ヨアヒム・レーブ監督【写真:Getty Images】

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いまだ“本大会レベル”とは言い難いチーム状態

 ユーロ予選で苦しみながらも首位通過を決めたドイツ代表。しかし、優勝を遂げたブラジルW杯後にDFフィリップ・ラームに加えてFWミロスラフ・クローゼも代表引退。そこからの計13試合で挙げた得点のデータでは、埋め切れていないクローゼの穴が如実に表れていた。

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 W杯のタイトルを防衛する。欧州選手権は、そのための重要な段階的な目標である。代表監督ヨアヒム・レーブはそう考えている。

 2015年10月11日、ドイツ代表はライプツィヒで欧州選手権予選の最終戦、対ジョージア戦を2-1で勝利した。グループDの首位が確定する。来年の6月にフランスで開催される本大会の出場を決めた。

 ジョージア戦後の会見で、レーブは次のように振り返る。

「我々はグループを勝ち抜いた。それは良いことだ。それに関しては、確かに満足することができる。しかし最後の2試合について、私は全くもって満足していない」

 最終的にドイツ代表はグループDを首位で通過する。しかし8日のアイルランド戦は0-1で敗れた。ジョージア戦は前半45分を0-0で折り返している。50分にPKをミュラーが決めて先制するが、その3分後にはカンカバに豪快にボレーを叩き込まれて同点に追いつかれるなど、快勝とは言い難かった。

「再びユーロ本大会のレベルに到達するために、翌月にはいくつかの仕事があるということを我々は知っている」

 予選の戦いをトータルで振り返れば、グループを首位で通過し、フランス行きのチケットを獲得したことに問題はない。しかし最後の2連戦に限れば、ユーロ本戦に不安が残る。アイルランドは3位でプレーオフに回った。ジョージアは予選敗退したチームだ。そのまま本大会のレベルとは言い難い。

 11月に予定されているフランス、オランダとの親善試合で、レーブは選手や戦術についてのテストを考えている。新たな実験=挑戦は既に始まっているのだ。

問題点が顕著となったジョージアとの最終戦

 ブラジルW杯の後ではフィリップ・ラームだけでなく、ミロスラフ・クローゼもドイツ代表を引退した。SBに並んで、ワントップのポジションも問題を抱えている。

 12日付の『キッカー』誌のデータによれば、ブラジルW杯以降にドイツ代表がこなしてきた国際試合13試合で挙げた全28ゴールのうち、ヘディングによる得点は2となっている。両方ともトーマス・ミュラーによるものだ。

 つまりワントップの問題を、より厳密に言えば、ヘディングによる得点率が極めて低いこと(7%)ということになる。

 グループD最終戦の対ジョージアでは、この問題が顕著になったと言えるだろう。5-4-1で引いて構えるジョージアを、なかなか崩すことが出来なかった。ワントップに入ったシュールレは、サイドを主戦場とする。所属先のボルフスブルクでCFを務めることもなければ、空中戦に強いわけでもない。

 そもそも空中戦に強い選手がいない、つまりクローゼの後継者が見当たらないということがある。レーブは、ロングボールを主体とする放り込みではなく、ショートパスを主体とするポゼッションを嗜好するということもあって、ワントップには狭いスペースで技術を発揮できる選手を起用しようとする。空中戦を望めないのであれば、地上戦を突き詰めるしかない。

レーブ監督が選ぶ解決策は?

 この要望に、10月の2連戦ではマリオ・ゲッツェが応えた。バイエルンの同僚GKノイアーは「マリオには、僕たちがビッグチャンスを掴める、狭いスペースでの解決策とアイデアがある」と評する。

 ノイアーによれば、35分にゲッツェが負傷で退いたアイルランド戦では、その「解決策とアイデア」を欠いたのだという。そしてドイツ代表は0-1と無得点でアイルランドに敗れている。

 そしてジョージア戦では、ゲッツェに代わってシュールレが起用された。シュールレは決して「狭いスペースで」技術のない選手ではないが、ゲッツェほどに「解決策とアイデア」はない。

 それは76分にシュールレがクルーゼと代わった後で、ワントップに入ったロイスについても言えるだろう。ロイスが、所属先のドルトムントでワントップに入るのは稀なことだ。

 ドイツ代表は、引いたジョージアに苦しみ、2-1で辛勝した。逆に言えば、ジョージアだから、2-1で勝利することが出来たとも言える。こうした仮定は意味がないが、もしクローゼがいたら、戦い方に変化が生まれていたはずだ。

 ゲッツェは、本大会には間に合う見込みだが、再びアクシデントに見舞われないとも限らない。レーブは、「ヘディングによる得点率の低さ」という問題をどのように処理していくのか。空中戦に強い新戦力を発掘するのか、それとも地上戦をとことん突き詰めるのか。

 来年のフランスはもちろんのこと、18年のロシアでも、とうにクローゼの姿はないのである。

text by 本田千尋