クライマックス・シリーズ(CS)が明日から開幕する。パ・リーグは昨年の覇者・ソフトバンクが年間90勝を記録し、2位の日本ハムに12ゲーム差、3位のロッテに18.5ゲーム差をつけるなど、圧倒的な強さを見せつけた。この絶対的王者に挑むのは日本ハムなのか、それともロッテなのか。解説者にパ・リーグCSファーストステージの展望を聞いた。

 まず今シーズンの両チームの対戦成績は、日本ハムが13勝12敗で勝ち越している。しかし、ファーストステージの舞台である札幌ドームの試合ではロッテが5勝2敗と相性がいい。さらにロッテは9月終盤から10月にかけてものすごい勢いで白星を重ね、5年前にシーズン3位から日本一に輝き、"史上最大の下剋上"を達成した時のような勢いを見せている。現役時代、ヤクルト、日本ハムなどでプレーした野口寿浩氏は「勢いだけなら完全にロッテ」という。

「ロッテは9月21日から最終戦までを12勝2敗で乗り切り、3位に食い込みました。それに対日本ハム戦も4連勝中です。もともと勢いに乗ったら止まらないという伝統がありますから、日本ハムとしては怖さを感じていると思います」

 とはいえ、ロッテの勢いは感じているものの、「戦力的に考えれば、日本ハムが有利」と野口氏は言う。

「ここに来てロッテは、清田育宏、クルーズなどの主力がケガをしました。それに骨折していた角中勝也が復帰するようですが、どこまでいい状態で戻って来られるのか不安があります。一方の日本ハムは、近藤健介(打率.326、60打点)が急成長し、34本塁打を放ったレアードの長打力もロッテにとっては脅威です。投手陣を見ても、ロッテは確実に計算できる先発が、涌井秀章と石川歩のふたりしかいない。ここがウィークポイントだと思います」

 選手時代はソフトバンクで活躍した本間満氏も両チームの先発陣がポイントになると言った。

「ファーストステージは2戦先勝の、まさに本当の短期決戦です。日本ハムは大谷翔平、メンドーサ、吉川光夫という3人の先発投手の名前が出てきますが、ロッテは大舞台を任せられる経験豊富なピッチャーが涌井しかいない印象があります」

 その涌井だが、10月6日のシーズン最終戦となる楽天戦に先発し、137球の熱投で大谷と並ぶ15勝をマーク。大谷と最多勝のタイトルを分け合った。だが、これによって大きな問題が生じてしまった。

「ファーストステージの初戦は中3日になってしまうので、涌井の登板は難しくなりました。もしロッテが初戦を落とした場合、中4日で涌井を投げさせるのか。いずれにしても初戦にエースをもって来れないロッテは厳しくなったと思います」(本間氏)

 与田剛氏も続く。

「日本ハムは早々とシーズン2位が確定し、ある程度、CSに照準を合わせた戦いができたと思います。逆にロッテは、シーズン終盤までCS進出をかけたギリギリの戦いを強いられました。たしかに、勢いはロッテにあるかもしれませんが、疲労という部分で不安があります。それに涌井もシーズン最後の登板で137球を投げており、どこまで回復しているのか気になるところです。2戦目に投げるのか、それとも3戦目を信じて待機させるのか。いずれにしても、涌井の起用法がファーストステージ最大のポイントになるような気がします」

 伊東勤監督にしてみれば、第1戦を石川歩、2戦目を日本ハム戦2勝(防御率0.59)のチェン・グァンユウに任せて、なんとか3戦目に持ち込みたいところだろう。そうすれば中5日で涌井を先発させることができ、形勢は一気に逆転する。

「ロッテの伊東監督は選手の起用がうまく、選手交代にも迷いがない。3戦目までいけば、捨て身になって戦ってくるでしょうし、もともとロッテはそういう開き直りの強さを持っているチームです」(本間氏)

「日本ハムにしてみれば、大谷のピッチングがすごく大事になってきます。勝つことは大前提として、どれだけロッテ打線を崩せるのか。2戦目以降の戦いも視野に入れたピッチングが求められるでしょうし、実際、それができる投手です。それがうまくいけば日本ハムがあっさり勝つだろうし、逆に苦戦すればロッテが有利になると思います」(与田氏)

 先に2勝を挙げ、王者・ソフトバンクに挑むのは日本ハムか、それともロッテか。まずは10月10日に行なわれる第1戦に注目したい。

島村誠也●文 text by Shimamura Seiya