南野拓実ら控え組にチャンスはあるか【写真:Getty Images】

写真拡大 (全2枚)

イランとの親善試合。控え組チャンスは?

 シリア戦を3-0で制した日本代表は、アウェイでイランとの親善試合に臨む。前戦でPK奪取にゴールと結果を残した岡崎慎司だが、まだまだ満足はしていない。現状では格上となるイランを相手にゴールを奪うことが1トップとしての価値を示すものとなる。

ーーーーー

 2018年ロシアW杯アジア2次予選E組1位通過への最大の山場と位置づけられたシリア戦(8日=マスカット)を3-0で勝利し、終了約7時間後の9日深夜便でいち早くテヘランへ移動した日本代表。ほとんどまともに睡眠を取れない強行日程の中、彼らは9日夕方から市内西部のパススタジアムで現地初練習を行った。

 勝利の翌日ということで、9月のアフガニスタン戦の際にも練習拠点にしたパススタジアムに戻ってきた長谷部誠(フランクフルト)、本田圭佑(ミラン)らの表情は明るかった。

 1カ月前のテヘランは日中の気温が40度近くまで上がる猛暑だったが、季節が進んだ今回の最高気温25度という爽やかな陽気。オマーンの凄まじい猛暑との違いに驚いた選手も多かったようだ。

 練習に先立ち、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は選手たちを集めて恒例の青空ミーティングを20分間も実施。前日のフィードバックを入念に行うと同時に、イラン戦へ気持ちの切り替えを促した。

 その後、トレーニングが始まり、主力組はランニングとストレッチだけで終了。先に上がって帰路に着いた。控え組の方はゲーム形式などで実戦感覚を養った。

 次は親善試合ということで、指揮官もここまで出番のなかった選手にチャンスが与えるはず。それを誰が手にするのか。南野拓実(ザルツブルク)のA代表デビューはあるのか否か。そのあたりが非常に興味深いところだ。

「相手のホームでイランに勝つことが大事」

 シリア戦で鋭い飛び出しから本田のPKによる先制点をお膳立てし、香川真司(ドルトムント)の左からの折り返しに飛び込んで2点目を挙げた岡崎は、改めて前日のゲームを振り返った。彼自身は勝利に安堵感を覚えた一方、内容的には納得できない部分も多かったと強調していた。

「ホッとはしてますけど、みんな口々に言ってる通り、全体を通して満足はしてない。自分たちが目指してるところはW杯予選を勝ち抜くことじゃなくて、世界で結果を出すことだから。他のグループでも苦労してる強豪チームがある中で、勝ち切ったっていうのは大きいけど、ここで満足できない。

 予選の苦しい中で自分たちがやれる部分を出し切ることができなかったんで。前半はミスもすごく多かったし、相手の体力があるうちはやりたいことをやれなかった。まだまだやらなきゃいけないことは多いと思います」と口を突いて出るのは反省ばかりだった。

 だからこそ、次のイラン戦ではより内容を向上させていく必要がある。行き詰った場面で修正を図ることはその1つ。シリア戦ではハーフタイムにハリルホジッチ監督が全体の距離感を近づけたことで後半の連動した攻めにつながったが、それを自分たちでやれるようにしなければ、世界を凌駕するレベルには至らない。

 過去2シーズンにマインツでブンデスリーガ2年連続2ケタ得点を奪い、今季はプレミアリーグに参戦している岡崎には、その重要性がよく分かっている。

「次の試合はチームとしての狙いを持って、それを試す場。そのうえで相手のホームでイランに勝つことが大事。どんな時でも勝つことを今の僕らは意識しなきゃいけない。

 W杯もそうですけど、自分たちのサッカーができてるチームなんかなかなかなくて、そういう中でも勝つべくして勝つチームが優勝した。強いメンタルと勝つ意欲が一番要になってくると思います」と彼は泥臭くしぶとく勝ちに徹する姿勢を率先して示していくつもりだ。

「1トップとして最低限ゴールを決めることで貢献したい」

 とはいえ、イランの守備陣はシリア以上に屈強で大柄だ。同じ9日のオマーン戦(マスカット)に出ていたメンバーを見ても、DFのモンタゼリ(アル・アハリ)が186僉▲曠札ぅ法淵淵侫函Ε謄悒薀鵝砲185僉招集リストの守備陣はほぼ185儖幣紂

 シリアDF陣に2人3人がかりでつぶされ、空中戦でも勝てなかった岡崎にとっては、さらにハードルの高いゲームになるのは間違いない。

 そこで思い出すべきなのが、1人で体を張って最前線を担い続けたマインツ時代だ。今のレスターではチーム得点王のヴァーディーがターゲットになり、岡崎はこぼれ球を拾ったり、マークを引きつけたりする役割が多いが、マインツ時代は相手を背負いながらボールをキープして時間を作ったり、自ら仕掛けてゴールを狙ったりと、実に多彩な仕事を見せていた。

 今回は単なるクロスやロングボールでは高さで勝てないだけに、いかにして工夫を凝らしながら前線で仕掛けるかが彼にとっての大きな課題。岡崎のところでうまく収まらなければ、「イランにアウェイで勝つ」という最重要テーマを果たせなくなってしまうのだ。

「今の日本には欧州CLに出るようなチームで主力を張る選手はいない。つまり、1人1人が相手の1.5倍、2倍働かないといけない。そのうえで、自分の特徴を出すってことが今、全員に求められることだと思う。

 自分も1トップとして最低限ゴールを決めることで貢献していかなきゃいけない。偉大なカズさん(三浦知良=横浜FC)の記録を超えることが自分の価値を証明することなんで、まだまだ取り続けたい」と岡崎は今一度、ゴールへの飽くなき渇望を前面に押し出した。

 世界的に見ても小柄なFWがフィジカル的に優位な相手といかに対峙していくか。イラン戦はそれを再確認できる大きなチャンス。代表通算47ゴールを挙げている日本の絶対的点取り屋・岡崎の真価が問われると言っても過言ではない。

text by 元川悦子