10月7日に今季のプロ野球最終戦である広島と中日の試合がマツダスタジアムで行なわれた。この試合に広島が勝てば、逆転でクライマックス・シリーズ(CS)進出が決まる状況だったが、痛恨の1安打完封負け。これにより阪神の3位が確定し、CSファーストステージは巨人と阪神のマッチアップとなった。そこで解説者たちにファーストステージの見どころを聞いた。

「巨人としては、対戦相手が広島ではなく阪神に決まり、素直に喜んでいるんじゃないでしょうか」

 そう語るのは現役時代にヤクルト、阪神、日本ハムなどでプレーした野口寿浩氏だ。その理由を次のように述べた。

「今シーズンの阪神は東京ドームで2勝11敗ですからね。東京ドームでのチーム防御率も5.74とひどく、チーム打率も.205と低い。それに巨人は初戦にマイコラス、2戦目にポレダか菅野智之のどちらかでしょう。この3人に対しても阪神は相性が悪いんですよね」

 ここでマイコラス、菅野、ポレダの今季の対阪神戦の成績を見てみたい。

マイコラス/3勝0敗、防御率1.50
ポレダ/5勝2敗、防御率2.44
菅野智之/3勝1敗、防御率1.16

「阪神は苦手ピッチャーと、そうでない投手との相性の差が激しいんです。選手たちに聞いても『マイコラスはどうもタイミングが合わない』と言うばかりで、対応策がない。それでは打ち崩せないですよ」(野口氏)

 ちなみに、阪神は広島の三本柱、前田健太、黒田博樹、ジョンソンの3人に0勝11敗と完璧に抑え込まれている。まさに今シーズンの阪神を象徴する数字だといえる。与田剛氏は言う。

「今シーズンの阪神打線は、得点パターンが非常に少なかったように思えます。結局、ゴメス、マートンの両外国人選手頼みの打線になり、彼らが機能しないと得点が入らない。かといって、それを補う機動力があるわけでもなく、代わりの選手を使うこともありませんでした。戦力面、作戦面ともに厳しい1年でしたね」

 そしてなにより心配なのが、選手のモチベーションだ。ロッテのように勝ち続けて3位になったわけではなく、9、10月の成績は9勝15敗の大失速。10月4日に行なわれた甲子園での広島戦は勝てば3位確定という大一番だったが、0−6で敗れレギュラーシーズン終了となった。その後、和田豊監督の辞任、関川浩一打撃コーチの退任、マートンの戦力外報道など、ネガティブな話題が続いている。

 昨年、阪神はCSファイナルでセ・リーグ王者の巨人と対戦し、4連勝で日本シリーズ進出を決めたが、今年はこうしたチーム状況の中で「昨年の再現」の可能性はあるのだろうか。

「昨年はマートンとゴメスが活躍し、チームを引っ張りましたが、今年はこのふたりがよくありません。阪神が勝つとすれば、少ない得点を投手陣がどれだけ守りきれるかでしょうね。ただ、初戦で藤浪晋太郎が巨人打線を完封するようなことがあれば、一気に流れをつかめるかもしれません」(野口氏)

「言ってみれば、阪神には失うものがありません。データ的にも不利な数字が並びますが、逆に思い切りやればいいと思います。いい意味でどこまで開き直れるかがカギになるでしょうね。打線を組み替えたり、機動力を使ってみたり、それぐらい思い切ったことをやってもいいと思います」(与田氏)

 対する巨人も、グラウンド外のトラブルが発覚し、チーム状況はよくない。それもさることながら、今シーズンは主力打者が不振に陥(おちい)り、かつての重量打線は鳴りを潜めた。

「打線はどこかで爆発するのだろうと思っていましたが、結局、最後までなかった。これまで巨人打線を支えていた阿部慎之助、村田修一、長野久義らが機能せず、チーム打率.243はリーグワーストです。爆発する可能性はあるかもしれないですが、新戦力も出てきたわけじゃないですし、村田が戻ってきたとはいえ万全な状態なのか不安です」(野口氏)

「巨人は打線が弱いですが、菅野、マイコラス、ポレダの三本柱は安定感があって、しっかり試合をつくれると思います。むしろ巨人に不安があるとすればリリーフ陣。終盤勝負の展開になった時に、きっちり抑えていけるのか。当然、これは阪神にもいえることです。特に阪神は、抑えの呉昇桓(オ・スンファン)がケガでCSファーストステージに間に合わないと聞きました。おそらく先発の誰かをリリーフに回すのでしょうが、経験も含め、不安があります。投手力という点でやや巨人が上回っているような気がします」(与田氏)

 データやチーム状況を見る限り、巨人優位は動きそうもないが、今年のセ・リーグほど予想通りにいかなかったものはない。阪神に不安材料が多いほど、何かが起きそうな予感がするのだが......。巨人が昨年のリベンジを果たすのか、それとも再び阪神が返り討ちにするのか。両チームの戦いから目が離せない。

島村誠也●文 text by Shimamura Seiya