セ・リーグCSファイナルステージ展望

 セ・リーグのクライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージは、巨人が阪神を2勝1敗で下しファイナルステージに進出。10月14日から神宮球場でセ・リーグの覇者・ヤクルトと対戦することになった。ファイナルステージはどんな戦いが繰り広げられるのか。解説者たちに聞いてみた。

「ファイナルステージは、リーグ屈指の破壊力を持つヤクルト打線と、リーグ1の安定感を誇る巨人投手陣の戦いになると思います」

 そう語ったのは、現役時代に中日、阪神などでプレーし、第2回、第3回WBCで日本代表の投手コーチを務めた与田剛氏だ。巨人投手陣がどれだけヤクルト打線を抑えられるかがポイントになるという。

「ファーストステージで菅野智之が打たれ、不安を残しました。それに第1戦で先発したマイコラスは好投しましたが、絶好調の時に比べ、ボールのキレはいまひとつのように映りました。この状態でヤクルト打線に対戦した時、はたしてしっかり抑えられるのか、不安が残ります。打撃戦になればヤクルトが圧倒的に有利ですので、巨人としては投手陣が踏ん張るしかありません」

 同じく「ヤクルト有利」と語るのは、ヤクルト、阪神などでプレーした経験を持つ野口寿浩氏だ。

「全試合、神宮球場でできるというだけで、ヤクルト有利だと思います。巨人は今シーズン、ヤクルトに対して13勝12敗ですが、神宮球場では3勝8敗と大きく負け越しています。投手陣も神宮球場では防御率4.56と打ち込まれています。特に菅野は、ヤクルト戦0勝4敗(神宮で3敗)とまったく勝てていません。本人もヤクルトに対して苦手意識があるはずです」

 ちなみに、菅野と並ぶ巨人3本柱のマイコラス、ポレダの両外国人のヤクルト戦の成績はこうなっている。

マイコラス/3試合3勝0敗、防御率1.71
ポレダ/5試合1勝2敗、防御率2.67

 そして野口氏は、「ファーストステージで3戦目までもつれたことで、さらにヤクルトが有利になった」と言う。

「巨人としては、ファイナルステージの初戦をポレダでいきたかったはずですから。これで3本柱の初戦起用が困難になりました。大竹寛でいくのか、それともシーズン最終戦でいいピッチングをした内海哲也でいくのか。個人的には、経験のある内海がいいと思うのですが......。いずれにしても、厳しい戦いになるでしょうね」

 では、巨人がヤクルト相手に勝つには、どんな戦いをすべきか。与田氏は次のように語る。

「3点以内の勝負ができるかどうかがポイントになると思います。そのためには、攻撃的かつ早めの継投ができるかどうか。キーマンは高木勇人です。おそらく今回、彼はロングリリーフとして起用されるでしょう。たとえば、先発が2点取られたら高木につなぐ展開になると思います。そこで点を与えず、チームに勢いをつける投球ができるのか。巨人に勝機があるとすれば、小刻みな継投でつなぐしかないと思います」

 野口氏も次のように指摘する。

「ヤクルトに不安があるとすれば先発投手陣です。特に、短期決戦では相手を圧倒的に抑え込めるパワーピッチャーが欲しいのですが、ヤクルトは館山昌平ぐらいしかいません。石川はかわしていくタイプなので、はまった時はすごいピッチングをしますが、逆にメッタ打ちを食らうケースも考えられます。石川は第1戦の先発の可能性が高く、ここで巨人打線に勢いをつけることだけは避けたいところでしょうね」

 とはいえ、両氏とも「ヤクルトが突破する」と予想する。

「山田も川端もCSだからといって、変わってしまう打者ではありません。それよりもバレンティンが復調しているんじゃないかという期待感の方が大きい。シーズン終盤に復帰して、不振を極めましたが、バレンティンが打線にいるだけで相手にプレッシャーを与えることができた。ここでバレンティンが打ち始めると、とんでもない打線になります。フェニックスリーグで実戦を積んでいるので、CSあたりで復調する可能性はあると思います」(野口氏)

「シーズン終盤の勢い、攻撃力、どれをとってもヤクルトの方が上だと思います。巨人は短期決戦に慣れているとはいえ、今年のヤクルト打線を抑えるのは並大抵のことではありません。シーズンに不振だった阿部慎之助、村田修一、長野久義らの中軸が劇的に打つようになれば期待が持てるかもしれませんが、ファーストステージを見た限り、急激に上向くとは思えません。先程も言いましたが、細かく投手をつなぎ、いかにして失点を食い止めるかが重要になってくるでしょうね」(与田氏)

 14年ぶりのリーグ制覇の勢いそのままにヤクルトが攻撃野球で突破するのか。それとも経験豊富な巨人が意地を見せ、2年ぶりに日本シリーズ進出を果たすのか。両チームの戦いに注目したい。

島村誠也●文 text by Shimamura Seiya