世界で唯一、韓国で実施されていたエスカレーターの「2列立ち」キャンペーンが廃止されることが決まり、韓国のネットユーザーからは歓迎の声も上がっていたが、駅ではなお混乱が続いている。写真はソウル地下鉄駅のエスカレーター。

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混雑する駅のエスカレーター、皆さんはどちら側に立つだろうか?日本では歩いて上り下りする人のために片側を空ける方法が一般化しており、その立ち位置が国内でも東西で異なることから、どちら側に立つかが話題に上ることがある。

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では韓国ではどうか?混雑するソウルの地下鉄駅などでは、やはり急ぐ人のために片側を空ける光景がよく見られる。しかしこの方法、実は韓国政府が推奨しない「誤った」使い方。政府は、エスカレーター上は歩かずに「2列で立って」利用するという、世界で唯一の方法を推奨していたのだ。07年から政府が大々的に推進してきたというこの「2列立ち」キャンペーンだが、実際のところほとんど定着しないまま、2015年9月20日、とうとう廃止されることが決まった。

政府が「2列立ち」を導入したのは、エスカレーターで歩いたり走ったりすることが利用者のけがや機械の故障につながるためだという。しかし、駅などではエスカレーター上を歩いたり走ったりして先を急ぐ人が後を絶たず、キャンペーンを認識したはずの利用者も、自発的に「1列立ち」をして、片側を空ける方法を取るようになった。特に、通勤ラッシュ時に「2列立ち」などしようものなら、逆に道をふさぐマナー違反と取られかねない。こうして実施早々から現実とかけ離れた失敗策になっていた「2列立ち」、国民安全処が開始から8年でついに廃止を決定した。

廃止の報道に、韓国のネットユーザーらは「8年間、無駄なことをしてきた」、「史上最も無意味なキャンペーンだった」など、歓迎する声が寄せられたが、事はこれで収まらなかった。

「2列立ち」が廃止されて「1列立ち」に変わったのだから、いつものように片側を空けておけばいい。多くの市民がこう考えたが、これは「誤解」だった。政府は、「2列立ち」を廃止するとともに、「手すりをつかむこと」「歩いたり走ったりしないこと」など、エスカレーター「安全利用の決まり」を策定し、決まりを守らない利用者に対しては罰金を科す対応も検討するとした。つまり、決まりに従えば、「1列立ち」で空いた片側を歩行に使うことはできないのだ。これでは利用者は、「2列立ち」をそのまま続けるしかない。

結局、政府は批判の強かった「2列立ち」の言葉をなくそうとしたものの、「1列立ち」が良いとも言えないというジレンマに陥った。駅のエスカレーターでは今日も混乱が続いている。(翻訳・編集/和氣)