オーラル・フレイル予防は40代から! node/PIXTA(ピクスタ)

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 高齢者が自立した生活を送ることができる状態から要介護に至るまでの間に、「フレイル(Frailty)」という状態がある。そのフレイルの前兆とも考えられているのが「オーラル・フレイル」、つまり「歯や口の機能の虚弱」だ。

 「ロコモティブシンドロームやサルコペニアなど、運動器が弱ってくることでフレイルとなる」というならわかりやすいが、なぜ歯や口が弱るとフレイルになるというのだろうか?

お口の機能が弱まるとフレイルに陥りがちなわけ

 むし歯や歯周病を放置しておくと、歯を失ってしまうことが少なくない。オーラル・フレイルといってもいい状態だ。こうなると、食べられるものが限られてくるため栄養状態もアンバランスになり、食欲も落ちてしまうことがある。それは高齢者が陥りやすい「低栄養」に直結する。サルコペニアを引き起こす原因ともなる。

 口腔機能の低下で問題なのは、食べられなくことばかりでない。滑舌も悪くなり、口臭も気になって人とコミュニケーションをとることが億劫になってしまうことが多い。すると家に閉じこもりがちとなり、社会的にも孤立してしまう。その結果、うつ病や認知症を呼び寄せることにもなってしまうというのだ。

 こういったことから、日本歯科医師会は健康長寿をサポートすべく「オーラル・フレイル予防」を啓発している。

40代だって他人事じゃない!

 「高齢者の話でしょ、オレにはまだ関係ない」と他人事のように思っている人、じつは40代だってしっかりお口のケアをしないと後々大変なことになるのだ。

 働き盛りの年代は、忙しさにかまけ歯磨きを怠ってしまう時もあるのではないだろうか? そんな人に忍び寄るのが、40歳以上の8割がかかっているといわれる「歯周病」。歯や歯ぐきが清潔に保たれていないとプラーク(歯垢)が溜まり、そこに歯周病菌がはびこって歯肉に炎症をもたらす。この時点では自覚症状はほとんどない。進行すると歯を支える歯槽骨までをも溶かし、歯がぐらぐらしてくる。そして最終的には歯が抜け落ちてしまうのだ。

 歯周病の恐ろしいところは、単に歯が抜けることだけではない。歯周病と糖尿病の相関関係はよく知られるところで、歯周病が糖尿病を悪化させることもあれば、糖尿病が歯周病を引き起こすこともある。また、歯周病菌が動脈硬化を促進させ狭心症や心筋梗塞のリスクを高めることもわかっている。そして、高齢者の死因の3位につけている誤嚥性肺炎は、歯周病菌などの細菌が誤って唾液や食品などとともに気管に入ることで引き起こされるのだ。

歯医者は痛くなってから行くところに非ず!

 歯が痛くならない限り歯医者へは行きたくないというのが人情だが、歯周病が悪化してからの受診では、早期治療と比べ治療期間も長く医療費も高くつく。歯が抜けてしまった場合、インプラントや入れ歯も検討されることだろう。インプラントの相場は1本あたり30〜40万円と言われているから経済的にもピンチを招く。

 そうならないためにも、毎日の歯磨きを心がけるとともに年に1度は歯科健診を受けるようにしたい。歯周病の早期発見はもちろん、昔のむし歯治療のメンテナンスをしてもらういい機会だ。さらにその際に、自分では取りきれない歯周ポケットの中もプロの手でクリーニングしてもらうと安心だ。

 40代からの心がけで、高齢になっても「オーラル・フレイル」を寄せ付けない健康なお口に!
(文=編集部)