最終ラインのリーダー吉田、アジア最強国イラン相手に無失点完封を目指す

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 2018年ロシアワールドカップを狙う日本代表にとって、絶好の力試しの場となるイラン戦(テヘラン)が、2日後の13日に迫ってきた。9日早朝にオマーンからテヘランへ移動してきた彼らは、9・10日の2日間は完全公開でフィジカル的な要素の強いトレーニングをこなしたが、11日はイラン戦を想定した戦術確認をメディア非公開で2時間近く実施。身体能力の高い相手といかに対峙するかを入念に確認した模様だ。

 日本対シリア戦の行われた8日に、同じマスカットでオマーン代表と2次予選を戦っていたイランは、1−1のドローという結果に終わった。得点したのはDFジャラル・ホセイニ(ナフト・テヘラン)で、リスタートからのトリックプレーからだった。かつてアリ・ダエイのような傑出したストライカーを擁したイランも、現在はそこまでスケール感のあるFWがおらず、2次予選でもやや苦労しているが、それでも30〜10代の幅広いメンバー構成でチームの底上げを図っている。FIFAランキングでもアジアトップ。やはり手強い相手なのは間違いない。

 日本もオマーンのようなセットプレーの失点をいかに防ぐかを考える必要がある。ここまでの2次予選4試合無失点という手堅い守りを見せている最終ラインのリーダー・吉田麻也(サウサンプトン)は、イランの印象と無失点継続への意気込みをこう口にした。

「相手は前線に何人かいい選手もいますし、フルアムでやっていた選手(キャプテンのアンドラニク・テイムリアン)とかもいるので、中東の中でもレベルは高いと思うので、今まで以上にコレクティブ(忠実)でオーガナイズされた守備をやっていかなきゃいけない。相手に高さがある分、前線からいいプレスをかけて、いい形でボールを配球させないことが大事。あとは中東なんで、審判がファウルを吹かないことを願います(笑)。

 無失点に関しては、公式戦だろうが、フレンドリーマッチだろうが関係なく、続けていきたいっていう話は西川(周作)選手はじめ、いろんなディフェンスの選手とも話している。無失点で抑えるのはどんな相手だろうが簡単なことじゃないと思いますけど、続けていくことがチームの自信にもレベルアップにもつながる。意識してやっていきたいと思います」

 シリア戦では槙野智章(浦和レッズ)とセンターバックのコンビを組んだが、9月のカンボジア(埼玉)・アフガニスタン(テヘラン)2連戦では槙野の負傷離脱もあって森重真人(FC東京)とともにプレー。今回は丹羽大輝(ガンバ大阪)を含めて、誰と組むことになるか分からない。ただ、2011年アジアカップ(カタール)以降、アジアでの対戦経験豊富な吉田は誰とプレーしても冷静に戦況を見極めながら戦えるはず。サウサンプトンでのキャリアも生かし、多彩な国際経験を生かして戦うことで、日本の最終ラインはより一層強固になる。彼にはディフェンスリーダーとして力強く周囲をけん引する必要があるのだ。

 テヘランの聖地、アザディ・スタジアムでのイランとの直接対決は2005年3月の2006年ドイツ・ワールドカップ アジア最終予選以来。10年前の決戦では、日本は福西崇史(現解説者)が1点を奪ったものの、相手の長身FWヴァヒド・ハシェミアンの2発を食らい、手痛い苦杯を喫している。

「その試合のことは全然覚えてないです」と吉田は苦笑いしていたが、逆に敗戦のネガティブな記憶がない分、思い切っていけるのではないか。武藤嘉紀(マインツ)も「ジョホールバルって?」と97年フランス・ワールドカップ アジア最終予選第3代表決定戦のことを具体的に記憶していなかったように、今の日本代表は過去よりも未来を見据えている。こうして若返りの進むチームをリードの1人として、吉田にはイランの屈強なアタッカー陣を確実にマークし、決定機を阻止するような闘志あふれるパフォーマンスが求められる。

 10年前の宮本恒靖(G大阪U−13コーチ)や中澤佑二(横浜F・マリノス)にできなかった敵地でのイラン完封…。その大きな命題に向かって、彼らには力の限りを尽くしてほしいものだ。

文=元川悦子