が一部で挙がっているけど、それも当然だろうね。調子が悪い選手、結果を残していない選手が、また先発で起用されるんだから。評価基準がどこにあるか分からないし、観ている人も選考に疑問を覚えるだろうね。
 
 イラン戦の出来を見れば分かると思うけど、強豪国のまともな監督なら、この一戦で精彩を欠いた香川や宇佐美ら数人は、次の試合で必ず外すよ。選手だって使われなかったら考えるし、必死になるでしょ。
 
 でも、なにもできないのにまた起用される環境だったら、そこに多少の甘えが生まれる。もっと選手間でバチバチ競争させないと、レベルアップなんてたかが知れているよね。
 
 たとえばイラン戦の吉田は、前半に退場する可能性もあったし、ミスも犯している。なら、後半から別のCBを試すべきだったよね。最後まで彼に固執する理由はどこにあったの。1枚警告を受けていた吉田は、PKも献上していたし、以降は競り合いでもファウルしないようにと思って、どこか守備が甘かったよ。
 
 今日のイラン戦で、ワールドカップ2次予選の緩さと、最終予選の厳しさが分かったんじゃないかな。イランだって、決してベストじゃなかった。日本は「アジアの横綱」じゃないのを自覚して、もっとチーム内で切磋琢磨しないとダメだよ。
 
 でも、次のシンガポール戦(11月12日)、カンボジア戦(同17日)で、また強くなったと錯覚してしまう。いつまでこんなことを繰り返すのかな。
 
 ハリルの選考で最大の疑問は、年齢の条件だね。ベテランであっても、調子が良ければ招集して、チーム内の競争力を純粋に高めてもいいと思うよ。だって、代表は実力主義の場であるべきでしょ。そのために、みんな所属クラブで必死にアピールしているのにね。
 
 みんなもよく考えてほしいのは、ハリルがロシア大会を見据えて年齢で選考しているという事実。これって裏を返せば、「あと3年間代表を指揮する」「あと3年間の契約がある」というのを、暗に公表しているようなものでしょ。
 
 例えば、1年契約の監督がいたとして、3年後を見据える? 会社で言えば、1年契約の人が3年後を見据えて話をしているようなもの。これはおかしいと思わない? つまり、1年契約であれば、結果と内容の両方を期限内に示さないと、契約は切られるのが普通でしょ。となれば、選考だって実力主義になるはずだよね。
 
 その意味で、国内外や年齢を問わず、まずは結果を残している選手が優先されるべきだよ。そう考えると、ハリルの“年齢基準”は、どう考えてもおかしい。その言動を見ていると、まるでロシア大会まで自分が指揮を執るという感じだもの。協会と指揮官の間に、知られていない契約でもあるのかな。そう勘ぐられても仕方ないと思うけどね。
 
 リーグ戦で結果を残している大久保なんて年齢で外された象徴だけど、動きを見ても今の代表選手に劣っているとは思わないよ。大久保を先発させろとは言わないけど、正当な競争を促す意味で、結果を残している選手を呼ぶのは当たり前。
 
 そうじゃないと、宇佐美や武藤、岡崎への刺激にならないでしょ。仮にワールドカップを想定しても、30代後半のベテランだって数試合なら良いパフォーマンスができる。強豪国でもベテランがワールドカップで活躍していたから、“年齢選考”はあてにならないよ。
 
 それにしても、南野に45分ぐらいプレーさせてあげたかったね。あの起用を見ると、なんのために呼んだのか疑問だよ。南野のためにならないし、ベンチにいたU-22代表の手倉森監督にとっても参考にならないだろうね。技術委員長はベンチでこの起用法を見て、強化の観点からなにも思わないのかな。