遥かなるツール・ド・フランス 〜片山右京とTeamUKYOの挑戦〜
【連載・第78回】

 先週末の国内シリーズ戦「Jプロツアー」でも優勝を果たし、今シーズンを通じて総合力の高さを示しているTeamUKYO。次なる目標は、今週末に行なわれる「ジャパンカップ」での好成績だ。世界のトップレーサーが集結する今大会で、TeamUKYOの実力が試される。

 今シーズンのTeamUKYOは、国内シリーズ戦のJプロツアーにおいて、個人・団体の双方で圧倒的な強さを見せている。

 すでに以前にもレポートしたとおり、9月27日には第19戦・経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップで畑中勇介が優勝し、チーム創設4年目にして輪翔旗(りんしょうき)を獲得した。同日に和歌山県で開催された国体のロードレースでは窪木一茂が優勝、山本隼が3位に入り、日本の西と東でダブルウィンを達成する結果になった。

 翌週の10月4日に開催されたJプロツアー第20戦・いわきクリテリウムでは、スプリント力を活かして全日本チャンピオンの窪木一茂が優勝。個人ランキングをリードする畑中勇介が2位に入り、ワンツーフィニッシュを成し遂げた。

 さらにその翌週、10月11日に石川県で行なわれた第21戦・輪島ロードレースでは、パブロ・ウルタスンが優勝し、サルバドール・グアルディオラが4位。畑中勇介は6位、土井雪広は8位という結果で、今回もTeamUKYOは所属選手個々の高いポテンシャルとチーム力の高さを存分に発揮した。

 そして今週末には、いよいよジャパンカップが開催される。

 毎年、この時期に栃木県宇都宮市で開催されるジャパンカップは、国際自転車競技連合(UCI)のカテゴリーでは日本で唯一、超級クラスに分類されているレース。欧州から多くのプロツアーチームが参加し、8万人の観客(昨年実績)を動員する日本サイクルロードレース界の一大イベントだ。

 今年は10月17日に、宇都宮駅前の大通りを封鎖してジャパンカップ・クリテリムを開催。翌日の18日に宇都宮森林公園周回コースでジャパンカップサイクルロードレースが行なわれる。クリテリムは2010年以来、これが6回目の開催。日曜に行なわれるアジア唯一のワンデー超級ロードレースは、1992年の第1回以来、今年で24回目となる。

プロツアーチームからは、チーム・キャノンデール・ガーミン(本拠地:アメリカ)、BMC・レーシングチーム(アメリカ)、ランプレ・メリダ(イタリア)、トレック・ファクトリー・レーシング(アメリカ)、チーム・スカイ(イギリス)の5チームが、プロコンチネンタルチームからは、NIPPO・ヴィーニファンティーニ(日本/イタリア)、チーム・ノボノルディスク(アメリカ)の2チームが参戦する。国内勢は、宇都宮ブリッツェン、ブリヂストン・アンカー・サイクリングチーム、TeamUKYO、マトリックス・パワータグ、那須ブラーゼンの各コンチネンタルチームと、ジャパンナショナルチームという顔ぶれだ。

 国内各チームは、自分たちの地元で世界のトップチームと走ることができるこの機会に、可能な限りの存在感を披露したいと考えているだろう。

 TeamUKYOについても、それは同様だ。

 今年のTeamUKYOは、前述のとおり高いチーム力を発揮して、国内のレースでは圧倒的な戦闘力を発揮している。しかし、ことUCIレースに関しては、ジャパンカップに限らず、チーム結成以来まだ一度も優勝していない。2015年に日本で開催されたUCIレースは、5月のツアー・オブ・ジャパン[2.1]とツール・ド・熊野[2.2]、9月のツール・ド・北海道[2.2]の計3戦が行なわれているが、TeamUKYOはいずれも好結果を逃している。それだけに今回のジャパンカップでは、ぜひとも高いパフォーマンスを見せて良いリザルトを残したい、と考えているはずだ。

 Jプロツアーの個人ランキング部門をリードする畑中勇介は、「レースの本場欧州で走りたい」と日ごろから公言している。この場でいい走りをすることは、自らのポテンシャルのアピールにもつながるため、個人的なモチベーションも高いだろう。窪木一茂も、全日本チャンピオンジャージを着用する意地とプライドがあるにちがいない。世界経験豊富なキャプテン土井雪広が、どのような戦略でチームを率いて欧州の強豪チームに挑むのか――というところにも注目したい。

 とはいえ、本稿執筆段階では、正式な参戦選手のリストはまだ発表になっていない。

 この大一番の戦いを前に、参戦選手を絞り込む難しさについて、チーム監督の片山右京はこんなふうに話す。

「ジャパンカップは大きなレースだから、ウチの外国人選手たちも走りたがっているし、こちらとしても出てもらうつもりで検討をしています。その一方では、今年なかなかチャンスを与えられなかった若手や、ふだんアシストに徹している選手たちにも、大舞台を踏ませることで貴重な経験をさせてあげたい、という気持ちもある。すぐに結果を出すことは難しいかもしれないけれど、大きな責任を背負うことによって選手として成長するチャンスになるだろうから」

 今シーズン国内で圧倒的な強さを見せているこのチームが、世界を相手にしたときに、果たしてどこまで食い込めるのか。

 それは、次の日曜日に明らかになる。

(次回に続く)

西村章●構成・文 text by Nishimura Akira