業界紙、専門誌の知られざる世界をあなたに──。今回紹介するのは、健康産業に関わる様々な情報を発信する業界紙です。

『健康産業新聞』
創刊:1975年
発行:毎月第1、第3水曜日発行
部数:6万部(主催展示会での配布を含む)
読者層:メーカー、問屋、小売店、研究機関ほか
定価:年間2万1600円
購入方法:発行元「UBMメディア」に直接注文

 しばらく前からコンビニやスーパーの飲料品売り場には「血圧が高めの人に…」とか「コレステロール値が気になるかたに…」と表記した特定保健用食品(トクホ)が並んでいる。人が万歳して脇腹を伸ばしたあのマークだ。

 そこに新たに加わったのが機能性表示食品だ。トクホは、健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、その効果や安全性について国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可したもの。

 一方、機能性表示食品は、事業者(メーカー等)の責任において機能性を表示した食品で、安全性及び機能性の根拠に関する情報などが販売前に消費者庁に届けられているものの、個別の許可を受けたものではない。

 つまり、“トクホよりハードルを下げた健康食品”が機能性表示食品というわけだ。

『健康産業新聞』編集部次長・村川弘武さん(39才)が言う。

「機能性表示食品を発売するのは、食品メーカーだけはありません。医薬品、酒造、製菓、印刷会社なども参画して、空前の健康食品ブームがきています。これから、機能性表示をした生鮮食品やラーメンやうどんなどの加工食品が、続々と私たちの目に触れてきます」

 目的は、“健康寿命の延伸”と“超長寿社会の医療費削減に向けた未病・予防の一環として”だという。

 でも、“健康食品”と聞くと、つい眉にツバをつけたくなる、と村川さんに告げると、顔色ひとつ変えず「ま、そうでしょうね」とあっさり。そして「これを見てください」と開いて見せたのが、同紙の定番記事『エビデンス』だ。

“プルーンの骨量増加・減少抑制効果”“黒しょうがの尿酸生成抑制作用・筋肉エネルギー代謝改善効果”“緑イ貝の筋肉損傷改善効果”などなど、各種研究機関を通じて、各事業者が自社製品の“成果と効能”を訴えている。つまり、お金と時間をかけて“体のタメになる”機能性素材の研究をしていることを、同紙は示している。

 それでも、実際のところ、「表示していることのすべてが体感できるものではないので、言いがかりも含めたクレーム対策も必要」と村川さんは言う。その中で、今後、注目される素材は何か。村川さんは上位3種の素材を挙げた。

「1位は、アスタキサンチン。カニや鮭に含まれる赤色色素で、非常に抗酸化作用が高い。眼精疲労・ピント調節機能に関する研究データがあり、機能性表示食品としても受理されています。アイケア分野で最も注目されている素材です」

 2位は、ヘンプオイルという麻の実から採れる油で、ココナッツ、エゴマ、アマニ油の次に来ると、大手百貨店のバイヤーがイチオシ。血行をよくする働きがあるとされる。

 第3位は、沖縄県の与那国島に育成している、“長命草”。

「薬事法により、食品に“長寿”という表示はできませんが、商品登録されている“長命草”は範囲外です。セリ科の多年草植物で、現地では古くから“1株食べると、1日長く生きられる”といわれ、天ぷらやみそ和え、お茶にして食されてきました。高い抗酸化作用が証明されて、原料がなくなるくらいの売れ行き」

“トレンドサイクルの速い健康食品業界”の中で、美肌にはプラセンタ、コラーゲン、膝関節の円滑化にはグルコサミン、二日酔いにはウコン、アイケアにはブルーベリー。これらの上位売り上げは何年も変わらないそうだ。

 そして今後、注目しているテーマは、加齢によって足腰などに障害を起こす“ロコモティブシンドローム”の対策や、健康によい栄養分を豊富に含みながら低カロリーな“スーパーフード”だという。

 ところで、村川さんは朝食に、何を食べているのか。ふと気になって聞いてみたら、「天然素材でビタミン、ミネラルを簡単に摂り込めるクロレラを30粒ほど」と言う。筋金入りの業界人だった。

(取材・文/野原広子)

※女性セブン2015年10月22・29日号